OpenAI DevDay 2025の現地レポート【OPENING KEYNOTE編】
はじめまして、ますみです!
株式会社Galirage(ガリレージ)という「生成AIに特化して、システム開発・アドバイザリー支援・研修支援をしているIT企業」で、代表をしております^^
本記事のサマリー
- ChatGPTに「Apps inside ChatGPT」が登場し、FigmaやSpotifyなど外部アプリを直接操作できるようなアプリケーション化するための機能が発表されました。
- 開発者向け「Apps SDK(プレビュー版)」が公開され、データ連携・アクショントリガー・UI統合が可能になりました。
- 「Agent Kit」により、ノーコードでAIエージェントを構築・配布・最適化できるようになりました。
- 「Agent Builder」「ChatKit」「Evals」が提供され、企業は自社業務に特化したAIエージェントを容易に実装できます(Copilot Studioのようなもの)。
- コード生成AI「Codex」が正式リリース(GA)され、Slack連携・SDK公開・企業向け制御機能が追加されました。
- 新APIとして「GPT-5 Pro」「Sora 2」「realtime-mini」が発表され、高知能化・動画生成強化・低コスト化などを実現しました。
- Sam Altman氏は「これからはアイデアがすべて。AIはすべての人の力になる」と締めくくりました。
はじめに
2025年10月6日、OpenAI DevDay 2025がサンフランシスコのFort Masonで開催されました 🎉
本記事では、実際に現地レポートとして、開催されたOpenAI DevDay 2025のOpening Keynoteをご紹介します。
OpenAI DevDay 2025とは?
OpenAI DevDayは、OpenAIが開催する開発者向けの公式カンファレンスです。
イベントの概要は下記のとおりです。
- 開催日: 2025年10月6日(月)
- 開催場所: Fort Mason(アメリカ、サンフランシスコ)
- 参加者数: 1,500名以上
- 参加費: $650
- 主な登壇者: Sam Altman(CEO)、Greg Brockman(President)など
挨拶
今年のOpenAI DevDayは、感謝から入りました。
たくさんのデベロッパーに感謝します。
みなさんが未来を前進させています(Pushing the Future Forward)。
今回、以下の4つのUpdateが発表されました。
- Apps inside ChatGPT
- Building agents
- Writing code
- API updates
1. Apps inside ChatGPT
まず、最初の発表は、「Apps inside ChatGPT」の発表です!
Apps inside ChatGPTとは?
ChatGPT内で、自分たちのサービスとMCPなどを通して連携されたアプリケーションを公開できるようになります。
開発者は、「Apps SDK」というSDKを使用することで開発ができます(Preview版)。
Appsでできることは、下記の3つです。
- Connect your data: データとの連携
- Trigger actions: アクションのトリガー
- Interactive UI in ChatGPT: ChatGPTのウェブアプリケーションとのUI連携
また、これらは裏側でMCPと連携できることも強調されました。
デモンストレーション
その後、デモンストレーションとして、次の5つが紹介されました。
サービス名 | デモ内容 |
---|---|
Figma | 「(画像を渡した上で)この画像をFigJamのフローチャートにして」と指示すると、フローチャートを作成してくれる。 |
Spotify | 「オススメのプレイリストを作成して」と指示すると、プレイリストを作成してくれる。 |
Coursera | 「機械学習について学びたい」と指示すると、eLearningのコースを提案し、動画をChatGPT内で視聴できる。MCP連携でコンテンツへの質問も可能。 |
Canva | 「こういうデザインを作成して」と指示すると、Canva上でデザインを作成してくれる。 |
Zillow | 「物件情報を探して」と指示すると、物件情報を見つけてくれる。MCP連携により、フィルタリングも自然言語で指示可能。 |
Canvaでデザインが作成され、その成果物がChatGPT上で表示されている様子
Zillowと連携して物件情報をChatGPT上で表示してくれている様子
その他にも、Bookings.comやExpediaもパートナーだそうです。
これらの機能は、今日から使えるようになっており、一般公開の機能自体は、今年の後半に解放されるそうです。
2. Building agents
次の発表は、エージェント開発に関する発表です!
