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CI/CDとは何か?初心者マネジャー視点で整理してみた

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0.はじめに

最近、会社から「CI/CDが必要だ」「自動化しないと非効率だ」と言われたけど、正直よくわからない――。

CI?CD?自動化?それって本当にやるべきなの?と疑問を抱いているマネジャーの方は多いのではないでしょうか。

  • CI/CDとはなにかをわかりやすく知りたい
  • CI/CDを導入する必要性やメリットを知りたい
  • 「自動化」の意味や、具体的にどんなツールがあるかを整理したい

そんな悩みを持つ方へ、本記事では、技術に詳しくなくてもCI/CDの全体像と価値が理解できるように整理してお伝えします。

1.CI/CDって何の略?ざっくりイメージを持とう

ざっくり言うとCI/CDとは、プログラムの変更を頻繁に統合・自動テスト(CI)し、それを自動的にビルド、デプロイ(CD)する仕組みです。


引用元:今さら聞けないCI/CD(継続的インテグレーション/継続的デリバリー)とは

  • CI(Continuous Integration=継続的インテグレーション)
    開発中のプログラムを日々少しずつ統合・自動テストすることで、早期にバグや問題を見つけるための仕組み。
  • CD(Continuous Delivery=継続的デリバリー/デプロイメント)
    テスト済みのプログラムを、自動でステージングや本番環境にデプロイ(配信)する仕組み。

工場のベルトコンベアのようなイメージで、プログラムが自動的に検査され、納品(リリース)される流れができる感じです。

これにより、開発者が手作業で行う必要があったリリースまでのプロセスを効率化し、開発速度を向上させることができます。

2.開発のどこが変わる?現場レベルの変化

次に、開発者から見たCI/CDのメリットをあげていきます。

  • 人為的ミスを減らすことができる
  • リリースまでの時間を短縮できる
  • チームマインドの変化が期待できる

2.1.人為的ミスを減らすことができる

  • テストを人力でやらなくてよくなる
    → ボタン1つでテストを自動で実行できるため、人間のミスが入りにくくなります。
  • 手作業の繰り返し作業をなくすことで、ミスが激減
    → 毎回同じ作業を手でやるとどうしてもミスが出ますが、自動化すれば常に正確に処理できます。
  • たとえば:金曜日の夜にバグが見つかる、という悪夢が減る!
    → 小さなミスが早めに見つかるので、リリース直前で焦ることが減ります。

2.2.リリースまでの時間を短縮できる

  • テストの実行時間が圧倒的に短縮(数時間→数分)
    → コンピュータが高速に処理してくれるので、手でチェックしていた頃より何倍も速くなります。

  • バグの早期発見→修正コストが最小限に
    → 早めに問題が見つかれば、大きな手戻りにならずに済むため、全体のスピードが上がります。

  • 結果として、変更のスピードと回数が上がる
    → 小さな変更をこまめに出せるようになり、改善のサイクルが早く回ります。

2.3.チームマインドの変化が期待できる

  • リリース作業が「誰がやるか問題」から解放される
    → 「毎回◯◯さんが対応」などの属人化がなくなり、作業の偏りやストレスが減ります。

  • エンジニアが「壊れるかも…」と不安にならず変更できる
    → テストやデプロイが自動で行われる安心感があるため、自信を持って改善に取り組めます。

このように、CI/CDは単なる技術的な自動化だけではなく、品質・スピード・チーム文化すべてに良い影響を与える仕組みです。

3.経営・マネジメント視点でのメリットとは

CI/CDは単なる開発効率化の話ではありません。ユーザーの満足度やビジネスのスピードに直結する、経営判断としても非常に重要な仕組みです。

  • 市場へのリリーススピードが上がる → 顧客に早く届けられる
  • 品質が安定する → 顧客満足度が高まり、信頼が生まれる
  • 障害対応が早くなる → サービス停止による損失を最小限に
  • 開発者のストレス軽減 → プロダクト改善に集中できる

3.1.市場へのリリーススピードが上がる → 顧客に早く届けられる

競合がまだ準備中のうちに、自社サービスをいち早くリリース・改善できます。
お客様に「一歩先の価値」を提供できるのは、CI/CDがあるからこそです。

3.2.品質が安定する → 顧客満足度が高まり、信頼が生まれる

毎回のリリースで品質がブレると、ユーザーは不信感を抱きます。
CI/CDは自動テストで品質を担保し、いつでも安定したサービス体験を提供できます。結果として、CS(カスタマーサポート)やマーケティングとの連携もスムーズになります。

3.3.障害対応が早くなる → サービス停止による損失を最小限に

CI/CDによって「どこで何が起きたか」がログや履歴で把握しやすく、迅速な障害対応が可能になります。ユーザーからの「早く直して!」という声に対して、スピーディーかつ確実な対応ができます。

