AWS Knowledge MCP ServerとAWS Documentation MCP Serverの違いと試してみた

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はじめに

Fusicのレオナです。AWSが公開しているOSSの一部として「AWS MCP Servers」があります。このリポジトリでは、AWSの開発ワークフローに沿ったベストプラクティスを直接取り入れるために設計された、専用のMCP(Model Context Protocol)サーバー群が紹介されています。これらのMCPサーバーは、AWSドキュメントの検索、CDKにおけるベストプラクティスの実装、コスト分析、画像生成など、さまざまなタスクに対応します。

今回は、AWS公式ドキュメントや、ブログ、What’s Newなどの検索が可能な AWS Knowledge MCP Server を使ってみます。

https://github.com/awslabs/mcp/tree/main/src/aws-knowledge-mcp-server
(2025年9月13日時点の情報になります。)

MCP: Model Context Protocol とは

Anthropicが公開したIntroducing the Model Context Protocolから引用すると、MCPは複数のシステムに散在するデータを統一的に管理するためのオープンスタンダードです。コンテンツリポジトリ、業務用ツール、開発環境など、さまざまなデータソース間で、安全かつ効率的に情報をやりとりする手法となります。

MCPのGeneral architectureについて

  • Host:
    • Claude Desktop や VS Code, Cursor,Windsurf,ClineなどのLLMを搭載した全体のアプリケーションを指す
  • MCP Client:
    • サーバーと1:1の接続部分であり、サーバーとの通信を維持するクライアント
  • MCP Server:
    • 標準化されたModel Context Protocolを通じて特定の機能を提供するプログラム
  • Local Data Sources:
    • MCP サーバーが安全にアクセスできるローカルのファイルやサービス
  • Remote Services
    • MCPサーバーが接続できる、インターネット上で利用可能な外部システム(例:API経由でアクセスできるものなど)

https://modelcontextprotocol.io/introduction#general-architectureより

AWS Knowledge MCP Serverの概要

AWS Knowledge MCP ServerはリモートMCP サーバーです。最新のAWSドキュメント、APIリファレンス、ベストプラクティスやアーキテクチャなどの公式コンテンツを検索・取得できます

主な機能

  • ドキュメント読み取り(read_documentation):
    • AWSドキュメントページを取得してマークダウン形式に変換
  • ドキュメント検索(search_documentation):
    • AWSドキュメントを検索する
  • レコメンデーション(recommend):
    • おすすめされたAWSドキュメントページの関連コンテンツを取得する

AWS Documentation MCP ServerとAWS Knowledge MCP Serverの違い

以前にAWS Documentation MCP Serverについてブログを書きましたが、AWS Documentation MCP Serverも同様にAWS公式ドキュメントが検索できます。今回は両MCP Serverの違いをまとめてみました。

https://zenn.dev/fusic/articles/473a9d1a1dfc43

観点 Documentation MCP Server Knowledge MCP Server
提供形態 ローカル実行 AWS がホストするリモートサービス
アクセス方法 uvx awslabs.aws‑documentation‑mcp‑server@latest などをローカルで起動して IDE から stdin 経由で接続 https://knowledge-mcp.global.api.aws へ HTTP で接続も可能
対象コンテンツ AWS公式ドキュメントのサービスガイド・APIリファレンスとそのレコメンド AWS Docs に加えて 「What's New」、「Getting Started」、「Builder Center」、ブログ、アーキテクチャリファレンス、Well‑Architected 等
検索API AWS Docs 検索 API 統合インデックスに基づく検索(ランキング方法は非公開)
主な用途 APIパラメータや設定方法をピンポイントに参照したい方向け 設計・ベストプラクティス・最新情報まで広く検索したい方向け
セットアップ Python 3.10+/uv などローカル環境の準備が必要 URL を MCP 設定に追加するだけで利用開始。ネットワーク接続必須、HTTP 非対応クライアントは mcp‑remote/mcp‑proxy

参照:https://awslabs.github.io/mcp/servers/aws-knowledge-mcp-server/#:~:text=,remote AWS Knowledge MCP Server

導入① HTTP 対応クライアント(Cursor等)

