フリーライダーと公共財ゲーム

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フリーライダーとは

フリーライダー(タダ乗り)とは, 対価(供給のための費用)を支払わないで便益を享受する者を指す用語 です[1]

ゲーム理論の文脈では,公共財ゲームとセットの概念としてよく出てきます.

公共財ゲーム

ルール

  • プレイヤー数人と銀行が行うゲーム
  • プレイヤー i は任意の金額 x_i を出資する
  • 全員が出資を終わったら,銀行は全プレイヤーの合計出資額の2倍を等分したもの \frac{1}{\#N}\sum_{i\in N}x_i を配当として各プレイヤーに与える

4人(N = \{ A,B,C,D \})の場合の例

プレイヤー 出資 配当
A 200円 500円
B 300円 500円
C 500円 500円
D 0円 500円

※ 配当 = (200+300+500+0)\times 2 \div 4 = 500 (円)

解説

例を見れば明らかですが,このゲームでは出資額 0円の D が一番得をしています.
全員が最大金額を出資すると全体としての利益の増分は最大化されますが,個人の利益を考えた結果,出資をためらってしまいます.

公共財とは

ミクロ経済学の力[2]では,次の性質を持つものとしています.

  • 消費の非競合性
    • ある人がその材を消費しても,他の人がその材を消費できる量は減らない
      • 例:テレビ放送(誰か1人が受信しても,他の人は変わらず受信可能)
  • 消費の非排除性
    • 特定の消費者を消費から排除することが困難である
      • 例:国防(ある人の家だけを守らないといったことは困難)

例えば公園は,利用しても(多少の時間スペースを専有はしますが)公園自体から得られる利益が減ることはないですし,特定の人を排除することも困難です.

フリーライダー

公共財ゲームで出資額を 0円とするようなプレイヤーをフリーライダーと呼びます.
フリーライダーは全体の利益を増加させずに,自己の利益のみを享受するため,極力排除したい存在となります.
一方で,ゲームの構造を見ると出資額を 0円とすることは合理的であるため,一概に避難することはできません.
フリーライダーを排除するには,出資することによる インセンティブ を設計する必要があります.

現実世界のフリーライダー

例えば,会社をとると次のようなフリーライダーが存在します

  • 給料があまり変動しないことを理由に,仕事をサボる社員
  • 社員が費用を負担している自己学習を,自社の利益に利用する会社

前者は会社にコミットせずに利益を得ているので,イメージが付きやすいと思います.
一方,後者はイメージが付きにくいですが,フリーライドの一例です.

  • 教育によって身につけられるスキルは,使ったからといって減るものではない
  • すでに習得したスキルを排除して行動することは難しい

これは上で述べた 2つの公共財の性質に合致します

フリーライダーを排除するためには

先述したように,フリーライダーを排除するにはインセンティブの設計が必要です.
マインドなどの精神論で抑え込むことは困難と言えます.
ただし,インセンティブは何も金銭だけを表すものではありません.
個人が行動を変えるようなものはすべてインセンティブとなりえます.

コミュニティをうまく運営するには,上手な制度設計が必要です.

この記事は 2018年12月3日に Qrunch にて公開していた記事を移管したものです

脚注
  1. 出展 Wikipedia ↩︎

  2. 『ミクロ経済学の力』著:神取道宏,出版:日本評論社 (2016/5/16) ↩︎