【プレゼン下手の特徴】プレゼンテーションが失敗する10大原因
0.はじめに
プレゼンテーションはエンジニアにとって地味で付属的なスキルだと考えられがちです。
しかし、ビジネスの場で、これほど必要とされるスキルは他にないといっても過言ではありません。
プレゼンが下手だと、「優れたプラン」も具体化されずに消えてしまいます。
そうしたプレゼンでの詰めの甘さを自覚し、プレゼンを成功に導くため、よくある失敗をまとめました。
何をしてはいけない、ということは、何をすべきかということと同じように重要です。
1.いきなり結論から話し出す
よく「結論から話せ」と言われてますが、いきなり結論から入るのはよくないと思います。
なぜなら、何の話かわからないのに結論を言われても、相手は面喰らってしまうからです。
そうならないように、以下のような構成で導入〜結論と述べていきましょう。
- 結論に繋がる誰もが承知している状況(ex:お金はとっても大切で多くの人が欲しがるもの。)
- 上記状況に生じる変化(ex:しかし、最近若者の間ではお金を欲しがらない人が多く見られる。)
- 相手の疑問を想定する(ex:それはなぜなのか?)
- 相手の疑問に対する答え=自分が言いたい結論を述べる(ex:そもそもお金が手に入らないから。)
まず最初に分かりきった話をして、相手に「うん、そのことは知っている。それで?」と疑問を抱かせます。
そして、疑問を途切れさせないようにその状況に生じた変化を述べて、さらに相手の疑問を絞り込みます。そこに、自身の言いたいこと、つまり結論を述べると相手にスッと話が入っていきます。
コミュニケーションはキャッチボールです。相手にミット(疑問)を構えてもらってからボールを投げるようにしましょう。
2.プレゼンは通ることが当たり前だと考えている
プレゼンは意図して通すものです。当たり前の話なんですが、意外と意識されていません。
プレゼンが通らないと落ち込む人がいますが、プレゼンは頑張って通さなければ、通らないのがふつうです。プレゼンが通ることを当たり前だと考えてはいけません。
なぜなら、通るのが当たり前だと考えてしまうと、プレゼンが通らない場合にそれを「相手のせい」や「環境のせい」にしてしまうからです。
- 「あいつは、部下の話をちゃんと聞かない」
- 「慎重すぎて細かいことばかり気にする」
- 「技術的なことをまるでわかっていない」
これらはすべて、自分の提案が通ることを前提にした物事の考え方です。このようにプレゼンが通ることを前提に考えていると、他責の姿勢となってしまい、自己成長ができなくなります。
プレゼンを通す責任は自分にあると考え、前向きに物事を捉えられるようにしましょう。
3.自分の論理を信奉しすぎている
これは、「自分は論理的である」とか「自分の論理こそが正しい」と信じている人を指します。
自信があるのは結構ですが、自分を基準にした思い込みをしている人は、往々にしてプレゼンで良くない結果をもたらします。
なぜなら、論理的か否かは相手が決めることだからです。
たとえば、難解な理屈を振り回して、理解できない人を責める人がいますが、本当に論理的な人は、相手が誰であっても話を理解させることができます。
あなたがもし「自分は論理的なので、論理的ではない相手とは話が通じない」と思っていたとすると、それはじつは、本当の意味ではあなたは「論理的」ではないということです。
アインシュタインを見習って、小学生でも話を理解できるように努力しましょう。
4.考えを紙に落とさない
プレゼンでうまく話せない原因のひとつに、「考えを紙に落とさない」があります。
なぜなら、紙面に落ちていない主張は「何をポイントとして相手に伝えるべきか」の整理ができておらず、うまく説明することができないからです。
いろいろな情報が錯綜するので、資料作成→プレゼン練習→資料修正→プレゼン練習のサイクルを納得いくまで繰り返しましょう。
たまに紙に落とさずにすらすらとプレゼンをしている人がいますが、それは「うまく説明している」のではなく、「うまくごまかしている」だけです。
5.縦の論理がつながっていない、またはつながりが弱い
縦の論理がつながっている状態とは、「誰が見ても」AならばBが成り立っている状態を指します。
相手が「本当にそうなの?」と反応する場合は、この縦の論理がつながっていない、またはつながりが弱い状態です。
