FlutterKaigi 2025に初参加してきました

2025年11月12日(水)と11月13日(木)、大手町PLACE HALL & CONFERENCEで開催されたFlutterKaigi 2025に参加しました。弊社としては今回が初参加となります。
FlutterKaigiとは
FlutterKaigiは日本最大級のFlutterカンファレンスです。2021年にオンラインでスタートし、2023年に初のオフライン開催。今年で5回目となり、国内のFlutterコミュニティが年々拡大していることを感じます。
前夜祭
12日(水)は18:30頃より前夜祭が開催され、FlutterKaigi関連のミニセッションやFlutterエンジニアによるパネルディスカッションが行われました。その後は懇親会が続き、食事しながら参加者同士で技術談義が交わされていました。
パネルディスカッションでは、エラー処理の書き方、ナビゲーション実装、AI活用などが取り上げられました。エラー処理では「try-catch派かResult型派か」というテーマが挙がり、どちらでも良いという前提のもと、DartではExceptionを避けることはできないため、try-catchの運用が現実解との視点が示されていたのが印象的でした。
本編の注目セッション
13日(木)は本編が開催されました。今回は主にブース巡りを中心に動きつつ、合間にいくつかのセッションを聴講しました。その中でも特に印象に残った内容を紹介します。

Flutter is NOT DEAD.
技術選定をテーマにしたセッションで、Flutterの現状と将来性についての整理が行われていました。
Flutterの課題として、ネイティブUIを直接描画しないためプラットフォーム固有のUI変化(最近だとLiquid Glassなど)に追従しにくい点、大量のissueが解消されにくい点が挙げられます。しかし、見方を変えれば問題ではないと説明していました。
特に印象的だったのは、Flutterを「UIツールキット」として捉えるべきという視点です。公式サイトにも明記されており、プラットフォーム固有のデザインに縛られない点を「制約」ではなく「自由」として捉え直す視点に深く納得しました。ブランド体験を重視するアプリにとって、Flutterの表現力はむしろ大きな強みになり得ると感じました。
自社テンプレートを実践で使って感じた強みとツラミ
中大規模プロジェクト向けのFlutterテンプレートの実運用知見を共有するセッションでした。
テンプレートはFeature-First構造をベースに、共通機能(cores)と特定機能(features)を分離。Melos、FVM、GoRouterなどを組み込み、プロジェクト名の自動設定やPRチェックの自動化によって開発効率を高めているとのことです。
実運用での強みは、要件変更時の影響範囲がUI層で収まりやすい点。一方で、ルーティング設定の煩雑さ、ログ設計の難易度、coresの肥大化 といった課題も浮き彫りになり、改善施策としてFVMからmiseへの移行やLayer-Firstアーキテクチャへの転換などが進められているとのことです。
テンプレートを活用することで、開発初期から一定の品質ラインを担保できる点は非常に魅力的です。弊社でも小規模アプリ向けテンプレートの導入を検討し、プロジェクト初動を加速させる取り組みは十分に価値があると感じました。
また、パッケージ管理ツール「mise」はカンファレンス内でも話題に挙がっており、DartやRubyなど複数言語を統合管理できる点が印象的でした。
ブース巡りで見えたFlutter開発のリアル
ブースでは各企業の開発者と直接話すことで、業界全体でFlutterがどのように使われているかを知ることができました。
各社のFlutter本気度
特に驚いたのは、多くの企業がFlutterに本格的に取り組んでいる点です。FlutterKaigiへの出展企業であることを踏まえても、想定以上でした。
- 既存ネイティブアプリをFlutterで全面リプレイス
- 大規模アプリにFlutterを採用
- 新規プロダクトは原則Flutterで開発
こうした話を複数聞くことができ、Flutter採用が一部の企業に留まらず“広がりつつある技術選定”になっていることを実感しました。
また、Flutter SDKが提供されていない外部サービスでもMethodChannel連携で乗り切ったという話もあり、技術チャレンジとしての位置づけが強くなっている印象も受けました。
UIデザインの傾向
Flutterアプリのデザインについても興味深い知見を得ました。
多くの企業がMaterialをベースにしつつカスタムした独自デザインを採用しているとのことでした。ダイアログやアラートはプラットフォームごとに分ける、スナックバーの挙動はOS標準に合わせるなど、細かい調整はOSによって分けているケースもありました。ダイアログは方針によって分かれていそうで、ダイアログも独自デザインで共通化されているアプリも見受けられました。
特に「完全独自デザイン」のアプリも複数存在し、FlutterのUI表現力が実際のプロダクトに強く活かされている様子が伺えました。
パフォーマンスに対する認識の変化
以前は「Flutterは重い」という印象を持つエンジニアも多かったようですが、最近は改善が進み、ネガティブな声は大きく減っているようです。Flutterのパフォーマンス改善が企業の採用判断を後押ししている様子が、開発者の声からも感じられました。
まとめ
FlutterKaigi 2025 を通じて、Flutterの技術的な成熟と、業界全体での採用の広がりを実感しました。
- テンプレート活用による開発効率化のノウハウ
- アーキテクチャやツール選定に関する知見
- ブランド体験を重視したUI設計の傾向
- パフォーマンス改善に伴う心理的障壁の解消
- 大規模アプリ採用の増加という業界動向
これらは今後のプロジェクト運用を考える上で大きな参考になります。
弊社としても開発体制を整えつつ、Flutterを活かした開発の幅をさらに広げていきたいと感じました。Flutter案件の獲得を積極的に進め、チームとしての経験値を蓄積していきたいです。
あわせて、ネイティブアプリ開発にとどまらず、マルチプラットフォーム開発の可能性にも継続して注目し、新しい技術へのチャレンジを続けていきたいと考えています。来年もぜひ参加し、最新の知見を取り込みながら組織としての成長につなげていければと思います。

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