週刊Cloudflare - 2025/04/13週
こんにちは、あさひです 🙋♂️ 今週の Cloudflare のアップデートをまとめていきます!
この記事の主旨
この記事では、前週に Cloudflare のサービスにどんな変更があったかをざっくりと理解してもらい、サービスに興味を持ってもらうことを目的としています。そのため、変更点を網羅することを優先します。
2025/04/06 ~ 2025/04/12 の変更
Wrangler
4.10.0
マイナーアップデート
-
wrangler workflows
コマンドをステーブル(正式サポート)として昇格。
パッチアップデート
-
wrangler dev
サーバーでのリクエストログが重複して出力される問題を修正し、1 回だけログ出力されるように改善。 - 依存関係を更新
miniflare@4.20250409.0
4.9.1
パッチアップデート
- 依存関係を更新
miniflare@4.20250408.0
4.9.0
マイナーアップデート
- ローカル開発でのメール送信と
send_email
バインディングのサポートを追加。
パッチアップデート
- リダイレクトされた設定ファイルに
environments
が含まれている場合のバリデーションエラーメッセージを改善。- エラー対象の
environments
をリスト形式で明示し、該当ツールの作者への報告を促す内容に。
- エラー対象の
- パイプラインに対して CORS 設定を削除するための
--cors-origin none
オプションを追加。 - 依存関係を更新
miniflare@4.20250405.1
4.8.0
マイナーアップデート
- Secrets Store のバインディングをサポート。
パッチアップデート
-
wrangler pipelines show
をwrangler pipelines get
に名称変更。 -
--enable-worker-binding
および--enable-http
を--source worker
/--source http
(または併用)に置き換え。 -
wrangler pipelines create|update
から--file-template
および--partition-template
フラグを削除。 -
wrangler pipelines get <pipeline>
に整形された出力を追加(従来の JSON 出力は--format=json
を使用)。 -
wrangler pipelines create
の最小値・最大値・デフォルト値の説明を明確化。 - リダイレクトされた設定ファイルに
environments
が含まれている場合の検証ロジックを追加。- 本来
environments
を含まないことが前提のため、存在すればエラーになるように修正。 -
--env
フラグが指定された場合は警告を表示し、無視されることを通知。
- 本来
-
wrangler pages functions build
コマンドを正式に公開。Pages Plugins 利用者が Workers Assets へ移行しやすくするための措置。 - 依存関係を更新
miniflare@4.20250405.0
Workers
Workers でのフルスタックアプリ構築の正式サポート
Workers 上でのフルスタックアプリケーション構築を正式サポートしたことを発表しました。これにより、Cloudflare Workers 上で UI・API・データベースを統合したアプリケーションを、従来よりもシンプルに構築・デプロイできるようになります。この取り組みは、以下のような機能・構成を含んでいます。
- Pages と Workers の統合
- 単一プロジェクト内で UI とバックエンドを同時に扱えるように。
- D1(データベース)、R2(ストレージ)、AI Gateway、Queues など、Cloudflare のインフラサービスとのネイティブ統合。
- Wrangler を使った一貫した開発・デプロイ体験。
利用可能なフレームワークは以下を確認してください。
- 以下のフレームワークが GA となっています。
- React Router v7 (Remix)
- Astro
- Hono
- Vue.js
- Nuxt
- Svelte (SvelteKit)
- 以下のフレームワークは現在ベータ版となっています。
- Next.js
-
@opennextjs/cloudflare
でサポートされておりv1.0-beta
になっています。
-
- Angular
- SolidJS (SolidStart)
- Next.js
キャプチャ可能なログイベント容量が 256 KB に増加
各 Worker の呼び出しで最大 256 KB のログイベントをキャプチャできるようになり、アプリケーションの挙動をより詳細に把握できるようになりました。
