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囚人のジレンマ

2020/09/21に公開

ゲーム理論

ゲーム理論とは,ざっくりいうと 考える人同士が関わり合ったときに,どのような意思決定をするかを論理的に分析する ものです.

今回は,最も有名な 囚人のジレンマ について簡単に説明します.

2つのお店の囚人のジレンマ

舞台設定

2つの隣り合ったお店があります.
互いの店は値下げをするかどうか考えています.

  • それぞれの店は 1日に 100万円ずつ利益をあげます
  • 一方の店だけが値下げをすれば,相手の店の客を奪って 150万円の利益をあげることができます
  • しかし,両方の店が同時に値下げをすると,単純に双方の利益が 70万円に下がります

このとき,2つの店はどのような行動をとるでしょうか?

ゲーム理論的な考え方

2つの店の利益を表にすると次のようになります.

店A\店B 維持 値下げ
維持 (100万円, 100万円) (30万円, 150万円)
値下げ (150万円, 30万円) (70万円, 70万円)

行と列はそれぞれ,店A, B の行動の選択肢を表し,セルの中は (店Aの利益, 店Bの利益) を表します.

まず,店A の立場で考えてみます.
店B がそれぞれの行動を取るときに最適な戦略を考えます

I. 店B が 維持 を選択する場合

  • 店A の利益は...
    • 維持 をすると 100万円
    • 値下げ をすると 150万円
  • したがって,値下げ をした方が多くの利益を得ます

II. 店B が 値下げ を選択する場合

  • 店A の利益は...
    • 維持 をすると 30万円
    • 値下げ をすると 70万円
  • したがって,値下げ をした方が多くの利益を得ます

以上のように考えると,店A は店B がいずれの選択をしたとしても 値下げ をしたほうが利益が大きくなります.
したがって,店A は 値下げ をすることが最適な選択といえます.

一方,表は対象な形をしているので,店B についても同じことが言えます.
したがって,この設定では互いに 値下げ をすることが互いに最適な行動となります.

ゲームの解

以上より,ゲームの解は次のようになります.

互いに「値下げ」の選択を取り,70万円ずつ利益を得る

ちょっとまって

利益の表を見ると,両方の店が 維持 を選択すると,両方の店が 100万円の利益を得ます.
これは互いに 値下げ をするよりも良い結果をもたらしているように見えます.

つまり,協力すれば互いにより良い結果を得るにもかかわらず,合理的な(自己中心的な)選択によってその協力関係は構築できない ことが、この分析からわかるのです.

どうすれば協力できるのか

ゲーム理論の研究では、そのための方法をいろいろと考察しています.
研究の応用として,マッチング,オークションなどがあります.

最後に

ゲーム理論を習得すると,あらゆる事象がゲームとして捉えられるようになります.
数学的な知識もそこまで必要なく,手軽に論理的な分析ができるのでとても便利です.

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