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Git構成管理におけるブランチ戦略ガイド(git-flowとGithub Flow)

2025/03/07に公開

はじめに

ソフトウェア開発において構成管理は非常に重要な要素です。特に複数人で開発を行う場合、どのようにコードを管理するかという「ブランチ戦略」は、プロジェクトの進行速度や品質に大きく影響します。本記事では、代表的なブランチ管理方法である「Git-Flow」と「GitHub Flow」について、それぞれの特徴と具体的な活用例を解説します。

ブランチ管理の基本

ブランチとは、開発の流れを分岐させて並行作業を可能にする仕組みです。これにより、複数の機能開発やバグ修正を同時に進めることができます。しかし、ブランチの使い方に統一されたルールがないと、チーム内で混乱が生じることがあります。そこで登場するのが「ブランチ戦略」です。

以下はGit-FlowとGitHub-Flowの例です。これからこの二つを例に取って説明します。

Git-Flow: 大規模開発向けのブランチモデル

概要

Git-Flowは、大規模な業務システム開発やパッケージ製品開発など、比較的長期のリリースサイクルで厳密なプロセスを必要とするプロジェクトに適したブランチモデルです。

使用するブランチ

  • master: 製品リリース用の安定したコードを保持するブランチ
  • develop: 開発の中心となるブランチ。次のリリースに向けた開発が集約される
  • feature: 新機能を開発するためのブランチ。developから分岐し、完成したらdevelopに統合
  • release: リリース準備用のブランチ。developから分岐し、準備が完了したらmasterとdevelopの両方に統合
  • hotfix: 緊急のバグ修正用ブランチ。masterから分岐し、修正後はmasterとdevelopの両方に統合

Git-Flowのメリット・デメリット

メリット:

  • 明確なブランチの役割分担
  • バージョン管理が厳格に行える
  • 大規模なチームでも混乱が少ない

デメリット:

  • 複雑でルールが多い
  • 小規模プロジェクトでは過剰な場合がある
  • マージの頻度が多くなり、コンフリクトが発生しやすい

GitHub Flow: シンプルで迅速な開発向けのブランチモデル

概要

GitHub Flowは、コンシューマー向けのサービス開発のようにリリースを頻繁に行うプロジェクトや小規模開発に向いているシンプルなブランチモデルです。

使用するブランチ

  • master: いつでもデプロイ可能な状態を保つメインブランチ
  • feature: すべての作業(新機能、バグ修正など)用のブランチ。masterから分岐し、プルリクエストを経てmasterに統合

GitHub Flowのメリット・デメリット

メリット:

  • シンプルで理解しやすい
  • 迅速なリリースサイクルに適している
  • プルリクエストによるコードレビューが促進される

デメリット:

  • 多数のリリースが同時に進行する大規模開発には不向き
  • バージョン管理が比較的緩やか
  • リリース準備のための専用フェーズがない

Git-FlowとGitHub Flowの具体例: 文化祭アプリ開発とクラス写真共有アプリ

例えばこれから説明するプロジェクト管理方針の具体例を図式化したものです。

具体例: Git-Flowのクラスの写真共有アプリ

例えば学校の文化祭アプリを開発する場合を考えてみましょう:

  1. master: 文化祭当日に使用される安定版(v1.0、v1.1など)
  2. develop: 次の文化祭向けに開発中の最新版
  3. feature:
    • feature/map-function: 校内マップ機能を開発中
    • feature/food-menu: 模擬店のメニュー表示機能を開発中
    • feature/event-schedule: イベントスケジュール機能を開発中
  4. release: release/v1.1 として次バージョンの最終テスト中
  5. hotfix: hotfix/login-error として文化祭当日に発生したログイン不具合を緊急修正

具体例: GitHub Flowのクラスの写真共有アプリ

クラスの写真共有アプリを開発する場合を考えてみましょう:

  1. master: クラスメイトがいつでも使える安定版
  2. feature:
    • feature/photo-upload: 写真をアップロードする機能を開発中
    • feature/comment-system: 写真にコメントをつける機能を開発中
    • feature/fix-photo-size: 写真サイズがおかしくなるバグを修正中

開発者は各機能を個別のブランチで開発し、完成したらプルリクエストを出します。レビューが通ればすぐにmasterブランチにマージされ、自動的にデプロイされるという流れです。

ブランチ戦略の選び方

プロジェクトに最適なブランチ戦略を選ぶためのポイントとして、以下の点を考慮すると良いでしょう:

  1. チームの規模: 大規模チームではGit-Flow、小規模チームではGitHub Flowが向いていることが多い
  2. リリースサイクル: 頻繁にリリースする場合はGitHub Flow、計画的に長期リリースする場合はGit-Flowが適している
  3. プロジェクトの複雑さ: 複雑で多機能なプロジェクトではGit-Flow、シンプルなプロジェクトではGitHub Flowが管理しやすい
  4. 品質管理の厳密さ: 厳密な品質管理が必要な場合はGit-Flow、迅速なフィードバックを重視する場合はGitHub Flowが向いている

まとめ

ブランチ管理方法は、プロジェクトの特性やチームの働き方によって最適なものが異なります。Git-Flowは計画的で厳格な開発プロセスに、GitHub Flowは迅速で柔軟な開発サイクルに向いています。

重要なのは、チーム全体で選んだブランチ戦略を理解し、一貫して実践することです。適切なブランチ戦略を採用することで、開発効率の向上、品質の安定、チームメンバー間の混乱防止など、多くのメリットを得ることができます。

自分たちのプロジェクトに最適なブランチ戦略を見つけ、効率的なソフトウェア開発を実現しましょう。

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