すべての console.log()
ステートメント、例外、リクエストのメタデータ、およびヘッダーは、Worker の実行中に自動で JSON 形式に変換されてキャプチャされます。Workers Logs はこの JSON オブジェクトをデシリアライズし、フィールドにインデックスを付けて保存します。また、Tail Worker を使ってこの JSON オブジェクトをキャプチャ、変換、エクスポートすることも可能です。
この容量上限は以前の 128 KB から 2 倍に増加しており、上限を超えるとそれ以降のリクエストに紐づくコンテキストはログに記録されなくなります。すべての Workers に自動適用される設定です。
Cloudflare Vite プラグインが一般提供(GA)に
Cloudflare Vite プラグインが v1.0 に到達し、正式に一般提供となりました。@cloudflare/vite-plugin
を使用すると、Vite のローカル開発サーバーとビルドツールを使用しながら、開発中のコードがオープンソースの Workers ランタイムである workerd で実行されることを保証できます。これにより、Durable Objects やその他 Cloudflare Workers 固有のランタイム API やバインディングとともに、Vite のホットモジュールリプレースメント (HMR) をフルスタックアプリケーションの開発に活用することが可能となります。
@cloudflare/vite-plugin
は、Vite の新しい環境 API によって実現可能となり、Vite チームとの提携により構築されました。
フレームワークサポート
@cloudflare/vite-plugin
を利用すれば、シングルページアプリケーション (SPA) や静的サイト、サーバーサイドレンダリング (SSR) ページ、API ルートなど、あらゆるレンダリングモードに対応したアプリケーションを構築可能です。
React Router v7 (Remix) は、Cloudflare Vite プラグインに完全対応した初のフルスタックフレームワークで、追加のビルドステップなしに Cloudflare の開発者プラットフォームの全機能が利用できます。また、Vite と React を組み合わせることで、フレームワークを使用せずとも同一 Worker 内でバックエンド API を構築し、完全なフルスタックアプリケーションを作成することも可能です。
設定
既にビルドや開発ツールチェーンで Vite を使用している場合、vite.config.ts
に最小限の変更を加えるだけで、@cloudflare/vite-plugin
を導入できます。
import { defineConfig } from "vite";
import { cloudflare } from "@cloudflare/vite-plugin";
export default defineConfig({
plugins: [cloudflare()],
});
Workers Observability ダッシュボードでのログ調査と Query Builder
新しい Workers Observability ダッシュボードでは、全 Workers のログを 1 か所で確認できるようになり、以下のタブで異なる視点からの分析が可能です。
-
Overview タブ
- すべての Worker のログを統合して表示します。
-
Invocations タブ
- 各 Worker の呼び出し(fetch などのトリガー)ごとにログをグループ化して表示します。
-
Events タブ
- ログをタイムスタンプ順に並べ、発生した順に表示します。
さらに、Query Builder を使うことで、ログの構造化クエリ作成や視覚化が可能となりました。
また、Workers Logs が正式に一般提供 (GA) となり、Wrangler の設定変更により、発行された全ログが最大 7 日間保持・索引化・保存されるようになりました。ダッシュボードのカスタマイズ、パフォーマンス改善、そして REST API 経由でのアクセスも可能です。これにより、ログの調査、視覚化、共有がより簡単かつ効率的に行えるようになりました。
wrangler の設定例
wrangler.jsonc
{
"observability": {
"enabled": true,
"logs": {
"invocation_logs": true,
"head_sampling_rate": 1
}
}
}
wrangler.toml
[observability]
enabled = true
[observability.logs]
invocation_logs = true
head_sampling_rate = 1 # optional. default = 1.