Agent Kitとは?
Agent Kitとは、エージェント開発をするためのツールキット / プラットフォームです。
これからは「自ら検索をする体験(you ask questions)」から「あなたのために実行してくれる体験(do things for you)」へシフトするという話がされました。
Agent Kitは、次の3つの流れをサポートします。
- Build: エージェントの開発
- Deploy: エージェントの配布
- Optimize: エージェントの最適化
また、具体的な機能は、次の3つになります。
- Agent Builder: Responses APIをベースとした、エージェント構築のための機能です。
- ChatKit: ChatGPTのUI上で美しく表示されるための機能(UIキット)です。
- Evals: エージェントの軌跡評価(Trace Grading)を含む評価をできる機能です。
もう一つのポイントとして、ChatGPT内のさまざまなコネクターとセキュアにつながっているという話もありました。
実際に事例として、次の2つが紹介されました。
- Albertsons: 「アイスクリームの売上を伸ばすための施策を考えて」と指示をしたら、マーケティング戦略を考えて、施策提案をしてくれる。
- HubSpot: 「この顧客についての問題を教えて」と指示をしたら、ナレッジベースを検索して、提案をしてくれる。
AgentKitは、今日から使えるようになっています。
イメージとしては、OpenAI版の「Copilot Studio」のようなものとも言えるでしょう。
デモンストレーション
デモンストレーションでは、「OpenAI DevDayのウェブサイト内でセッションについての質問をできるAIエージェントを開発・導入する」というデモを8分でやりました!
まず最初にメッセージのカテゴリを分類します。
一般的な質問かDevDayのセッションについての質問かを切り分けます。
そして、Widget Builderによって、ウィジェットを作成します。
作成したWidgetのファイルをダウンロードして、Output FormatでWidgetを指定して、アップロードをします。
もしもセッションについての情報だったら、セッションについてのナレッジをまとめたファイルに対して、RAGをします。
さらに、Guardrail(Prebuildされているもの)も設定していきます。
もしもPIIが入っていなければ、処理が進み、もしも入っていたら、エラーメッセージを返すようにします。
ここまでの設定を全てノーコードで実装し、デプロイをします。
ChatKitのワークフローIDをコピーして、TypeScript内で呼び出すことができます。もちろん、Agent
その他にも、Agent SDKでも実行できるようです。
最終的に、下記のようにウェブサイト上でチャットができるエージェントが実装されました!
もしもAgent Builderを使用したい場合は、下記のページから利用可能です◎
3. Writing code
3つ目は、コーディングについての発表です。
Codexの最新発表は?
8月にリリースされたCodexは、どんどんと利用率が伸びてきました。
実際にOpenAIの社内において、以前よりも1週間あたりの完了したPRは、70%も増えたそうです。
そして、そんなCodexが本日「GA(General Available)」になりました🎉
さらに、以下の3機能もリリースされました!
- Slack integration: Slack上で指示をして、タスク処理ができるSlackの拡張機能が搭載されました!
- Codex SDK: CodexのSDKが公開されました!
- Enterprise controls: 企業向けの制御機能が搭載されました!
Slack integrationは、かなりありがたいアップデートであると同時に、DevinやCursorのBackground Agentsのような機能であり、どのツールも機能差がだんだんとなくなってきましたね。
デモンストレーション
デモンストレーションでは、周りのものをシステム化していくデモがされました。
まず初めに、会場のカメラを操作するためのアプリケーションを作成しました。
さらに、Xboxのコントローラーで操作できるようにするための改修もしました。
そして、Voice Modeによる操作をできるようにしました。
声による指示で、ライトをつけたり、写真を撮影したりすることができました。
Claude Codeなどとの精度比較はまだ必要ですが、CodexのAI駆動開発ツールとしてのUX改善はかなり見られたように感じました!