3.4.開発者のストレス軽減 → プロダクト改善に集中できる

手作業や突発的なリリース作業が減ることで、開発者の精神的負担や残業が大きく軽減されます。
本来集中すべきプロダクト改善にエネルギーを注げるようになることで、より価値ある機能を早く届けられるようになります。

このようにCI/CDは、ただの「エンジニアのためのツール」ではありません。
ビジネス全体のスピード・品質・信頼を底上げするための、経営判断レベルの武器です。

4.導入には何が必要?意外と技術だけじゃない

CI/CDと聞くと「ツールを入れればいい」と思われがちですが、実はそれだけでは成功しません。
ここでは、導入を進めるうえで重要な3つのポイントをわかりやすく解説します。

4.1.ツールやインフラ環境の整備

CI/CDを始めるには、まず ツールの選定とインフラ構築 が必要です。
代表的なツールには、以下のようなものがあります。

  • GitHub Actions:GitHubとの親和性が高く、手軽に導入可能
  • GitLab CI:一体型プラットフォームで使いやすい
  • Jenkins:柔軟性が高く、複雑な処理も可能(ただし運用難易度は高め)

このようなツールを動かすためには、サーバー環境の構築や管理、セキュリティ設定、ネットワーク知識も必要です。中〜大規模開発では、SREやDevOpsエンジニアの関与も重要です。

4.2.組織や文化のアップデート

CI/CDを導入しても、現場の考え方や習慣が変わらなければ形骸化します。

  • 小さな変更をこまめにリリースする習慣(Big Bang Releaseからの脱却)
  • 自動テストを書く責任の明確化
  • セキュリティチェックやコードレビューとどう共存するか

このような文化を根付かせるためには、マネジメント層の理解と支援も不可欠です。

4.3.継続的な改善と運用設計

CI/CDは「導入したら終わり」ではなく、常に見直しと改善が必要です。

  • パイプラインが複雑になりすぎると、逆に遅くなることも
  • テストやビルドのどこが遅いのか、ボトルネックの監視が重要
  • チームの開発スタイルやリリース頻度によっても最適解は変わる

CI/CDを“育てていく”視点が求められます。特に長期運用する場合は、投資対効果の見極めも忘れずに。

5.経営・マネジメントをどうやって説得するか?

ここまで述べてきた内容を踏まえて、CI/CDの導入について経営・マネジメント層をどうやって説得するか考えてみます。

<前提>

  • 担当システムはウォーターフォールでの開発が主
  • 半期に一度はソフトウェアVUPとそれに伴うプログラム修正やテストが発生
  • 一方で、機能の改善案件は縮小していく傾向にある

5.1.人件費ベースでの工数削減シミュレーション

ウォーターフォール型であっても、テストやリリース準備の自動化によって、人手工数は確実に削減できます。

たとえば、、、

  • VUP前後のテスト工程で、毎回30人日かかっていると仮定
  • うち繰り返し作業(リグレッション、ビルド確認、結合チェックなど)をCI/CDで50%自動化できた場合 → 15人日削減 × 年2回 = 年間30人日

単価×工数で金額換算し、CI/CD導入や運用の費用と比較すれば、数字で「見える化」できます。

5.2.障害対応・リリーストラブルの回避コスト

CI/CDにより次のような“事故”の予防が期待できます。

  • 金曜日夜に起こる緊急障害(→ 残業や休日出勤コスト)
  • 「誰が本番反映するの?」という属人化によるオペミス
  • リリース手順のミスでのやり直し、検証工数の増加

これらは直接的な工数だけでなく、精神的コスト・チーム士気の低下も含めて定性的効果も大きいです。
特に品質トラブルが経営に直結する業界では、安心・安全のための投資というアプローチが有効です。

5.3.長期運用視点:改善案件は減っても「保守性」は永続する

改善案件が縮小傾向にあっても、既存システムの保守・検証・監視作業は今後も続きます。

  • 自動テストによるレガシーコードの安全な変更
  • 少人数体制でも支えられるような効率的運用基盤
  • 属人化排除による要員交代リスクの低減

特に人員が限られる中長期の運用体制を考えると、「保守コストの削減 × チームの再現性向上」はCI/CDの強い導入動機になります。

あくまで筆者の立場から考えた一例ですが、現状を数値で可視化・具体化し、定量面と定性面でのポイントを伝えることで、マネジメント層も納得しやすくなると考えます。

6.まとめ:CI/CDはビジネスを早く強くする土台

CI/CDは、単なる技術トレンドではありません。変化の早い時代に対応するための組織的な武器です。

マネジャーとしてCI/CDの意義を理解し、現場と同じ視点に立てれば、判断力・支援力が圧倒的に高まります。

おわりっ!

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