Workers の無料プランで Browser Rendering が利用可能に
Workers の無料プランで Browser Rendering が利用可能になったことで、Web 検索やヘッドレスブラウザを活用したユースケースのプロトタイピングや実験がこれまで以上に容易になりました。さらに、Browser Rendering REST API が正式に一般提供され、Workers アプリケーション外部からブラウザインスタンスの制御が可能になりました。新たに以下の 3 つのエンドポイントが追加され、より多くのブラウザタスクを自動化できます。
-
/json
- Web ページから構造化データを抽出します。
-
/links
- Web ページ内の全リンクを取得します。
-
/markdown
- Web ページのコンテンツを Markdown 形式に変換します。
Deploy to Cloudflare ボタンの提供開始
Deploy to Cloudflare ボタンの提供を開始しました。これにより、GitHub リポジトリから Cloudflare へのデプロイが、ブラウザ上のワンクリック操作で完結するようになりました。このボタンを利用することで、開発者はあらかじめ構成されたテンプレートやサンプルアプリをすばやく自身の Cloudflare アカウントにデプロイできます。従来のように Wrangler のセットアップや手動での設定を行う必要はなく、Cloudflare Pages や Workers の初期導入が大幅に簡素化されます。利用者は、以下のようなユースケースでこのボタンを活用できます。
- OSS プロジェクトの導入ガイド簡略化
- 社内向けツールやサンプルアプリの配布
- 複数人への統一されたデプロイ環境の共有
Durable Objects
Durable Objects が GA
SQLite をバックエンドとする Durable Objects と、sql.exec などの対応 Storage API メソッドがベータ版から一般提供 (GA) に移行しました。新しい Durable Object クラスでは、キーバリュー型ストレージではなく、Wrangler の設定を用いた SQLite ストレージの利用が推奨されます。
SQLite in Durable Objects GA with 10GB storage per object
SQLite をバックエンドとする Durable Objects が正式に一般提供(GA)となり、各 Durable Object に対して 10GB の SQLite データベースが利用できるようになりました。2024 年 9 月のパブリックベータ以降、従来のキーバリューストレージ (KV) バックエンドと同等の機能性と堅牢性を実現するために改善が行われました。
新規の Durable Object クラスでは、Wrangler の new_sqlite_classes
設定を使用して SQLite バックエンドを利用することが推奨されます。SQLite を利用する Durable Objects では、Storage API の SQL メソッドやポイントインタイムリカバリ機能が利用可能になり、リレーショナルなデータモデリング、SQL クエリ、効率的なデータ管理が実現されます。なお、後方互換性のために KV バックエンドの Durable Objects は引き続き利用可能ですが、既存の Durable Object クラスについては、将来的に KV ストレージから SQL ストレージへの移行パスが提供される予定です。
サンプル
export class MyDurableObject extends DurableObject {
sql: SqlStorage;
constructor(ctx: DurableObjectState, env: Env) {
super(ctx, env);
this.sql = ctx.storage.sql;
}
async sayHello() {
let result = this.sql
.exec("SELECT 'Hello, World!' AS greeting")
.one();
return result.greeting;
}
}
Workflows
Workflows が一般提供(GA)に
Workflows を一般提供(GA)としてリリースしました。これにより、すべての有料 Workers プランユーザーが追加の申し込みなしで、Cloudflare のサーバレスオーケストレーション機能を本番環境で利用できるようになりました。Workflows は、複数のステップで構成される非同期処理や分岐・再試行・スケジューリングなどを、Workers 上でノーコードまたは少ないコードで構築できる仕組みです。リクエストベースのアプリケーションからイベント駆動型のワークフロー、バッチ処理まで幅広いユースケースに対応しています。GA に伴い、以下の改善も行われています
- インスタンスの同時実行上限の引き上げ(最大 4,500)
- ワークフローエディタの UI 改善
- 実行ログとステータスの可視化強化
D1
D1 Read Replication Public Beta
D1 の読み取りレプリケーションがパブリックベータとして利用可能になりました。EC サイトやコンテンツ管理ツールのような読み取り集約型アプリケーションにおいて、平均レイテンシの低減および全体的なスループットの向上が期待できます。Workers は、D1 Sessions API を利用して読み取り専用のデータベースコピー(read replicas)を活用できます。Sessions API は、1 つの論理セッション内の全クエリをカプセル化し、逐次的な一貫性を保証することで、データ整合性の問題を回避します。また、前回のセッションから取得したブックマークを用いることで、セッション間での論理一貫性が維持されます。読み取りレプリカは、Cloudflare により自動的に作成され(現在、サポートされている D1 各地域に 1 つずつ)、クエリトラフィックに基づいて自動でアクティブまたは非アクティブに切り替えられ、追加費用なしで透過的にルーティングされます。
