マケデコというMarket APIのDeveloper Communityを作るに至った話

2022/09/02に公開

はじめに

マケデコというMarket APIのDeveloper Communityを作りました。
https://market-api.dev/

Discord上で活動をする予定で、開放は9/15のキックオフイベントを予定しています。
https://mkdeco.connpass.com/event/259046/

なんで、このようなコミュニティを作るに至ったかをいろいろ思い出しながら書いてみようと思います(もちろん、すでにイベントなどで発表済みの内容で構成します)。

J-Quantsプロジェクト

きっかけはJ-QuantsというJPX総研様(当時はJPX様)が主催する、データを個人投資家に開放することでコンペやAPI活用の場所をつくるプロジェクトが発端です。
https://jpx-jquants.com/

僕がCPOを務めるAlpacaJpanとJPX様はいろいろなデータ分析プロジェクトを通して接点があり、ご相談を受けたのが始まりでした。そのときは、まずは株式分析コンペを開催したいというのがきっかけでした。

株式分析コンペという題材を聞いたときに、僕が思い出したのはいままでTwo Sigma(第一回の方)が開催してきたKaggleでのコンペでの大失態でした。データサイエンティスト界隈では、これらのコンペはただの運ゲー、つまり 実力ではなく運で決まるコンペ と認識されていたのです(巷ではクソコンペなどとも呼ばれてており、Kaggleのコンペ設計の関係者を震え上がらせています)。
https://aru47.hatenablog.com/entry/2021/12/12/205905

ご相談を受けたときに、 JPX という日本で最大のビッグネームで株式分析コンペを開催する以上、このコンペの成功は今後の日本の金融マーケットとデータサイエンティストの関係を決めるプロジェクトになると思いました。

そこで、社内でも最高のチームを組織し、僕がメインのPMとなり、データエンジニアに今回運営メンバーに名前を連ねている樋尾、データサイエンティストはその分野の専門家をデータサイエンティストチームから都度もってくるという、考えられる最高のチーム構成を取りました。

まずやったことは古今東西の株式分析関連のコンペの問題設計の調査です。おそらく20個程度のコンペがあったかと思います。その問題設計を紐解いていくと、いわゆる盛り上がったコンペというのは、ボラティリティ予測など、いわゆる金融業界では予測しやすいものに属するコンペでした。そこからだいたい20個くらい問題を設計し、そのうち3つを実際にデータサイエンティストが解いてみて、コンペが成立している問題を検証しました。このあたりの話も今度ネタにしたいと思います。

ここから データサイエンティストの正当な努力が報われるコンペ設計 というコンセプトが産まれました。その後に開催した2回のコンペはすべて上位者に会話の実力者がランクインし、参加者の評判もよく、延べ2000人以上のデータサイエンティストが参加したたいへん盛り上げるコンペになりました。
https://signate.jp/competitions/423
https://signate.jp/competitions/443

また、現在評価期間中のKaggleで設計した問題も、金融マーケット予測のおもしろさが詰め込まれており、ミレニアムの株式運用責任者やKaggle GMの方からもベストなコンペ設計だという高い評価を頂きました。Kaggleの問題設計の話もガチで書くと長くなるので、また別のブログにまとめたいと思います。
https://www.kaggle.com/competitions/jpx-tokyo-stock-exchange-prediction/

APIが未来を切り開く

コンペが一段落したところで、次にJQuantsにおいて株式・財務データを取得できるAPIのベータ開放が始まります。過去にUKIさんがブログの中でJQuantsの可能性についてまとめていましたが、このエントリーで記載された可能性を切り開くには、実際にはAPIによる安定的なデータ提供が必要不可欠なことは自明でした。
https://note.com/uki_profit/n/nd32b67489e23

折しも、僕が所属するAlpacaJapanは米国カリフォルニア州に本社を構え、グローバルにフィンテック関連のサービス・プロダクトを展開するAlpacaDB, Inc.の100%子会社になりました。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000030.000015818.html

この中で、日本に米国株のTrading APIを展開するというミッションがあり、このミッションとJ-Quantsのミッションが完全に重なりました。コンペの成功の次はAPIの成功を目指す必要があり、そのためにはコンペのときにやったような素晴らしいコミュニティを作ることが何よりも大事だ、ということに気づいたのです。

といっても、買収されたばかりでAlapcaJapanはまだTrading APIを提供するには至っていません。ただし、その裾野を広げることは我々もご協力できるとだろうということで、JPX総研様にオフィシャルスポンサーとして後援になっていただき、今回のコミュニティの発足になりました。

今後の予定

さて、要所要所でいろいろおもしろいトピックがありますので、それはまた今度別のブログにまとめたいと思います。ただ、今回始めたMarket API Developer Community(マケデコ)はそういう、これまでの流れから産まれたものであり、今後の金融マーケットとデータサイエンティストコミュニティの未来を作るという、僕の個人的なミッションにおいて、現在最も重要なものであると考えています。

ここまでの話をきて、もしご興味ありましたら、日本のTopシステムトレーダーの一人であるUKIさんへの質問会やJ-Quantsのコンペで準優勝をとった激強なモデルを動かすなどのおもしろコンテンツも目白押しですので、キックオフイベントにご参加いただければと思います!

https://mkdeco.connpass.com/event/259046/

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