Microsoftが新発表した「NLWeb」とは何か?
はじめまして、ますみです!
株式会社Galirage(ガリレージ)という「生成AIに特化して、システム開発・アドバイザリー支援・研修支援をしているIT企業」で、代表をしております^^
この記事では、Microsoft Build 2025でMicrosoftが発表したNLWebについて解説します!
個人的には、シンプルだが、かなり面白い取り組みだと感じており、これからメジャーになっていく予感がしており、今回の発表の中で一番、心に刺さりました!!!
Microsoft Build 2025の他の発表情報も気になる方はこちらをご覧ください👇
NLWebとは何か?
NLWebとは「自分のサイトを数行のコードで "AIアプリ化" できるオープンプロジェクト」 です。
Schema.org
など既存の構造化データとLLMを組み合わせて、サイトの内容を自然言語で検索・対話できるようにします。
さらに、MCP(Model Context Protocol)に準拠しているため、人間だけでなく他のAIエージェントともやり取り可能な点が特徴です。
「HTMLというプロトコルが登場した際にウェブが文書共有の場所になった時」と同じくらいのインパクトを「AI時代のウェブにもたらそうとしている」と考えることができます。
「次世代型のHTML」と言っても過言ではないかもしれないオープンプロジェクトです。
より詳細な情報は下記のとおりです。
観点 | 内容 |
---|---|
正式名称 | Natural Language Web(NLWeb) |
提唱者 | R.V. Guha 氏(RSS・RDF・Schema.orgの生みの親)+ Microsoft ※ オープンプロジェクト |
目的 | - どんなサイトでも AIアシスタントのように会話的に使えるようにする - サイト運営者が 自前データ x 好きなLLM で手軽にチャットボットを構築できるようにする |
特徴 | - 完全オープン:MIT License、GitHubで公開 - 技術要件への非依存性:OS(Windows/Mac/Linux)、LLM(OpenAI/Anthropic/Gemini など)、ベクトルDB(Milvus/Qdrant/Snowflake…)を自由に選択可 - MCPサーバ:各NLWebインスタンスはMCPの <ask> メソッドをネイティブ実装 |
ここでの重要なポイントとして、HTMLが「マークアップ言語」であるのに対して、NLWebは「会話インタフェース + APIプロトコル」という形で標準化をしようとしている点です。
NLWebの特徴
入力データの形式
- Schema.orgやRSSなどの「半構造化データ」をそのまま入力に利用可能
- サイト側がJSONL形式で、他のメタデータを追加することも可能
- 100万行以上のコードは不要。GitHubのcore serviceを動かすだけで基本的に動作
RAGの工程と出力データの形式
- データ投入ツールで記事 / 商品 / レシピなどのデータをベクトルDBに登録する(Indexing)
- ユーザーからの質問をLLMで埋め込み、ベクトル検索を行い、コンテキスト付与をして、回答生成する
- 返却フォーマットをSchema.orgのようなフォーマットで返す
MCPによる「AI間の通信方式」を標準化
- NLWebサーバは「人間 ↔ サイト」だけでなく 「AI ↔ サイト」の質問受付も可能
- MCP準拠のエージェント(Copilotなど)が
<ask>
を叩けば同じ回答が得られる
導入障壁の低さ
- プラグイン式コネクタがあり、自社のLLMやデータベースを追加しやすい
- プロンプト・制御フロー・UIのサンプルがあり
- オンプレからスマホまでの動作例あり(軽量実装)
- HTMLに匹敵する「シンプルさ」(数行の設定+既存データでスタート可能)
- MIT Licenseなので商用利用も可能(※ 変動する可能性があるため、規約を確認してください)
- 初学者でもGitHubの手順通りに動かせば、サイトのAIチャットボット化ができる
各サイトが主導権を持って「会話型UX」を実装する方式
- 検索エンジン側ではなく、サイト運営者自身 がLLMやデータ制御を握れる方式
- 例えば、ECサイトが在庫情報や顧客情報と連携した高精度なレコメンド機能を簡単に実装可能(サイト運営者が、自分で設定をすれば、そのサイトに対して、MCPを用いながら、RAGをすることが可能)
- また、サイトは 公開範囲を選択 してエージェントトラフィックを獲得することも可能
アーリーアダプターにおける採用実績
- O’ReillyやTripadvisorやShopifyなどの大きな企業において、多様な業種で検証済み
技術的な立場の中立性
- LLMやDBやクラウドにロックインされない設計
著者の感想
まずMicrosoft Build 2025のOpening Keynoteにてサティアさんが冒頭で語った "open agentic web" という世界観の実現のために必要なシンプルなコンポーネントであり、完全に伏線回収と言える発表だと感じました。
これからのウェブにおいて、NLWeb対応は必須の世界観になりそうな予感がしており、ウェブの形が変わっていくことは間違い無いでしょう。
そして、MCPとA2Aが比較的この数ヶ月で発表されたことに対して、このスピード感で対応してきたのが驚きました。
このスピード感のおかげで、Googleよりも先にMicrosoftがこの発表をできたことが一番の功績と言えるでしょう。
最後に
最後まで読んでくださり、ありがとうございました!
この記事を通して、少しでもあなたの学びに役立てば幸いです!
宣伝:もしもよかったらご覧ください^^
『AIとコミュニケーションする技術(インプレス出版)』という書籍を出版しました🎉
これからの未来において「変わらない知識」を見極めて、生成AIの業界において、読まれ続ける「バイブル」となる本をまとめ上げました。
かなり自信のある一冊なため、もしもよろしければ、ご一読いただけますと幸いです^^
参考文献
Discussion