サンプル
// コード例: HTTP ヘッダーから前回のブックマークを取得し、D1 Sessions API を用いてセッションを開始する例
// HTTP ヘッダーから前回のブックマークを取得
const bookmark = request.headers.get("x-d1-bookmark") ?? "first-unconstrained";
// D1 Sessions API を使用してセッションを開始
const session = env.DB.withSession(bookmark);
// 'Bs Beverages' の顧客情報を取得するクエリの実行
const result = await session
.prepare(`SELECT * FROM Customers WHERE CompanyName = 'Bs Beverages'`)
.run();
// 将来のセッションに備え、ブックマークを HTTP ヘッダーに設定
response.headers.set("x-d1-bookmark", session.getBookmark() ?? "");
Hyperdrive
Hyperdrive - MySQL および MySQL 互換データベースのサポート導入
Hyperdrive が、Amazon RDS や Aurora MySQL、Google Cloud SQL for MySQL、Azure Database for MySQL、PlanetScale、MariaDB など、MySQL およびその互換データベースへの接続をサポートするようになりました。これにより、Cloudflare Workers から地域ごとの MySQL データベースへ迅速に接続でき、接続セットアップ時の不要なネットワークラウンドトリップの削減、グローバルな接続プールの活用、クエリ結果のキャッシュにより、応答時間を大幅に改善します。さらに、従来ご利用のドライバー、ORM、クエリビルダーをそのまま利用でき、Hyperdrive の安全な認証情報を使って接続できるため、コードの変更は不要です。
サンプル
import { createConnection } from "mysql2/promise";
export interface Env {
HYPERDRIVE: Hyperdrive;
}
export default {
async fetch(request, env, ctx): Promise<Response> {
const connection = await createConnection({
host: env.HYPERDRIVE.host,
user: env.HYPERDRIVE.user,
password: env.HYPERDRIVE.password,
database: env.HYPERDRIVE.database,
port: env.HYPERDRIVE.port,
disableEval: true, // Required for Workers compatibility
});
const [results, fields] = await connection.query("SHOW tables;");
ctx.waitUntil(connection.end());
return new Response(JSON.stringify({ results, fields }), {
headers: {
"Content-Type": "application/json",
"Access-Control-Allow-Origin": "*",
},
});
},
} satisfies ExportedHandler<Env>;
Workers Free プランに Hyperdrive を提供開始
Workers の Free プランで Hyperdrive が利用可能になり、PostgreSQL や MySQL などの SQL データベースに妥協なく接続できるようになりました。低遅延なデータベースアクセスは、フルスタック Workers アプリケーション構築に欠かせない要素です。今回の更新により、使用するツールに関係なく、誰でも高速かつグローバルなアプリケーションを開発できる環境が整いました。さらに、Hyperdrive を利用すれば、データベースクエリの実行速度が最大 4 倍速くなる可能性があり、詳細はディープダイブ記事でご確認いただけます。PostgreSQL や MySQL 向けの Hyperdrive の使い方については、ドキュメントをご参照ください。
Hyperdrive - カスタム TLS/SSL 証明書のサポート
Hyperdrive は、データベース接続のセキュリティを強化するため、より柔軟な SSL/TLS オプションに対応しました。以下の機能が利用可能です:
-
サーバー証明書の検証:
verify-ca
またはverify-full
SSL モードを使用して、サーバー証明書の検証を行い、マン・イン・ザ・ミドル攻撃から保護します。 -
クライアント証明書の提供 (mTLS):
データベースサーバーへの認証にクライアント証明書を使用することで、ユーザー名とパスワード以上のセキュリティを実現します。
また、新しい wrangler cert
コマンドを使用して、証明書局 (CA) 証明書バンドルやクライアント証明書ペアを作成することができます。