縦の論理がつながらない原因は次の3つです。
- 勝手な前提を置いている場合(予備知識がないので話が全然つながらない)
- 話をごちゃまぜにしている場合(Aと言ってもいろいろあるので一概にはBと言えない)
- たまたまであるものを、必ずそうだと言っている場合(因果関係がどうみても偶然)
これら3つに対処すれば、「本当にそうなの?」と言われることはなくなるでしょう。
ポイントは、相手に「求められれば細かく説明できる」状態になっておくことです。
いきなり、事細かに話すと慇懃無礼な印象を与えますので、まずは大まかな粒度で話し、質問されれば細かく説明できるようにしましょう。
そのために、自分で考える際は、まず詳細まで考えて、それらをグルーピングし大まかな粒度で資料にまとめておくといいです。
こうすれば、どのような相手にでも対処できるはずです。
6.横の論理がつながっていない、またはつながりが弱い
横の論理がつながっている状態とは、「全体が正しく定義されていて、漏れもダブりもない」状態を指します。
相手が「それだけなの?」と反応する場合は、この横の論理がつながっていない、またはつながりが弱い状態です。
正直、この横の論理は非常にむずかしく、筆者も苦手です。
まず難しいのが、物事を考える際の視点や切り口を相手と合わせないといけません。これが相手と合っていないと、漏れやダブりを議論することがそもそも困難だからです。
視点や切り口を合わせるには、ロジカルな能力だけでなく、「相手がどう考えるのか?」を察するアナログ的な能力も必要です。
次に、漏れがないかを見るために、「全体」を考えます。この際、フレームワークや過去類似案件の資料を見ると「全体」を把握しやすくなります。
ただし、視点、切り口、条件などはその時々ですので、あくまで参考程度にとどめて、しっかりと全体をカバーしているかを考えて改修しましょう。
最後に、ダブりがないかを見ていきます。その際には、集合(ベン図)の考え方を用いてチェックしていくといいです。
大変ですが、横の論理がしっかりすれば「それだけなの?」とは言われなくなるはずです。
7.議論のスタンスがずれている
煎じ詰めて言えば、議論のスタンスは以下2つしかありません。
- 何か意思判断をしてもらいたい
- 単に話を聞いてもらいたいだけ
大事なのは、相手が今どちらのモードで話を聞いているのかを意識することです。
どのお店で食事をするのか話しているのに、過去行ったお店の感想を延々と話されたらカチ切れてしまいます。
逆に、思い出を語りたいのに、お店のメリット・デメリットを淡々と語られたら嫌な顔をするでしょう。
じゃあ、ビジネス上でコミュニケーションを行う場合、つまりプレゼンをする際はどちらなのかというと、圧倒的に前者の方が多いです。
このことを意識してプレゼンを行わないと、議論のスタンスがずれて、ダラダラと話を続けてしまいます。
プレゼンでは、つねに、誰かに何かの意思決定を求めるスタンスで臨むようにしましょう。
8.相手の要望を理解していない
プレゼン力を高めるためには、論理的思考の強化だけでは不十分で、その相手をよく理解しておく必要があります。
いいプレゼン資料を作成するためには、会議に出席する人たちが、どんな人たちで、何を考えているのか、などを前もってわかってないと、気の利いた資料を作成することができないからです。
せっかく論理的なプレゼンをしても、この「相手の要望の理解」がうまくできていないと、相手に納得してもらうことはできません。
それどころか、「屁理屈屋」「正論パンチだけする人」などといった印象を与えてしまいます。
論理的に話し、相手に意思判断を求めることはとても大切です。しかし、同時に「相手の要望を理解する」といったアナログ的なスキルも欠かせません。
このアナログ的なスキルを磨くためには、常日頃から上司や同僚の話を引き出し、「相手をよく知る」という心遣いが必要です。
9.論点を外している
「論点」という言葉を、一度も聞いたことがない人は少ないのではないでしょうか。
しかし、改めて「論点とは何か?」と聞かれると、明確に説明するのはむずかしいと思います。
「論点」はプレゼンにおいても重要であるため、そもそも論点は何か、どうして論点を外してしまうのかを解説します。
9.1.論点とは何か?
