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分散技術勉強会 〜クラウドと分散技術のよもやま話〜

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「分散技術勉強会 〜クラウドと分散技術のよもやま話〜」 イベントレポート

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はじめに

本記事は、2025年9月13日にさくらインターネット「Blooming Camp」イベントスクエアにて開催された GDG on Campus Osaka 主催「分散技術勉強会」イベントのレポートです。

分散技術とは...

分散技術とは、複数のコンピュータをネットワークで連携させ、全体で一つの大きなシステムのように動かす技術です。処理を分担することで、一台では実現できない高い性能や信頼性(止まりにくさ)を実現します。Google 検索やクラウドサービス、ブロックチェーンなど、現代の多くのITサービスの基盤となっています。(Generated by Gemini)


イベント概要

  • イベント名: 分散技術勉強会 & 懇親会
  • 日時: 2025年9月13日 13:00 ~ 16:00
  • 開催場所: さくらインターネット「Blooming Camp」イベントスクエア
  • 主催: GDG on Campus Osaka
  • 参加者人数: 現地 18 人・オンライン 24 人

https://gdsc-osaka-univ.connpass.com/event/358767/
https://www.youtube.com/live/waM90HAqDDo

Opening (13:00 ~ 13:05)

Speaker: いたこす (GDG on Campus Osaka Organizer)

  • GDG on Campus の紹介
  • 本日のスケジュール
  • 会場案内

Blooming Camp 紹介 (13:05 ~ 13:10)

  • さくらインターネット
    • レンタルサーバーなどを提供
  • Blooming Camp のコンセプトは「やりたいことをできるに変える」

Google Cloud Next recap (13:10 ~ 13:40)

Speaker: 久保 智夫 (グーグル・クラウド・ジャパン合同会社)

本セッションでは、Google Cloud Next Tokyo 2025 で発表された内容について分かりやすく紹介、解説していただきました。
8 月の Google Cloud Next で発表された内容さえも、日々の急速なアップデートにより既に陳腐化しているのだそうです。その中でも、今回は AI に重点を置いてお話ししくださいました。

アップデートされて続けている AI の中でも革新的なものとして複数のモデルが紹介されました。

  • Gemini 2.5 Flash Image (Nano Banana): 高度な画像生成
  • Imagen 4: 高度な画像生成
  • Veo 3: 最大 8 秒の動画生成
  • Lyria 2: オリジナル音楽の生成

また、その他にも各種 Builder のアップデートについても紹介していただきました。

  • Model Builder: LLM モデルのカスタマイズ方法を提供する。
  • Agent Builder: 高度なエージェントの構築を支援するための機能を提供する。

Spanner 沼への一歩 (13:40 ~ 14:50)

Speaker: sinmetal (株式会社メルペイ, GAE マイスター, Google Developer Expert (Cloud))

本セッションでは、分散型データベースの代表例である Spanner とその沼について GDE/Merpay Solution Team の sinmetal さんに熱く語っていただきました。sinmetal さんには LT 枠として後ほど再びご登壇いただきました。Spanner の基本的な特徴から、問題やその解決策まで非常にわかりやすく、初心者でも分散技術についてよく理解できるように説明していただきました。

セッションでは、一部のスプリットにアクセスが集中してしまう hotspot 問題の原因や、仕様やアクセスパターンによるその解決策を紹介いただきました。

sinmetal さんによると、「Spanner の特定の機能が使いたいから Spanner を立ち上げる人もいる」とのことです。

Kubernetes でやってみる分散処理 (15:00 ~ 15:15)

Speaker: たくてぃん (フリーランス, HACK.BAR)

本セッションでは、Kubernetes にて行う分散処理についてその仕組みをたくてぃんさんに解説していただきました。たくてぃんさんは HACK.BAR の経営もされており、BAR で実際に運用しているモバイルオーダーシステムを Kubernetes を用いて作成したとのことです。
クラウドではなくオンプレの場合特有の問題とそれを実際に解決した方法などを紹介いただきました。

Media over QUIC でリアルタイムサービスを成長させる (15:20 ~ 15:35)

Speaker: 奥谷 大地 (京大 AI Coding 研究所 代表)

本セッションでは、Media over Quick (MoQ) について、その特徴や MoQ に期待することなどを奥谷さんに紹介いただきました。奥谷さんは京都大学のサークル、京大 AI Coding 研究所の代表をされています。奥谷さんは「独自のライブ配信サービスを作りたい」ということをきっかけとして、リアルタイム通信技術を身に着けたいと思い、MOQを勉強することになったそうです。