# Create CA certificate bundle
npx wrangler cert upload certificate-authority --ca-cert your-ca-cert.pem --name your-custom-ca-name
# Create client certificate pair
npx wrangler cert upload mtls-certificate --cert client-cert.pem --key client-key.pem --name your-client-cert-name
次に、証明書と希望する SSL モードを使用して Hyperdrive 構成を作成します。
npx wrangler hyperdrive create your-hyperdrive-config \
--connection-string="postgres://user:password@hostname:port/database" \
--ca-certificate-id <CA_CERT_ID> \
--mtls-certificate-id <CLIENT_CERT_ID>
--sslmode verify-full
R2
R2 Data Catalog がオープンベータとしてリリースされました。R2 Data Catalog は R2 バケットに直接組み込まれたマネージド Apache Iceberg データカタログです。標準的な Iceberg REST カタログインターフェースを提供するため、Spark、Snowflake、PyIceberg などのエンジンと連携して、既存のツールを用いてテーブルに対するクエリを実行することが可能です。R2 バケットの設定から R2 Data Catalog を有効化するか、以下のコマンドで簡単にデータカタログを有効にできます。
npx wrangler r2 bucket catalog enable my-bucket
AutoRAG
AutoRAG がオープンベータに
AutoRAG は、Cloudflare が提供する完全管理型の Retrieval-Augmented Generation (RAG) パイプラインです。開発者はインフラ管理の手間をかけずに、コンテキストを活用した AI 機能をアプリケーションに統合できます。ドキュメントを R2 にアップロードするだけで、埋め込み、インデックス作成、検索、API を通じた応答生成といった処理を自動で行います。AutoRAG の主な特徴は以下の通りです。
- パイプラインのカスタマイズ
- Workers AI モデルの選択、チャンク戦略の設定、システムプロンプトの編集など、柔軟にパイプラインをカスタマイズできます。
- 迅速なセットアップ
- 必要な Vectorize、AI Gateway、パイプラインロジックなどを自動でプロビジョニングし、数秒で動作する RAG パイプラインを構築可能です。
- インデックスの最新性保持
- データソースと連携してインデックスを継続的に更新し、常に正確で最新の応答が得られるようにします。
- 問い合わせ機能
- Workers のバインディングまたは API を通じて、データにクエリを実行し、根拠ある応答を素早く取得できます。
Browser Rendering
無料プランへの提供、および追加エンドポイントを備えた REST API の GA リリース
Browser Rendering に新たに無料プランへのユーザーへ提供開始され、REST API が一般提供 (GA) になりました。さらに、新たに以下のエンドポイントがリリースされています。
/json
/links
/markdown
Workers AI
@cf/myshell-ai/melotts の価格修正
料金ドキュメントが更新され、melotts の正しい料金が「1 オーディオ分あたり $0.0002」と明記されました。以前は入力トークンに基づく課金と誤って記載され、実際よりも高い料金になっていたため、今回の修正により、よりお得な料金体系であることが確認されました。
推論速度の向上と新モデルの追加
Workers AI において推論速度の大幅な向上と新しい AI モデルの追加を発表。より軽量な実行環境と効率的なスケジューリングにより、gpt-2
、mistral-7b-instruct-v0.1
、llama-2-7b-chat-fp16
のモデルにおいて推論速度が最大 75%向上しました。これにより、応答性が改善され、インタラクティブな AI 体験がより快適になります。加えて、以下の新しいモデルが追加されました。
-
@cf/google/t5-small
- テキスト要約や翻訳などで使える軽量な NLP モデル
-
@cf/Xenova/clip-vit-base32
- 画像とテキストの関連性判定に用いられるクロスモーダル埋め込みモデル
Agents
Agents SDK を使用して MCP サーバーを構築が可能に
Agents SDK に、エージェント内で直接リモート MCP (Model Context Protocol) サーバーを構築できる組み込みサポートが追加されました。これにより、追加のインフラや複雑な設定なしに、MCP サーバーの作成および管理が容易になります。新機能として導入された MCPAgent クラスは、従来の Agent クラスを拡張しており、MCP プロトコルを通じてリソースやツールを公開するほか、リモート MCP サーバーを有効にするための認証および認可機能も提供します。
サンプル
export class MyMCP extends McpAgent<Env> {
server = new McpServer({
name: "Demo",
version: "1.0.0",
});
async init() {
this.server.resource(`counter`, `mcp://resource/counter`, (uri) => {
// ...
