デザイナーが信頼を得るためにやろうとしたこと

2023/12/24に公開

はじめに

今回は、キャリア採用でゲームエイトに入社したデザイナーが、周囲から信頼を得るために取った行動などを紹介します。転職を考えている方、特に自分の経験を別の組織でも活かせるかと不安に感じている方の不安解消につながればと思います。

入社前のプレッシャー

私がゲームエイトに入社したのは2022年の4月で、当時42歳でした。開発部内のデザイングループでのリーダーポジションとしての入社です。これまでに何度か転職を経験してきましたが、20代の頃の転職と比べると周囲に果たすべき役割も変わってきていると実感しました。転職の目的が『自己の成長』だけでなく、『経験を周囲に還元すること』でもあるというのは今回が初めてのことです。そのため、自分が在籍することの価値を発揮し、周囲から信頼を得ることができるかというプレッシャーもありました。

なぜ信頼を得る必要があるのか

私は入社前から周囲から信頼を得ることが大切だと考えていましたが、そもそも、なぜデザイナーが信頼を得る必要があるのでしょうか?まず、仕事をする上で信頼関係の構築が必要な理由はいくつかありますが、一般的には以下のような効果が期待できると言われています。

  • 円滑なコミュニケーションの促進によるチームワークの強化
  • 仕事の効率性の向上
  • 良好な人間関係の構築
  • 効果的な問題解決や意思決定

これらをデザイナーの業務に関連付けて考えてみると、以下のような状態も期待できます。

  • 周囲が自分の主張に耳を傾けてくれる
  • チェックの手間が省け生産性が向上する

一見すると、自分のメリットばかりを書いているように思われるかもしれません。しかし、私はより良いサービスやプロダクトを作るためには、一部の企画に関わる人間の意見だけでなく、多角的な意見を取り入れることが重要だと考えており、デザイナーは積極的にプロジェクトに関与し、企画者が気づいていない点(例えばユーザー目線の普遍的な視点など)を提言する必要があると思っています。そのためには、まず周囲が自分の主張に耳を傾けてくれる状況を作る必要があったのです。

信頼を得たデザイナーが組織を横断的に関わることで、各種アウトプットがより価値の高いものとなり、会社としてのブランド価値が向上すること。 これがゲームエイトに入社を決めた当初から私が思い描いていたことであり、これを実現させる手段として信頼を得る必要があったのです。

信頼を得るための行動

改めて、ゲームエイトという組織の中で信頼を得るため、私は3つのミッションを自らに課しました。

  1. アサインされたプロジェクトで着実に成果を出すこと。
  2. 所属するデザイングループ内で自身の知見を共有し、メンバーの成長に関与すること。
  3. 組織の課題をデザインの力で解決すること。

その中でも(1)と(2)に関しては、比較的順調に手応えを感じることができました。誠意を持って取り組んだ成果として、関わった面々も好意的に受け止めてくれたのかもしれません。


デザイン勉強会で使用した教材

難しかったのは(3)です。実は入社直後、社内の各部門主要メンバーと会話する場を設定し、その際「デザイン関係で困りごとがあったら相談してください」とデザイン組織のPRを試みたのですが、これがなかなか実を結びませんでした。改めて考えると当たり前のことですが、まだ社内で大きな成果を上げていない人物から、急に「私を頼ってください」と言われたとしても、話を振られた方々も困惑したと思います。そしてRPGのように都合よく適度なミッションとエンカウントするはずもなく、最初のステージで早くも座礁に乗り上げてしまった感がありました。たまに依頼があっても、「これデザイナーの仕事なのか?」と思う様な内容であったり、企画の立案においてもなかなか自分の意見が採用されなかったりと、社内での自分の影響力の小ささを痛感せざるを得ませんでした。間違ったことをしているわけではないと自負はしていましたが、正直焦りもありました。

良書との出会い

そんな中で出会ったのが【銀行とデザイン デザインを企業文化に浸透させるために】という一冊の本でした。この本は、三井住友銀行(SMBC)のインハウスデザイナーさんが書いたもので、タイトル通り『どのようにして大きな組織にデザインカルチャーを浸透させていったのか』が解説されています。「成功事例として参考程度に眺めておこうかな」という軽い気持ちで手に取った本でしたが、共感できる内容が多く、とても参考になりました。

特に感銘を受けたのが、前半部分に書かれていた『初期フェーズで意識していた働き方』『SMBCにデザインを浸透させるプロセス』の項目です。まさに私自身が抱えていた課題と同様の問題が
『デザインの力を、様々な人に実際に体験してもらうことで、着実に信頼を築いていった』 と実証的に説明されており、解決のプロセスも示されていたのです。"自分は間違っていなかったかもしれない……!"と、これまで答えを見出せずにモヤモヤしていた部分が鮮明になった瞬間でした。


勿論、この後に急に流れが好転するような、そんなドラマは起きないことは百も承知です。ただ、強力な後ろ盾を得たことで、それに後押しされる形で、自分の行動に自信が持てる様になったことは確かです。当初想定してたよりも緩やかなペースではありますが、社内の各部門からデザインの相談を頂く件数も増えてきました。引き続き、地道ながらもデザインの力を組織に浸透させていきたいと思います!

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