また、MoQ ができること・期待することについてご紹介いただきました。

  • 低遅延配信
  • スケーラビリティ
  • HTTP と同じくらいの配信コスト
  • サーバー障害に強い

[LT] Kubernetes で分散処理してみる -kafkaを添えて- (15:50 ~ 16:00)

Speaker: 緒方 克哉 (大阪大学M2)

本 LT では、レイトレーシングによる画像処理を Kubernetes を用いて分散処理した話について緒方さんにご紹介いただきました。今回使用する Kafka の特徴を数点紹介していただきました。

  • PUb/Sub messaging model
  • 通信とビジネスロジックが疎結合になる
  • Pub, Sub を容易にスケールできる
  • 非同期で処理を実行できる
  • 障害耐性がある

また、この実験を通じて 2 つのこと学んだとのことです。

  • Kubernetes を用いることで、Pub/Sub モデルでの分散処理を手ごろに行うことができる。
  • Kafka を用いることで、Subscriber をスケールさせて処理時間を短縮することができる。

[LT] 分散技術の通信とセキュリティ (16:00 ~ 16:10)

Speaker: 高 祐希 (京都産業大学 B1)

本 LT では、分散技術におけるセキリュティについて京都産業大学 1 年の高さんに紹介いただきました。高さんは 7 月に開催された Google I/O Extended in Osaka に参加したことをきっかけに今回 LT に参加してくださいました。分散技術におけるセキリュティ関連について調べ、お話ししてくださいました。

今回 LT 参加にあたり勉強したことで大きく 2 つのことを学んだとのことです。

  • 分散技術システムに関するセキリュティリスクは多種多様
  • しかしそれに対抗するセキリュティ多くあることが分かった

[LT] Spanner 沼への一歩 (New Features) (16:10 ~ 16:30)

Speaker: sinmetal (株式会社メルペイ, GAE マイスター, Google Developer Expert (Cloud))

序盤のセッション登壇に続き、LT 枠にも登壇していただきました。LT 枠では、Spanner の新機能についてデモを交えながら紹介いただきました。

  • フルテキストサーチ (FTS): 検索の会社として長年待望されていた機能。インデックスを作成し、クエリを実行するだけで簡単に全文検索が可能になる。数字 ⇔ テキスト間の変換やスペルミス、漢字・ひらがな・ローマ字などに対応している。
  • Columnar Engine: 通常の Spanner がテーブルを行ごとに保存するのに対し、新たに対応した Columnar Engine では列ごとにデータが連続して保存される。同じ型が連続するため圧縮率が高く、更にブール型のような値の種類が少ない場合にはさらにディスク容量を小さくできる (なお、BigQuery の実行モデルは Columnar Engine)

[LT] ROS 2 でルンバを動かそう! (16:30 ~ 16:40)

Speaker: 榊間 友晴 (豊橋技術科学大学)

本 LT では、ROS 2 を用いてルンバを動かす実験について榊間さんにご紹介いただきました。榊間さんがルンバを動かそうと思ったきっかけは、まずロボットを触ってみたかったからだそうです。そこでラズパイによるロボット制御の話を聞き制作を始めるに至ったということです。
作成にあたり榊間さんは、中古の機器を使用すれば予想以上に安く作成できること、ソフトウェア面での通信の構築で失敗してしまったことなどが印象的だったそうです。

Closing (16:50 ~ 17:00)

Speaker: あやりん (GDG on Campus Osaka Organizer)

  • アンケートのご案内
  • GDG on Campus Osaka の紹介
  • 写真撮影

感想・学び

  • クラウドは容易にスケールでき、大きなデータや重い計算を処理できるのがメリットです。しかし、それには相応のコストが掛かってしまいます。今回のイベントで解説されていたような分散技術の動作原理を理解しておくことで、より低コストで効率的なクラウドの運用ができるようになると感じました。
  • 近年の Web サービスの増加や AI の進化によりクラウドの需要は更に増大し、Google Cloud はどんどん新機能を発表しています。そのすべてを理解するのは不可能に近いですが、実際に使う際に適切なツールを選択できるようになりたいものです。
  • 分散技術をテーマとして、初心者にも学びのある有意義なイベントでした。今回学んだことを振り返るべく、自分でも分散技術を試してみたいと思います!

おわりに

GDGoC Osaka では今後も、初心者から参加可能な実践的なイベントを継続して開催予定です。興味のある方は、ぜひ次回ご参加ください!
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https://gdsc-osaka-univ.connpass.com/

GDG on Campus: Osaka

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