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.NET 5 への移行 - WCF をどうすべきか?

6 min read

こんにちは!

.NET 5 (もしくは2021年にリリースされる .NET 6) へ、移行を検討しているお客様の声をお聞きするようになりました。

その中でも、 Windows Communication Foundation (以下 WCF) をどう取り扱うべきか?についてお話したいと思います。

.NET 5 でサポート対象外となった WCF

既にご存知の方も多いかと思いますが、.NET 5 は、WCF はサポートされていません。

Web Forms、Windows Communication Foundation (WCF) サーバー、Windows Workflow を含め、もっと "レガシ" な API のいくつかはサポートされません。これらは、.NET Framework のみに留まることになります。.NET 5 内で同じ機能性を実現したい場合は、これらの API を次のように移植することを検討してください。

ASP.NET Web Forms => ASP.NET Blazor

WCF サーバーおよびリモート => gRPC

Windows Workflow (WF) => Core WF (github.com/UiPath/corewf)

以下ページより抜粋

https://docs.microsoft.com/ja-jp/archive/msdn-magazine/2019/july/csharp-net-reunified-microsoft’s-plans-for-net-5

そのため、現行システムで WCF をご利用している場合は、何かしらの対策が必要となります。

移行の選択肢

比較表

ざっくりですが、これから紹介する移行先についての比較表です。

移行先 移行コストの低さ 信頼性 概要
ASP.NET Core Web API ★★★ ★★★ MS が支えているテクノロジー
gRPC ★☆☆ ★★★ Google がメインサポート
CoreWCF ★★☆ ★☆☆ 正規版のリリースがまだ、将来性に期待

ASP.NET Core Web API (REST-API)

まずは、ASP.NET Core Web API です。

WCF と同じく Microsoft 社が提供しているテクノロジーであるため、移行コストを低く抑えることができます。

WCF で利用していたパラメータクラスも、ほぼそのまま流用することが出来ます。

例えば、WCF で通信するパラメータクラスは以下のように定義しますが、ASP.NET Core WebAPI で取り扱うパラメータも、WCF と同様にクラス定義で実現でき、また、API として公開するためのメソッドの定義も、WCF とほとんど同じ形式で実装することが出来ます。

WCFの場合

<b>パラメータクラス</b>


    [DataContract]
    public class CompositeType
    {
        bool boolValue = true;
        string stringValue = "Hello ";

        [DataMember]
        public bool BoolValue
        {
            get { return boolValue; }
            set { boolValue = value; }
        }

        [DataMember]
        public string StringValue
        {
            get { return stringValue; }
            set { stringValue = value; }
        }
    }

<b>API の定義</b>

 public class Service1 : IService1
    {
        public CompositeType GetDataUsingDataContract(CompositeType composite)
        {
            if (composite == null)
            {
                throw new ArgumentNullException("composite");
            }
            if (composite.BoolValue)
            {
                composite.StringValue += "Suffix";
            }
            return composite;
        }
    }

ASP.NET Core WebAPI の場合

<b>パラメータクラス</b>


public class WeatherForecast
{
    public DateTime Date { get; set; }
    public int TemperatureC { get; set; }
    public int TemperatureF => 32 + (int)(TemperatureC / 0.5556);
    public string Summary { get; set; }
}

<b>API の定義</b>

[ApiController]
[Route("[controller]")]
public class WeatherForecastController : ControllerBase
{

    [HttpGet]
    public IEnumerable<WeatherForecast> Get()
    {
        var rng = new Random();
        return Enumerable.Range(1, 5).Select(index => new WeatherForecast
        {
            Date = DateTime.Now.AddDays(index),
            TemperatureC = rng.Next(-20, 55),
            Summary = Summaries[rng.Next(Summaries.Length)]
        })
        .ToArray();
    }

    private static readonly string[] Summaries = new[]
    {
        "Freezing", "Bracing", "Chilly", "Cool", "Mild", "Warm", "Balmy", "Hot", "Sweltering", "Scorching"
    };

    private readonly ILogger<WeatherForecastController> _logger;

    public WeatherForecastController(ILogger<WeatherForecastController> logger)
    {
        _logger = logger;
    }

}

gRPC

Google 社が開発した新しい通信技術です。

https://docs.microsoft.com/ja-jp/aspnet/core/tutorials/grpc/grpc-start?view=aspnetcore-5.0&tabs=visual-studio

Microsoft でもサポートされている通信技術であり、Visual Studio からテンプレートを選択することで、簡単に作成することができます。

image.png

WCF と比較すると、パラメータ定義の方法が大きく異なり、 .proto ファイルというファイルでパラメータを定義します。
つまり、WCF からの移行の場合、全てのパラメータを再定義する必要があります。
そのため、ASP.NET Core Web API と比較すると、コストが多く掛かります。

<b>パラメータ定義</b>

syntax = "proto3";

option csharp_namespace = "GrpcService1";

package greet;

// The greeting service definition.
service Greeter {
  // Sends a greeting
  rpc SayHello (HelloRequest) returns (HelloReply);
}

// The request message containing the user's name.
message HelloRequest {
  string name = 1;
}

// The response message containing the greetings.
message HelloReply {
  string message = 1;
}

<b>API の定義</b>

public class GreeterService : Greeter.GreeterBase
{
    private readonly ILogger<GreeterService> _logger;
    public GreeterService(ILogger<GreeterService> logger)
    {
        _logger = logger;
    }

    public override Task<HelloReply> SayHello(HelloRequest request, ServerCallContext context)
    {
        return Task.FromResult(new HelloReply
        {
            Message = "Hello " + request.Name
        });
    }
}

CoreWCF

最後の選択肢としては、 WCF を .NET 5 でも取り扱う事が出来るように出来る Core WCF というライブラリです。

注意点としては、正式リリースが未だされておらず (v0.2.1が最新 - 2021年8月時点)、まだ実際に導入するべきタイミングではありません。

WCF サーバーのサポートが行われないことは、一部の人にとって間違いなく残念なことです。しかし、Microsoft では最近、MIT オープン ソース ライセンス下でソフトウェアをリリースすることを決定しました。このソフトウェアはコミュニティの管理下に入ることになります (github.com/CoreWCF/CoreWCF を参照)。.NET Framework を独立してリリースするにはまだ行うべき作業がたくさんありますが、その間にも、クライアント側の WCF API は利用可能です (github.com/dotnet/wcf を参照)。

以下ページより抜粋

https://docs.microsoft.com/ja-jp/archive/msdn-magazine/2019/july/csharp-net-reunified-microsoft’s-plans-for-net-5

今後、開発が進み、現行の WCF と同様の使い方ができる可能性はありますが、現段階では、あまり推奨できる選択肢ではありません。

https://github.com/CoreWCF/CoreWCF

まとめ

それぞれの移行先を、あらためてまとめると以下のようになります。

・ASP.NET Core Web API .. 移行コストをかなり抑えることが出来る、使い慣れたマイクロソフトテクノロジーで開発できる

・gRPC ... 移行時に伴いコストは増えるが、最新の通信技術を採用したい場合におすすめ

・CoreWCF ... まだまだ移行計画が先であり、正式リリース後にタイミングがあえば検討の余地あり

また、今後も WCF を包括する .NET Framework のサポートは継続して行われますので、今すぐに移行する必要はありませんが、いずれ対応すべきタイミングが訪れます。

その際に、慌てて対応を行うよりは、早めに計画し、準備を進めていきたいですね。

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