いろいろなルビ記法
前置き
ルビを付ける機能の存在だけで、文字を書くなり読むなりするソフトウェアなりサービスなりの自由度はかなり上がります。ルビがあれば、例えば 『卍♰暗黒殲滅刃♰卍』 という文字列の後ろに 『(ダークネスキリングソード)』 みたく全角カッコつきで読みを補完する、なんてダサさの極みみたいな行動を取る必要は無くなりますし、傍点だって打つことができます。ルビは、私たちに様々なもの―――文脈を無視した注釈・強調・芸・カッコの駆逐など―――を与えてくれるのです。今回は、そんなルビの振り方をタイプごとに分類してみましょう。
いろいろなルビ
小説投稿サイト
小説投稿サイトはルビに溢れています。取り合えず打っとけみたいなところすらあります。何せハーメルンとかNovelismみたいな例外を除けば基本的に太字が使えませんから、強調には必然的にルビを必要とするのです。例えばあいうえお
という文字列に・・・・・
というルビを振れば事実上の傍点になりますし、何だったら『傍点を振る機能』として書式を独立させているケースもあります(後述)。
|対象《ルビ》
極めてオーソドックスな奴です。パイプ記号(|
)では全角でも半角でも構わない、というサービスが殆どだと思えます。[1]ルビのスタートとストップが明確化できるのがグッド。
対象《ルビ》
上と似ていますが若干違います。これはどこにルビを振るか自動で判定するという代物で、大抵の場合は「ルビの後ろにある漢字の部分はすべて対象」みたいな感じです。要するに例えば 「美味しい磯巾着《いそぎんちゃく》
みたいな文字列を見たならば
1.着
からさかのぼり始める
2.着
、漢字なので続行
3.巾
、漢字なので続行
4.磯
、漢字なので続行
5.い
、漢字ではないので判定を停止
といった処理を踏まえて最終的に磯巾着
の部分にルビを振る、といった具合です。基本的に|対象《ルビ》
記法の下位互換であり、極めて限定的な場面でしか使わないと思います。実装されているサイトも少なく、メジャーな所だと青空文庫と小説家になろうくらいです。あとエブリスタ
|対象(ルビ)
小説家になろうに存在する記法です。括弧は全角でも半角でも構いませんし、何なら混ぜることも可能です。他のサービスで見たことは無いです。
#単語__ルビ__#
アルファポリスに存在する記法です。形状がキモい
[[rb:単語 > ルビ]]
pixivの小説で使うルビです。
《《対象》》
所謂傍点記法です。小説家になろうでは|対象《・・》
あるいは|対《・》|象《・》
と言った風に中黒でルビを振ることで傍点を打ちますが、これを簡略化したものがこれです。
実装には大きく分けて二種類あり、
-
カクヨムではCSSの
text-emphasis
を設定したspan
タグで対象文字列を囲むことで傍点を打っている - ハーメルンでは前述の
|対《・》|象《・》
へと置換を行っている
といった具合です。
前者の方が数としては多い印象ですが、個人的には後者の方が好きです。
#単語__・__#
前述の形状がキモい記法ですが、ルビに・
のみを設定することで傍点記法になります。依然としてキモい
Wiki
小説関係のWikiではたまにルビを目にすることができます。
{{ruby|対象|ルビ}}
Wikimedia関連の諸々、要するにWikipediaとかWikisourceとかにおけるルビです。なかなか簡潔
Fandomの遊戯王Wikiを始めとする諸々におけるテンプレートもこれです
&ruby(ルビ){対象};
wikiwikiにおけるルビ記法です。ルビを先に振るため非常に間違えやすく、使いにくいです。
&ruby(ルビ){対象}
Seesaawikiや@wikiにおけるルビ記法です。wikiwikiとほとんど同じなんですが、よくよく見るとセミコロンがありません。事実上の上位互換です。
ゲームエンジン
結構使います。
[ruby text=ル]対[ruby text=ビ]象
ティラノビルダーにおけるルビ振りです。ティラノビルダーではルビは一文字ずつ振る物であるため、このように分割が必要になります。
\r[対象,ルビ]
WOLF RPGエディターにおけるルビ振りです。
マークアップ言語
たまに使います。
<ruby>対象 <rp>(</rp><rt>ルビ</rt><rp>)</rp></ruby>
HTMLの奴です、あらゆるルビはここに帰結するとさえ言えます(かなりの大嘘)。CSSのruby-position
プロパティを使えば下ルビとか両側ルビとかもできます。
EPUBでもこの表記が可能らしい
{対象|ルビ}
でんでんマークダウンの奴です。{{ruby|対象|ルビ}}
を優に超える簡潔さ!凄い!
{対象|ル|ビ}
でんでんマークダウンの奴2です。親文字とルビ文字を対応させることができます。
\overset{\scriptsize \text{ルビ}}{\small \text{対象}}
TeXで強引にルビを再現した奴です。文字サイズは\scriptsize
と\small
を弄ることで調整が可能です。
……ところでZennはTeXに対応していますね?それはつまりどういうことかというと、
Zennでルビが振れる。
後書き
おまけ
Unicode
Unicodeの制御文字にはルビを振る物があるってWikipediaに書いてあったんですが、私の環境では表示できませんでした
-
と言うより、そうでないサービスを見たことが無い ↩︎
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