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Spring WebFlux, Spring MVC 比較めも
Spring WebFlux vs Spring MVC 比較
1. Spring WebFlux のメリット
1.1 非同期・リアクティブな処理
- Spring MVC は 同期ブロッキング なアーキテクチャで、リクエストごとにスレッドを割り当てる。
- WebFlux は 非同期・ノンブロッキング でリクエストを処理し、高スループット を実現可能。
1.2 少ないリソースでスケーラブル
- MVC はスレッドごとにリクエストを処理するため、スレッド数が増えると CPUやメモリ負荷が増大 する。
- WebFlux はイベントループモデルを採用し、少ないスレッドで処理できるため、リソースの効率的な利用が可能。
1.3 高並列処理に強い
- リアクティブプログラミング(Reactor: Mono / Flux) を活用し、並列処理を効率的に実装可能。
- 外部APIやDBのI/O待ち時間を最小化 し、応答速度向上。
1.4 ネイティブなリアクティブストリーム対応
- リアクティブストリーム (Reactive Streams) をネイティブサポート。
- クライアントがデータを ストリーミング形式 で受け取る場合(SSE / WebSocket など)に適している。
1.5 Netty ベースのサーバー対応
- WebFlux は Netty を使用したノンブロッキングサーバー(
reactor-netty
)を利用可能。 - Tomcat / Jetty に依存せず、軽量なサーバー構成が可能。
1.6 クラウドネイティブ環境に適している
- WebFlux は マイクロサービスやサーバレス環境 に最適。
- Kubernetes などの スケールアウトを前提とした構成 で有利。
1.7 リアルタイム処理に適している
- WebSocket や Server-Sent Events (SSE) のような リアルタイム通信 に適している。
- リアルタイムダッシュボードやチャットアプリケーション に最適。
2. Spring WebFlux が適するユースケース
-
API Gateway / BFF (Backend for Frontend)
- 高スループットなAPI Gateway に適している。
-
マイクロサービス間通信
- WebFlux の非同期通信とリアクティブストリームを活用して、サービス間の効率的な通信を実現。
-
リアルタイムアプリケーション
- WebSocket / SSE を利用するアプリ(チャット、ライブ更新など)。
-
高並列処理が必要なシステム
- 外部APIとの通信が多いサービス(例えば、複数のAPIを並列呼び出し)。
-
リソースが限られた環境
- サーバースペックが低い環境(IoT / サーバレス)でもスケーラブルなアプリを構築可能。
3. Spring MVC のメリット
3.1 シンプルな実装が可能
- WebFlux の
Mono
/Flux
に比べ、通常の同期処理の方が直感的で分かりやすい。 -
@RestController
を使った CRUD アプリなどは シンプルに実装できる。
3.2 デバッグが容易
- スタックトレースが分かりやすく、デバッグやトラブルシューティングが容易。
- 非同期特有のコールバック地獄 が発生しない。
3.3 互換性が高い
- Spring MVC は 既存のライブラリやフレームワークとの互換性が高い。
- レガシーシステムとの統合 でも問題が発生しにくい。
3.4 トラディショナルなアプリケーションに適している
- リクエスト数が少なく、I/O負荷が低い アプリケーションに向いている。
- 例えば、管理画面や業務システムのような一般的なWebアプリケーション に最適。
4. Spring MVC が適するユースケース
-
シンプルなCRUDアプリ
- DB へのアクセスがメインで、非同期処理の必要がない場合。
-
業務システム(エンタープライズ向け)
- 高スループットは不要で、データ整合性が重視されるシステム。
-
レガシーシステムとの統合
- 既存のJavaアプリケーションとの互換性を重視する場合。
-
デバッグのしやすさを重視するプロジェクト
- WebFlux の非同期処理よりも、シンプルな同期処理で開発したい場合。
5. WebFlux と MVC の比較表
項目 | Spring MVC | Spring WebFlux |
---|---|---|
処理モデル | 同期 (ブロッキング) | 非同期 (ノンブロッキング) |
スケーラビリティ | スレッド数に依存 | 少ないスレッドで多くのリクエストを処理 |
並列処理 | 限界あり | 高並列処理が得意 |
I/O 待機 | ブロッキング | ノンブロッキング |
適した用途 | 一般的なWebアプリ、CRUD系 | API Gateway、マイクロサービス、リアルタイム処理 |
学習コスト | 低い | 高い |
6. まとめ
- シンプルなCRUDアプリ や 一般的なWebアプリ は Spring MVC で十分。
- 非同期処理が求められるシステム(高スループットAPI、リアルタイム処理、マイクロサービス)は WebFlux が向いている。
- 「とりあえず WebFlux」を選択するのは危険 で、ユースケースに応じた適切な選択が重要。
👉 WebFlux は、リアクティブな処理が必要な場合に大きなメリットがあるが、すべてのアプリケーションに適しているわけではない。適材適所で使い分けるべき。
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