(概要編)検索を“AI任せ”に。Azure AI Searchに『Agentic Retrieval』搭載【MS Build 2025】
はじめまして、はやとです!
株式会社Galirage(ガリレージ)という「生成AIに特化して、システム開発・アドバイザリー支援・研修支援をしているIT企業」で、COOをしております◎
この記事では、Microsoft Build 2025でMicrosoftが発表した『Agentic Retrieval』について解説します!
Agentic Retrievalの概要
MSBuild 2025において、RAG(Retrieval-Augmented Generation)の検索モジュールに関する新たな発表がありました。
それが『Agentic Retrieval』です。
この技術は、従来のRAGにおける検索のプランニングから実行までを自動化し、API経由で簡単に利用可能にします。
本記事では、MSBuild 2025で発表された内容をレポート形式で紹介します。
(より詳細なレポートを後日配信予定です^^)
もしも、RAGそのものについて深く知りたい方は、こちらをご覧ください◎
SearchからAgentic Retrievalへ
RAGという技術においては、検索という機能が重要な役割を果たします。
Agentic Retrievalが登場した背景として、従来のRAGにおける検索モジュールの精度の低さがあります。
従来のRAGにおける検索モジュールでは、シンプルな質問には対応できました。
ただし、複雑なRAGアーキテクチャを採用・構築しない限り、複雑なクエリに対しては、検索の精度が低下する課題がありました。
RAGにはさまざまな手法がありますが、基本的なRAGとしては以下のようなワークフローで構築をしていました。
- Level 1
- Keyword search:キーワード検索
- Vector search:ベクトル検索
- Hybrid:上記2点のハイブリット検索
- Level 2
- Results as-is:検索をして取得をした結果をそのまま使用する。
- Reranking:検索をして取得をした結果を、ユーザークエリとの関係性に基づいてランキング付けをする
Agentic Retrievalの特徴
そこで登場したのが『Agentic Retrieval』です。
ざっくりというと、以下の3つの処理をデフォルトで実施するようなRAGです。
- クエリの再構成(Query planning)
- クエリの並列実行(Fan-out query execution)
- 結果の結合(Results merging)
より具体的には、Agentic Retrievalでは次のようなフローで検索処理を行います。
- ユーザークエリを読み込む
- ユーザークエリに加え、デフォルトで会話履歴も考慮する。
- Query planningを実施する。具体的には、以下のような内容を実施する。
- 会話履歴内容を活用し、インプット情報のスペルを修正する。
- 必要に応じて、ユーザークエリをよりシンプルな複数のクエリに分解をする。(decomposition)
- (分解したクエリを)同じ意味を持つような言い換えをする。
- Query planningで分解をしたクエリを検索処理を並列に実行する
- 最後にそれらをマージして結果を提供する。
以下は、元のユーザークエリが3つのサブクエリに分解される際の、観点を示した例になります。
Agentic Retrieval APIの概要
このAgentic Retrievalはどのように使用することができるのでしょうか?
Agentic RetrievalはAPI経由で使用することができます。
以下のような構造でリクエストとレスポンスを提供します。
- リクエスト例
- レスポンス例
レスポンスの中の「アクティビティ」には、エージェントが具体的にどのように処理を行ったかが明示されます。
検索精度
Agentic Retrievalを活用した場合、これまでの検索(Retrieval)と比較をすると、大幅な精度向上を記録しました。
こちらにより詳細な評価のセットアップが記載されているため、詳細は割愛します◎
まとめ
今回紹介した『Agentic Retrieval』をRAGの検索モジュールを採用することで、誰でも簡単に高性能な検索機能を実装することができます。
今後、RAGの導入を検討する企業にとって、高性能なRAGシステムを構築するための1つの道具となるでしょう。
最後に
最後まで本記事を読んでくださり、ありがとうございました◎
この記事を通して、少しでもあなたの学びに役立てていただけると嬉しいです!
参考文献
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