});
this.server.tool(
"add",
"Add two numbers together",
{ a: z.number(), b: z.number() },
async ({ a, b }) => {
// ...
}
);
}
}
以下のコマンドで agents-starter プロジェクトを利用して試すこともできます。
npm create cloudflare@latest -- --template cloudflare/agents-starter
Email Routing
Email Workers のためのローカル開発をサポート
Email Workers を利用することで、受信したメールに対してプログラムでアクションを起こすことが可能になります。今回のアップデートにより、Email Workers スクリプトの動作をローカル環境でテストできるようになりました。つまり、npx wrangler dev
を実行すると、ローカルに /cdn-cgi/handler/email
エンドポイントが公開され、ここに POST
リクエストを送ることで、Workder の email()
ハンドラが起動します。
以下は、email()
ハンドラでメールメッセージを受信し、postal-mime
を使って解析する例です。
サンプル
import \* as PostalMime from 'postal-mime';
export default {
async email(message, env, ctx) {
const parser = new PostalMime.default();
const rawEmail = new Response(message.raw);
const email = await parser.parse(await rawEmail.arrayBuffer());
console.log(email);
},
};
Realtime
Cloudflare Realtime クローズドベータ
Cloudflare Realtime は招待リクエストをしたユーザー向けに、クローズドベータとして提供されています。
Cloudflare Realtime オープンベータ
Cloudflare Realtime はオープンベータ版としてリリースされ、Cloudflare ダッシュボードからご利用いただけます。
TURN サービス 一般提供 (GA)
Cloudflare Realtime TURN サービスが一般提供され、リアルタイムコミュニケーションにおける一般的な課題に対応します。詳しくはブログ記事や TURN ドキュメントをご覧ください。
Secrets Store
Cloudflare Secrets Store ベータ版リリース
Cloudflare Secrets Store が本日よりベータ版として利用可能になりました。これにより、安全かつ集中管理されたプラットフォームから、アカウントレベルのシークレットを保存、管理、デプロイできるようになりました。Secrets Store を起動するには、ダッシュボード内の新しい「Secrets Store」タブをクリックするか、以下の Wrangler コマンドを実行します。
wrangler secrets-store store create <name> --remote
ベータ版では、以下の機能がサポートされています
- Secrets Store UI & API
- シークレットストアの作成、シークレットの作成、複製、更新、スコープ設定、削除が可能です。
- Workers UI
- 新規または既存のアカウントレベルのシークレットを Worker にバインドし、コードを通じてデプロイできます。
- Wrangler
- シークレットストアの作成およびシークレットの作成、複製、更新、スコープ設定、削除が可能です。
- アカウント管理 UI & API
- Secrets Store の権限ロールの割り当てや、Secrets Store プラットフォームでの操作に対する監査ログの確認が行えます。
Rules
Cloudflare Snippets が一般提供 (GA) に
Cloudflare Snippets が、すべての有料プラン(Pro、Business、Enterprise)で追加費用なしで利用できる形で正式に一般提供されました。軽量な JavaScript を使って HTTP トラフィックをプログラム的に制御できるため、動的なヘッダー書き換えから高度なルーティングロジックまで、さまざまなユースケースに柔軟に対応可能です。
- 主な特徴は以下の通りです
- 追加費用なしで利用可能:すべての有料プランで利用でき、コストを気にせず導入できます。
- 生産環境での利用に適した信頼性とスケーラビリティ:本番運用向けの経験を提供し、規模拡大にも対応します。
- Cloudflare Rules プラットフォームとの統合:他の Cloudflare 製品からのリクエスト修正を継承し、複数の Snippets をシーケンシャルに実行してカスタムな変更を段階的に適用できます。
- Trace との統合:Cloudflare Trace を使用することで、各リクエストでどの Snippets がトリガーされたかを確認でき、トラフィックフローの理解や効果的なデバッグが可能です.
