囚人のジレンマ
ゲーム理論
ゲーム理論とは,ざっくりいうと 考える人同士が関わり合ったときに,どのような意思決定をするかを論理的に分析する ものです.
今回は,最も有名な 囚人のジレンマ について簡単に説明します.
2つのお店の囚人のジレンマ
舞台設定
2つの隣り合ったお店があります.
互いの店は値下げをするかどうか考えています.
- それぞれの店は 1日に 100万円ずつ利益をあげます
- 一方の店だけが値下げをすれば,相手の店の客を奪って 150万円の利益をあげることができます
- しかし,両方の店が同時に値下げをすると,単純に双方の利益が 70万円に下がります
このとき,2つの店はどのような行動をとるでしょうか?
ゲーム理論的な考え方
2つの店の利益を表にすると次のようになります.
店A\店B | 維持 | 値下げ |
---|---|---|
維持 | (100万円, 100万円) | (30万円, 150万円) |
値下げ | (150万円, 30万円) | (70万円, 70万円) |
行と列はそれぞれ,店A, B の行動の選択肢を表し,セルの中は (店Aの利益, 店Bの利益)
を表します.
まず,店A の立場で考えてみます.
店B がそれぞれの行動を取るときに最適な戦略を考えます
I. 店B が 維持
を選択する場合
- 店A の利益は...
-
維持
をすると 100万円 -
値下げ
をすると 150万円
-
- したがって,
値下げ
をした方が多くの利益を得ます
II. 店B が 値下げ
を選択する場合
- 店A の利益は...
-
維持
をすると 30万円 -
値下げ
をすると 70万円
-
- したがって,
値下げ
をした方が多くの利益を得ます
以上のように考えると,店A は店B がいずれの選択をしたとしても 値下げ
をしたほうが利益が大きくなります.
したがって,店A は 値下げ
をすることが最適な選択といえます.
一方,表は対象な形をしているので,店B についても同じことが言えます.
したがって,この設定では互いに 値下げ
をすることが互いに最適な行動となります.
ゲームの解
以上より,ゲームの解は次のようになります.
互いに「値下げ」の選択を取り,70万円ずつ利益を得る
ちょっとまって
利益の表を見ると,両方の店が 維持
を選択すると,両方の店が 100万円の利益を得ます.
これは互いに 値下げ
をするよりも良い結果をもたらしているように見えます.
つまり,協力すれば互いにより良い結果を得るにもかかわらず,合理的な(自己中心的な)選択によってその協力関係は構築できない ことが、この分析からわかるのです.
どうすれば協力できるのか
ゲーム理論の研究では、そのための方法をいろいろと考察しています.
研究の応用として,マッチング,オークションなどがあります.
最後に
ゲーム理論を習得すると,あらゆる事象がゲームとして捉えられるようになります.
数学的な知識もそこまで必要なく,手軽に論理的な分析ができるのでとても便利です.
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