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【M&Aエンジニアリング】中〜大規模Webサービスの譲渡プロセスについて

2024/08/26に公開

こんにちは!
株式会社FUNDiT CTOの萩原といいます

経歴としては
2023年まで株式会社ジーニーにて
・フロントエンド開発
・サーバーサイド開発
・インフラ/SRE マネージャ
・子会社ビジネスサーチテクノロジ株式会社に取締役として出向
2023年に合同会社ラケシスとして独立
現在、2024年より 株式会社FUNDiTにてCTOを拝命 となります
https://zenn.dev/rackesis

今後ともよろしくお願いします!

FUNDiTでは、M&Aで事業グロースとコスト最適化の両面で
企業価値の向上を繰り返すビジネスをしています

今回は技術部門としてはどんなことをやっているのかをまとめていこうと思います

私達の事業で目指すべきは企業収益価値を高めるがゴールとなるので
前段として、安定した運用とコスト最適化が第一に求められます

ビジネスと技術を融合させたグロースハックについても重要なのですが
次回以降にまた話せればと思います

サンプル事例・ポイントサービス

さて、今回はサンプルケースとして
老舗である国内最大級の会員数を抱えるポイントサービスを引き継いだときの構成を利用して
どのように安定した引き継ぎを行っているか、一例を投稿します

サンプルケース

  • 会員制ポイントサービス
  • インフラはAWS
  • 関連リポジトリは20個超
  • AWS費用(最適化前)で月額 USD8,0000 ~ USD10,0000前後
  • WebAPサーバ c5.xlarge(4vcpu) 30台前後
  • RDS m5.2xlarge MultiAZ 構成

サービス引き継ぎのプロセス

流れとしては大きく分けて下記の3つを進めていきます

2までで引き継ぎとしては完了ですが
事業の特性上、3まで実施して完了にしています

  1. 技術DD(ITデューデリジェンス)[1]
  2. 引き継ぎ実作業
  3. コスト最適化と改善

今回に関しては
1.技術DDに関しての観点や注意点について記載していこうと思います
引き継ぎ実作業やコスト最適化については別記事で記載していますので
こちらもよろしくお願いします!
https://zenn.dev/fundit/articles/589279d387f423

技術DD(ITデューデリジェンス)の実施

事前に制作しているチェックリストを元に技術DDを行います

観点としては「IT技術の既存資産価値の調査」となりますが
主としてはコスト面や外的要因リスクやリーガルリスクになるので

  1. コスト管理
    1. ITコスト全般
  2. 運用管理
    1. 運用状況、制限事項
    2. 運用現状課題
  3. 外的要因リスク、リーガルリスク

になってくると思います

具体的に表すとどうなるか

上記の課題それぞれに関して混ざってきたりしますが、以下が一例です

  • 開発メンバーの移動
  • 技術スタックの確認
  • 技術的負債の確認
    • ソースコード品質調査
    • ミドルウェアのバージョンなど
  • 既存運用の確認
    • 考慮しておくべき運用課題など
    • 手動運用など、自動化できていない運用はあるか
  • 費用項目
    • 開発資産や固定資産
    • 利用SaaS・ソフトウェアコスト
    • 利用インフラコスト
  • 外的要因に対するリスク

各項目については細かく他にもあるのですが、大まかにはこんな所を実施します
Google Spreadsheetに一覧化しておいて回答をもらったりしますが
リスク判断や品質調査については具体的なソースコードを確認したり
場合により直接サーバーにログインして確認したりします

全体的に受け身になってしまうと引き継ぎ後に大きな課題とかがでてきやすいので
システムを理解し、課題がありそうなポイントは随時細かく確認をいれていきます

DD資料1

↑一行だけですけど、こんな感じのものが3~40行ほど存在します

要注意チェックポイント

余談ですが引き継ぎ元も、もはや何もワカラナイ…みたいな時もあったりします

今回の事例での特徴

今回、ポイントサービスの引き継ぎでしたが、特筆しておく点は以下になりました

  • ポイントサービスであるため、既存ユーザー所持ポイントがどれくらいの量になっているかの調査
    • そのまま原価となるために、全体像を把握しておく必要があった
  • 注意しておくべきシステム関連事項
    • 内部的負債の確認と対応策を洗い出しておく
  • 現状の保守レベルの確認
    • 外部委託をしている部分が多かったため、どのような作業をしているか、定期的な作業をしているかのヒアリング
    • 関わる人が多かったために、権限の整理等の実施
  • 契約しているSaaS・ミドルウェアが意外と多かった
    • 外部サービス費用が月ベースで重かったため、確認後断捨離を行う必要があった
  • 引き継ぎ後の運用体制
    • 外部委託の方をそのまま引き継げるのかどうか
    • 社内での引き継ぎリソースの確保

特にポイント原価などはサービス固有の話であるために時間をとって対応していきました
今後の運用に関する内部負債の確認や利用SaaS・ミドルウェアも今後別基盤でのリプレイス等も
計画にいれておきます

終わりに

外部公開するにあたってバラバラな資料をまとめたりしたので自分でも良い学びになったと思いました
走り書きの部分もありますが、定期的に改版して役に立つようなドキュメントにしていきます

今後も、今回紹介しきれなかったテクニカルTips、を今後公開していこうと思います

以下、記事の改版履歴
2024/8 v1.0


FUNDiTでは今後もIT企業のM&Aを積極的に実施していきますので、興味のある方は一緒にやってみませんか?
https://jobs.forkwell.com/fundit/jobs/27657

脚注
  1. 事業における技術の価値などを可視化する作業という意味合いで使ってます https://ma.funaisoken.co.jp/ma/report/post-4573/

    ↩︎
株式会社FUNDiT

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