そして、イベントのデモンストレーションの体験設計がうますぎて、感動しました✨
4. API updates
最後に、API関連のアップデートが3つ発表されました!
- GPT-5 Pro in the API: GPT-5 ProがAPIで利用できるようになりました!
- realtime-mini: 70%安価なAPIとしてRealtime APIが利用できるようになりました!
- Sora 2 in the API: Sora 2がAPIで利用できるようになりました!
知らない方のために、GPT-5 Proの特徴が説明されて、次の3つが主な特徴となります。
- Higher intelligence: より高度な知能
- Improved instruction following: より従順な生成
- Better experience: より良い体験
同様に、Sora 2の特徴は、次の3つです。
- Video length: 動画の長さ
- Aspect ratio and resolution: アスペクト比と解像度
- Remix videos: 動画のリミックス
これ以外にも、リアルな音声との連動機能などもありますが、紹介されたのはこの3つの観点でした。
個人的に感動したデモンストレーションとして、下記のように「1枚のスケッチ」から「動画」が生成されるデモがされました!
ラストメッセージ
最後に、Samさんから、以下のメッセージが伝えられました。
これからの時代は「アイデアが必要なもの」である。
アイデアさえあれば、AIはすべての人の力になります。
よくある質問
-
Q. 「Apps inside ChatGPT」とは何ですか?
- A. ChatGPT内でFigmaやSpotifyなどの外部アプリを直接操作できる新機能です。Apps SDKを使うことで、データ連携・アクショントリガー・UI統合を実現できます。
-
Q. 「Apps SDK」では何ができるのですか?
- A. 自社データと安全に接続し(Connect your data)、アクションを実行し(Trigger actions)、ChatGPT上でインタラクティブなUIを構築できます(Interactive UI in ChatGPT)。
-
Q. 「Agent Kit」とは何ですか?
- A. ノーコードでAIエージェントを構築・配布・最適化できるプラットフォームです。業務特化型AIを簡単に作れる「Copilot Studio」のような位置づけです。
-
Q. Agent Kitにはどんな機能がありますか?
- A. 主に3つの機能があります:
- Agent Builder(エージェント構築)
- ChatKit(UI統合)
- Evals(性能評価・Trace Grading)
- A. 主に3つの機能があります:
-
Q. 「Codex」が正式リリースされたことで何が変わりましたか?
- A. CodexがGA(正式版)となり、Slack連携・SDK公開・企業向け制御機能が追加されました。これにより、開発現場での利用がより容易かつ安全になりました。
-
Q. 「GPT-5 Pro」はどんな点で進化しましたか?
- A. GPT-5 Proは、より高い知能(Higher intelligence)、より正確な指示理解(Improved instruction following)、より良い生成体験(Better experience)を実現しています。
-
Q. 「Sora 2」はどんな特徴がありますか?
- A. 長尺動画の生成、アスペクト比と解像度の柔軟化、動画のリミックス機能をサポートしています。動画生成AIの実用性を大幅に高めたモデルです。
-
Q. 「realtime-mini」とはどのようなAPIですか?
- A. Realtime APIの約70%のコストで利用できる軽量版APIです。低コストでリアルタイム音声・対話機能を実装したい開発者や企業向けに設計されています。
-
Q. OpenAIが今回のイベントで伝えたメッセージは何ですか?
- A. Sam Altman氏は「これからはアイデアがすべて」と述べ、AIがすべての人の創造力を拡張する時代の到来を強調しました。
-
Q. 新機能はいつから利用できますか?
- A. 「Apps SDK」「Agent Kit」「Codex SDK」は発表日からプレビュー利用可能です。「Apps inside ChatGPT」は2025年後半に一般公開予定で、「GPT-5 Pro」「Sora 2」「realtime-mini」は順次API提供が始まります。
最後に
最後まで読んでくださり、ありがとうございました!
この記事を通して、少しでもあなたの学びに役立てば幸いです!
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