1.グローバル設定(~/.cursor/mcp.json)かワークスペース設定(.cursor/mcp.json)でMCPサーバーを追加する
2.以下をmcp.jsonにコピペする

{
    "mcpServers": {
        "aws-knowledge-mcp-server": {
            "url": "https://knowledge-mcp.global.api.aws"
        }
    }
}

導入② HTTP 非対応クライアント(Claude Desktop等)

  1. ターミナルでbrew install uvでuvをインストール
  2. ターミナルでuv python install 3.10でPython 3.10版をインストール
  3. Claude Desktopを開き、メニューバーのClaude -> 設定を開いてください
  4. 左サイドバーから開発者 -> 設定を編集をクリック
  5. claude_desktop_config.jsonがフォルダにあるのでクリック
  6. claude_desktop_config.jsonに以下をコピペする
{
    "mcpServers": {
        "aws-knowledge-mcp-server": {
            "command": "npx",
            "args": [
                "mcp-remote",
                "https://knowledge-mcp.global.api.aws"
            ]
        }
    }
}
  1. Claude Desktopを再起動し、画像の赤枠のアイコンをクリックし、aws-knowledge-mcp-serverが追加されていたら完了です

実際に使ってみる

  • 質問:
    Amazon Bedrock AgentCoreについて教えてください

  • 回答:

Amazon Bedrock AgentCoreとは
Amazon Bedrock AgentCoreは、現在プレビュー版で提供されている、AIエージェントを本番環境で安全かつスケーラブルにデプロイ・運用するためのエンタープライズグレードのサービスです。
主な特徴

フレームワーク・モデルに依存しない柔軟性

LangGraph、CrewAI、Strands Agentsなどの人気のあるオープンソースフレームワークをサポート
あらゆるプロトコルとモデルに対応
オープンソースの柔軟性とエンタープライズグレードのセキュリティを両立


モジュラーなサービス構成

各サービスは単独でも組み合わせても使用可能
必要な機能だけを選択して利用できる



AgentCoreの主要サービス
1. AgentCore Runtime

エージェントとツールをデプロイ・スケーリングするための専用サーバーレスランタイム
長時間実行サポート、高速コールドスタート
真のセッション分離、組み込みIDサポート
マルチモーダルペイロードに対応

2. AgentCore Identity

セキュアでスケーラブルなエージェントのID・アクセス管理
既存のIDプロバイダーとの互換性
セキュアトークンボールトによる同意疲労の最小化
AWSリソースやサードパーティツールへの安全なアクセス

3. AgentCore Memory

エージェントにコンテキスト認識機能を提供
短期記憶(マルチターン会話)と長期記憶(エージェント間・セッション間共有)をサポート
業界トップクラスの精度

4. AgentCore Code Interpreter

隔離されたサンドボックス環境でコードを安全に実行
高度な設定サポートと人気フレームワークとのシームレスな統合

5. AgentCore Browser

クラウドベースの高速で安全なブラウザランタイム
AIエージェントがウェブサイトと大規模にやり取り可能
自動スケーリング、包括的な可観測性機能

6. AgentCore Gateway

エージェントがツールを発見・使用するための安全な方法を提供
API、Lambda関数、既存サービスをエージェント互換ツールに変換
Model Context Protocol (MCP) と Agent-to-Agent (A2A) プロトコルをサポート

7. AgentCore Observability

エージェントのパフォーマンスをトレース、デバッグ、モニタリング
OpenTelemetry互換のテレメトリをサポート
エージェントワークフローの各ステップの詳細な可視化

最後に

7月に発表された比較的新しいAmazon Bedrock AgentCoreについて回答が生成されました。https://docs.aws.amazon.com/bedrock-agentcore/latest/devguide/what-is-bedrock-agentcore.html を参照しているログを確認することができました。参照先のURLを元にLLMが回答を生成しているのでハルシネーションのリスクが軽減できると思います。 私は1か月ほど使っていますが、AWSの公式ドキュメントを探す時間が短縮され、自分が調べるよりも正確な情報にアクセスできると感じています。キャッチアップや勉強において有効なMCPサーバーだと感じています。

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