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Spring WebFlux, Spring MVC 比較めも

2025/02/17に公開

Spring WebFlux vs Spring MVC 比較

1. Spring WebFlux のメリット

1.1 非同期・リアクティブな処理

  • Spring MVC は 同期ブロッキング なアーキテクチャで、リクエストごとにスレッドを割り当てる。
  • WebFlux は 非同期・ノンブロッキング でリクエストを処理し、高スループット を実現可能。

1.2 少ないリソースでスケーラブル

  • MVC はスレッドごとにリクエストを処理するため、スレッド数が増えると CPUやメモリ負荷が増大 する。
  • WebFlux はイベントループモデルを採用し、少ないスレッドで処理できるため、リソースの効率的な利用が可能

1.3 高並列処理に強い

  • リアクティブプログラミング(Reactor: Mono / Flux) を活用し、並列処理を効率的に実装可能。
  • 外部APIやDBのI/O待ち時間を最小化 し、応答速度向上。

1.4 ネイティブなリアクティブストリーム対応

  • リアクティブストリーム (Reactive Streams) をネイティブサポート。
  • クライアントがデータを ストリーミング形式 で受け取る場合(SSE / WebSocket など)に適している。

1.5 Netty ベースのサーバー対応

  • WebFlux は Netty を使用したノンブロッキングサーバー(reactor-netty)を利用可能。
  • Tomcat / Jetty に依存せず、軽量なサーバー構成が可能

1.6 クラウドネイティブ環境に適している

  • WebFlux は マイクロサービスやサーバレス環境 に最適。
  • Kubernetes などの スケールアウトを前提とした構成 で有利。

1.7 リアルタイム処理に適している

  • WebSocket や Server-Sent Events (SSE) のような リアルタイム通信 に適している。
  • リアルタイムダッシュボードやチャットアプリケーション に最適。

2. Spring WebFlux が適するユースケース

  1. API Gateway / BFF (Backend for Frontend)
    • 高スループットなAPI Gateway に適している。
  2. マイクロサービス間通信
    • WebFlux の非同期通信とリアクティブストリームを活用して、サービス間の効率的な通信を実現。
  3. リアルタイムアプリケーション
    • WebSocket / SSE を利用するアプリ(チャット、ライブ更新など)。
  4. 高並列処理が必要なシステム
    • 外部APIとの通信が多いサービス(例えば、複数のAPIを並列呼び出し)。
  5. リソースが限られた環境
    • サーバースペックが低い環境(IoT / サーバレス)でもスケーラブルなアプリを構築可能。

3. Spring MVC のメリット

3.1 シンプルな実装が可能

  • WebFlux の Mono / Flux に比べ、通常の同期処理の方が直感的で分かりやすい
  • @RestController を使った CRUD アプリなどは シンプルに実装できる

3.2 デバッグが容易

  • スタックトレースが分かりやすく、デバッグやトラブルシューティングが容易。
  • 非同期特有のコールバック地獄 が発生しない。

3.3 互換性が高い

  • Spring MVC は 既存のライブラリやフレームワークとの互換性が高い
  • レガシーシステムとの統合 でも問題が発生しにくい。

3.4 トラディショナルなアプリケーションに適している

  • リクエスト数が少なく、I/O負荷が低い アプリケーションに向いている。
  • 例えば、管理画面や業務システムのような一般的なWebアプリケーション に最適。

4. Spring MVC が適するユースケース

  1. シンプルなCRUDアプリ
    • DB へのアクセスがメインで、非同期処理の必要がない場合。
  2. 業務システム(エンタープライズ向け)
    • 高スループットは不要で、データ整合性が重視されるシステム。
  3. レガシーシステムとの統合
    • 既存のJavaアプリケーションとの互換性を重視する場合。
  4. デバッグのしやすさを重視するプロジェクト
    • WebFlux の非同期処理よりも、シンプルな同期処理で開発したい場合

5. WebFlux と MVC の比較表

項目 Spring MVC Spring WebFlux
処理モデル 同期 (ブロッキング) 非同期 (ノンブロッキング)
スケーラビリティ スレッド数に依存 少ないスレッドで多くのリクエストを処理
並列処理 限界あり 高並列処理が得意
I/O 待機 ブロッキング ノンブロッキング
適した用途 一般的なWebアプリ、CRUD系 API Gateway、マイクロサービス、リアルタイム処理
学習コスト 低い 高い

6. まとめ

  • シンプルなCRUDアプリ一般的なWebアプリSpring MVC で十分。
  • 非同期処理が求められるシステム(高スループットAPI、リアルタイム処理、マイクロサービス)は WebFlux が向いている。
  • 「とりあえず WebFlux」を選択するのは危険 で、ユースケースに応じた適切な選択が重要。

👉 WebFlux は、リアクティブな処理が必要な場合に大きなメリットがあるが、すべてのアプリケーションに適しているわけではない。適材適所で使い分けるべき。

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