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マケデコのDiscordでおもしろかった議論を振り返ってみる

2022/12/11に公開

マケデコ( https://discord.gg/xg6P5RXwaa )という主に株式関連のマーケットAPIを活用し、分析や予測モデルを構築しているbotterのコミュニティをJPX総研様、AlpacaJapanの協賛で運営しています。今年の9月から立ち上げて様々な議論、おもしろいトピックがありました。今日はマケデコアドベントカレンダーの一環としてマケデコ内であったおもしろい議論を紹介しようと思います。
https://qiita.com/advent-calendar/2022/market-jquants


こんなかんじで各議論はスレッドで振り返れるようになっています

上記のように、主なトピックはDiscordのスレッド機能でまとめられたおり、だれでもかんたんに過去の議論を振り返り出来ます。

個人投資家のエッジについて

僕が大好きな議論のスレッドです。マケデコで常々に言われているのが、データの歪みや取引戦略のエッジが存在し、その発見を自動化・精緻化しようというのが、機械学習によるモデル作成の取り組みですが、そもそもそのエッジをどのように発見するかという論点について議論されています。

この中で一つ紹介されている面白いエッジは、個人投資家は 機関投資家の商品上(指数やETF)どうしても必要な行動 が産み出すエッジを狙ってはどうかという話です。殆どの機関投資家は寄り引けでバスケット的に注文をだすため、その日の値動きで発生した指数/テーマETFの乖離の修正をその日の引けで行います。その値動きはほぼ必ず発生するため、その値動きを狙ったモデルを構築することでエッジが残ると議論をしていました。

特徴量正則化(FN)について

Numearai界隈などでも話題になる特徴量正則化についてのスレッド。UKIさんが以下のブログを通して、JPXのKaggleコンペでもFNの成績が非常に重要なことを示唆していたので、その理解を深めようとたくさんの質問が来ていました。
https://qiita.com/blog_UKI/items/efba4ac7b1543a9bef85

FNしていないモデルとFNしたモデルについて日々損益をランダム抽出し、両者の利益額とシャープの分布がそれぞれどうなるか比較

FNについてイマイチわかっていない方はぜひこのスレッドをみていただけると理解が深まると思います!実は僕もいまいちわかってなかったので、このスレッドの議論を読んでめちゃくちゃ勉強になりました。

テクニカル指標の活用について

テクニカル指標をどのように投資に利用するかのスレッド。通常、テクニカル指標をどう使うかの議論はダマシがどうのこうのという抽象的な議論になりがちですが、マケデコでは過去のモデル作成の経験から本当に効果が高い(モデルの性能を向上させる)テクニカル指標が紹介されています。

議論の中で、移動平均が何%乖離したかという、いわゆるテクニカル指標はオーバーフィットしてしまうのでほとんど役に立たないが、騰落率やレンジブレイクアウトなどは効果が高いことが議論されています。

また、いわゆるテクニカル指標ではなく、ファクター投資で利用するベータ、モメンタム、レジデュアルボラティリティなどの株価から計算されるファクター投資で利用する特徴量も説明力が高いことが議論されており、モデリングの助けになりそうです。

テクニカル指標についても、このような形で議論・整理ができると助かりますね。

取引コストについて

システムトレードする際の取引コストについて議論。UKIさんの詳細な分析とともに、システムトレードする場合はどれくらいのコストを見込むべきかが議論されています。また、運用額が大きい場合の議論も合わせて行われています。

これに合わせて、マケデコが主にメインとしている株式取引で、最初に設計するモデルのおすすめの頻度は「一日の寄り(Market Open)で入って、引け(Market Close)で売るトレード」です。これはいくつか理由があって、

  • 日足データのOpen/Closeだけで解析がしやすい(これより高頻度で1分足とかを解析するのは結構大変)
  • Market Close後の決算やFOMCみたいなマーケットが合わった後のニュースを考慮しないでいい
  • 寄り・引けのオーダーは板寄せになるので、いわゆる執行のペナルティも成り行きほどは考えなくて良い
  • 日本の日ばかり信用の手数料体系が安いので、初心者でもあまりコストを考えなくて良い

などなど、最初にトレードを始めるには利点があります。このあたりのおすすめのモデリングの最初の一歩もあつかっていきたいトピックですね。

最後に

いよいよJ-Qunats APIが登場し、日本でも個人投資家がデータ分析を実行できる基盤が整ってきました。来年はJ-Qunats APIもオフィシャルリリース予定ですので、ますますマケデコを盛り上げていきたいと思いますので、この内容をみて、スレッドに興味を持った方はぜひ覗いてみてください!

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