Pipelines
Cloudflare Pipelines が、Workers Paid プランのユーザー向けにベータ版としてリリースされました。Pipelines を利用すれば、HTTP もしくは Worker 経由で 1 秒あたり最大 100 MB のリアルタイムデータを取り込み、データを自動でバッチ処理し、出力ファイルとしてまとめた上で、お客様の R2 バケットへ配信できます。これにより、クリックストリームデータのデータレイク構築や、Worker のイベントの保存など、高ボリュームのデータ処理をインフラ管理の負担なく実現できます。
パイプラインの作成例
$ npx wrangler@latest pipelines create my-clickstream-pipeline --r2-bucket my-bucket
🌀 Authorizing R2 bucket "my-bucket"
🌀 Creating pipeline named "my-clickstream-pipeline"
✅ Successfully created pipeline my-clickstream-pipeline
Id: 0e00c5ff09b34d018152af98d06f5a1xvc
Name: my-clickstream-pipeline
Sources:
HTTP:
Endpoint: https://0e00c5ff09b34d018152af98d06f5a1xvc.pipelines.cloudflare.com/
Authentication: off
Format: JSON
Worker:
Format: JSON
Destination:
Type: R2
Bucket: my-bucket
Format: newline-delimited JSON
Compression: GZIP
Batch hints:
Max bytes: 100 MB
Max duration: 300 seconds
Max records: 100,000
🎉 You can now send data to your pipeline!
Send data to your pipeline's HTTP endpoint:
curl "https://0e00c5ff09b34d018152af98d06f5a1xvc.pipelines.cloudflare.com/" -d '[{ ...JSON_DATA... }]'
To send data to your pipeline from a Worker, add the following configuration to your config file:
{
"pipelines": [
{
"pipeline": "my-clickstream-pipeline",
"binding": "PIPELINE"
}
]
}
Access
Cloudflare Zero Trust SCIM ユーザーおよびグループプロビジョニングログ
Cloudflare Zero Trust の SCIM プロビジョニングでは、SCIM 対応の IdP から送信されるユーザーおよびグループの作成、更新、削除イベントすべての監査ログが記録されるようになりました。これらの SCIM ログは、IdP、イベントタイプ、結果など、さまざまなフィールドでのフィルタリングに対応しており、ユーザーおよびグループの更新に関する問題のデバッグや問い合わせの際に役立ちます。SCIM ログは、Zero Trust ダッシュボードの「Logs」セクション内の「SCIM provisioning」から確認できます。
Gateway
HTTP リダイレクトとカスタムブロックページリダイレクト
Cloudflare One の Gateway において、HTTP ポリシーでのリダイレクト機能が強化されました。HTTP ポリシービルダーに「リダイレクト」アクションが追加され、ポリシーにマッチしたリクエストを任意の URL に転送できるようになりました。元の URL やクエリ文字列を保持しつつ、必要に応じてポリシーのコンテキスト情報をクエリパラメータで渡すことも可能です。さらに、アクセス拒否時に表示するブロックページ用の URL をアカウントレベルでカスタマイズできるようになり、DNS や HTTP ポリシーごとに上書き設定することもできます。
Stream
Signed URLs と Stream Live WebRTC ベータのインフラ改善
Cloudflare Stream は、Live WebRTC ベータサポートに対するインフラのアップグレードを完了しました。これにより、スケーラビリティが向上し、すべての顧客に対して再生パフォーマンスが改善されました。WebRTC を使えば、ブラウザ(または対応する WHIP クライアント)からの超低遅延の放送を、世界中の数万の同時視聴者に向けて行うことができます。さらに、このアップグレードにより、WebRTC ベータでも HLS や DASH の標準的なライブストリームオプションと同様に、再生保護のための Signed URLs がサポートされるようになりました。
筆者の感想
今週は Developer Week 2025 の内容とそこで紹介のなかったがアップデートされていたものを併せて取り上げています。Developer Week の reCap 的な記事は別で書いてるのでお待ちくださいませ!
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