「論点」とは、「相手が判断に迷っている時に、判断の決め手となる新情報」のことです。
前述した通り、プレゼンでは相手に意思判断を求めます。その際に、相手の意思判断に影響を及ぼす情報を伝えることが大切で、相手の判断項目に対する新たな情報が論点なのです。
例えば、通勤時間を短くするために引越しを検討しているとします。A、B、Cの物件がよさそうですが、決め手に欠けている場合、以下のような情報が論点となります。
- 駅での待ち時間
- 代替交通手段の多さ
- 駅までの所要時間
逆に、以下のような情報は論点を外していると言えます。
- ペットが飼える
- お風呂が広い
- 近くにコンビニがある
一般論としては大事ですが、この場合の「論点」にはマッチしていません。
そんなの当たり前じゃないかと思うかもしれませんが、ほとんどの人が論点を外している、もしくは明確にできていない場合が多いように感じます。
ではなぜ、論点を外してしまうのかを見ていきます。
9.2.論点を外すパータン
論点を外すパターンは以下4つとなります。
- 「意思判断を求める」スタンスで話していない
- 相手の要求をきちんと理解していない
- 相手の意思判断項目がきちんと洗い出せていない(横の論理)
- 相手が判断項目に対して確固たる答えを既に持っている
要は、今まで話してきたポイントを網羅的にクリアできていないと論点を外してしまうのです。
1つ目は、ダラダラと好き勝手に喋ってしまっている状態です。何が言いたいのか分からない報告、愚痴なのか議論なのか分からない会議などが当てはまります。「意思判断を求める」というスタンスを明確にしましょう。
2つ目は、相手の要求を汲みちがえている状態です。相手の話をろくに聞かず、好き勝手な提案をするなどが当てはまります。自分が相手の要求を本当に理解しているのかを相手に確認する姿勢が大切です。
3つ目は、具体的な判断項目を提案できない場合です。これは前述した横の論理を展開する能力が弱い証拠です。フレームワークや過去資料を元に自分で横の論理を展開し、具体的な提案ができるようになりましょう。
4つ目は、相手がすでに知っている情報を繰り返している場合です。相手に「そんなことは言われなくてもわかっている」と反応されてしまうパターンです。このパターンに陥らないためにも、相手の要望をきちんと理解し横の論理を組み立てることです。
このように論点を外さないことは非常にむずかしいので、しっかり練習・準備をしましょう。
10.示唆がない
「示唆がない」とは、「全体を通して何が言いたいのか」が明確になっていない場合です。
話の最後に、結論をまとめて相手に伝えないと、尻切れトンボのプレゼンになってしまいます。
ただ、示唆とは「論点を絞り込むために役立つ情報」のことであり、全ての論点に対して完璧な答えを出すこととは違うことに注意しましょう。
前述した通り、論点はとても大切なのですが洗い出すとかなりの数になります。且つ、世の中は複雑で猛スピードで動いているので、ひとつひとつに完璧な答えを出すのは不可能です。
そのため、論点の中でも特に重要な論点はなんなのか、そしてその論点に対してある程度の方向性を見出すことが示唆を出すということです。
この論点の絞り込みをするためには、今まで述べてきた論理的スキルやアナログ的なスキルの両方が高度に要求されます。
11.おわりに
今回列挙した10ヶ条は、プレゼンテーションを失敗するときによく見られる原因です。
この中のどれをとってもプレゼンテーションが失敗するには十分な理由となります。
もしあなたがプレゼンテーションを成功させたいと思うなら、この10ヶ条をもう一度注意深く読み返していただけばと思います。
最初からすべクリアするのは大変だと思いますので、1回1回のプレゼンでよく考えて準備し場数を踏んでいければいいと思います。
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