OpenAI Codex CLI入門:ターミナルで動くAIコーディングエージェントを徹底解説
TL;DR
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Codex CLI とは?
- ターミナルで動作する OpenAI 製の AI コーディングエージェント(オープンソース)。
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主な機能
- ローカル実行、画像入力対応、3 段階の承認モード、安全なサンドボックス実行。
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使い方
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npm install
と API キー設定で開始。自然言語で指示し、コード生成・編集・実行を支援。
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はじめに
「Codex」という名前を聞いて、数年前に話題になった API を思い浮かべる方もいるかもしれません。しかし、2025 年に OpenAI から発表された「Codex CLI」は、それとは全く異なる新しいコマンドラインツールです。
この記事では、この新しいOpenAI Codex CLIに焦点を当て、その特徴、セットアップ方法、使い方まで、詳しく解説します。初代 Codex モデルとその API 廃止の経緯にも触れ、「Codex」という名前の変遷も整理していきます。
ターミナルでの開発効率向上に関心のある方、最新の AI コーディングツールを探求したい方は、ぜひご覧ください!
2 つの「Codex」の違いとは?
まず、「Codex」という名前が指す 2 つのものを明確に区別していきましょう!
初代 OpenAI Codex (2021-2023)
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概要
- 2021 年頃に登場した、GPT-3 モデルを基盤とするコード生成特化 AI モデル。120 億パラメータを持ち、GitHub 上の膨大なコード(5400 万リポジトリ、159GB の Python コード等)で学習されました。Python、JavaScript、Java など十数種類の言語に対応していました。
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API 廃止
- 2023 年 3 月 23 日に API 提供が終了。OpenAI は後継モデル(GPT-3.5-Turbo、現在は GPT-4o を推奨)の性能向上を理由としましたが、突然の告知はユーザーに影響を与えました。
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ライセンス問題
- 公開コードでの学習方法が、GPL などのライセンス条件に抵触する可能性が Free Software Foundation (FSF)などから指摘され、議論となりました。
OpenAI Codex CLI (2025~)
2025 年 4 月 16 日、OpenAI は全く新しいツールとして「Codex CLI」を発表しました。これは廃止されたものとは異なり、OpenAI の最新 AI 推論モデル(デフォルトは o4-mini) を活用する、オープンソースのコマンドラインツールです。
OpenAI Codex CLI の核心:何ができて、何が新しいのか?
Codex CLI は、ターミナル中心の開発者のための「軽量コーディングエージェント」として設計されています。
主な特徴
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ターミナル完結の操作
- ターミナル上で AI と対話し、コード生成、編集、実行、デバッグなどを行えます。
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ローカル実行とセキュリティ
- ファイル操作やコマンド実行は基本的にローカルマシン上で行われます。ソースコード全体が外部に送信されることはなく、プロンプトや差分情報など最小限の情報のみが API に送られます。
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マルチモーダル入力
- テキスト指示に加え、スクリーンショットや図、手書きスケッチなどの画像を入力として利用できます。デザインから直接コード生成などが可能です。
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段階的な自律性制御(承認モード)
- AI の操作権限を 3 段階で制御できます。
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suggest
(デフォルト): 提案のみ。実行にはユーザー承認が必要。 -
auto-edit
: ファイル編集は自動。コマンド実行前に承認が必要。 -
full-auto
: ファイル編集・コマンド実行をサンドボックス内で自動化。
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- AI の操作権限を 3 段階で制御できます。
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サンドボックスによる安全な実行
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full-auto
モードでは、コマンドは現在の作業ディレクトリに限定され、ネットワークアクセスが無効化された安全な環境(サンドボックス)で実行されます。
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オープンソース
- ソースコードは GitHub で公開されており、透明性とコミュニティによる貢献が期待できます。
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最新モデルの利用
- デフォルトは高速な
o4-mini
モデル。o3
やgpt-4.1
など、OpenAI Responses API で利用可能な他のモデルも指定できます。
- デフォルトは高速な
開発における活用シナリオ
以下のような内容が公式ドキュメントに書いていましたが、とにかく色んなことに使えるってことだけ覚えておけば良いかと!
とりあえず分からなかったら Codex に聞けばいい!って感じです。
- リポジトリ全体の概要把握
- コードのリファクタリング支援
- ユニットテストの自動生成と実行
- ファイルの一括リネーム等の定型作業自動化
- 正規表現やシェルコマンドの解説
- SQL マイグレーションファイルの生成
- コードの脆弱性スキャン依頼
- 新規プロジェクトの骨組み作成
Codex CLI セットアップガイド
Codex CLI を使い始めるための手順です。
料金について
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ツール自体は無料
- オープンソースのため、インストールや利用に料金はかかりません。
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API 利用料が発生
- 内部で利用する OpenAI モデルの API 呼び出しに対して、従量課金が発生します。料金は使用したモデルとトークン数に基づきます。
- 例:
o4-mini
(2025 年 4 月時点) 入力 $1.10/1M トークン, 出力 $4.40/1M トークン。
- 例:
- 内部で利用する OpenAI モデルの API 呼び出しに対して、従量課金が発生します。料金は使用したモデルとトークン数に基づきます。
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コスト管理
- OpenAI の Billing 設定で利用上限額を設定できます。
- 僕は使いすぎそうなので設定しておきます!!
- OpenAI の Billing 設定で利用上限額を設定できます。
インストールと初期設定
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前提条件(公式ドキュメント抜粋)
- OS: macOS 12+, Ubuntu 20.04+/Debian 10+, Windows 11 (WSL2 経由)
- Node.js: v22 以降 (LTS 推奨)
- Git: v2.23 以降 (推奨)
- RAM: 4GB 以上 (8GB 推奨)
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Codex CLI のインストール
ターミナルで以下を実行します。
npm install -g @openai/codex
npm install -g @openai/codex # or yarn global add @openai/codex # or bun install -g @openai/codex # or pnpm add -g @openai/codex
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OpenAI API キーの設定
環境変数に API キーを設定します。
export OPENAI_API_KEY="YOUR_API_KEY_HERE"
(永続化はシェルの設定ファイル
.zshrc
や.bashrc
に追記、またはプロジェクトルートに.env
ファイルを作成) -
プロジェクトへ移動
作業ディレクトリに移動します。
cd /path/to/your/project
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起動
ターミナルで
codex
と入力します。codex
こんな感じの画面が表示されていれば成功です!
これで Codex デビューすることができました!
Codex CLI の使い方
基本コマンドと主要フラグ
コマンド/フラグ | 説明 | 使用例 |
---|---|---|
codex |
対話モードを開始 | codex |
codex "プロンプト" |
指定プロンプトで対話モード開始 | codex "README.md を更新して" |
codex -q "プロンプト" |
非対話モードで実行(スクリプト向き) | codex -q --json "main.py を説明して" |
--model / -m
|
使用する AI モデルを指定 | codex -m o3 "コードをリファクタリング" |
--approval-mode / -a
|
承認モードを指定 | codex -a full-auto "テストを実行して" |
--upgrade |
Codex CLI を最新バージョンに更新 | codex --upgrade |
/mode <モード> |
(対話モード内) 承認モードを切り替え | /mode auto-edit |
設定ファイルとカスタム指示
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設定ファイル (
~/.codex/config.yaml
orconfig.json
)- デフォルトモデルや承認モードなどを永続的に設定できます。
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カスタム指示 (
~/.codex/instructions.md
orプロジェクト/codex.md
)- AI の応答スタイルやルールを Markdown 形式で定義できます。
Codex に挨拶する!!
セットアップが終わったら、まずは Codex にあいさつしてみましょう。
ターミナルで codex と入力して対話型シェルを起動し、こんなプロンプトを渡してみてください。
TypeScriptで「こんにちは、Codex!」とコンソールに出力する関数を書いて
すると 10 秒ほど考えてこんな感じの出力が得れました!
「おお、本当にコードを吐いてきた!」
そんなファーストインプレッションを味わえたら成功です。これであなたと Codex との「はじめまして記念日」を迎えることができました!!!
まとめ
OpenAI Codex CLI は、初代 Codex API とは異なる、ターミナルベースの新しい AI コーディングエージェントです。ローカル実行、マルチモーダル入力、段階的な自律性制御、サンドボックスといった特徴を持ち、ターミナル中心の開発ワークフローを強力に支援する可能性を秘めています。
利用にあたっては、API の従量課金、ツールの実験的な性質、そして AI コード生成に伴うセキュリティやライセンスのリスクを理解しておくことが重要です。生成されたコードのレビューと検証は、依然として開発者の重要な仕事です。
Codex CLI のようなツールは、開発者の役割を進化させます。AI を効果的に活用し、より高度な問題解決や設計に注力するために、新しいスキルを習得し、変化に適応していくことが求められるでしょう。
ぜひ Codex CLI を試し、自身の開発スタイルに合うか、どのような価値をもたらすかを探求してみてください!!それではまた!
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