iOSDC Japan 2025 参加レポートと個人的に気になったセッション
はじめに
自身2回目となるiOSDCJapan2025に参加してきました。ブログを書くまでがiOSDCということで、簡単ですがレポートと個人的に気になったセッション+メモを残しておきます。#iwillblog
ちなみに今年はDroidKaigi2025にも参加してきたのですが、その簡単なセッションメモはこちらに残してあります。
iOSDCとは
iOSDCはiOS関連技術をコアテーマとするソフトウェア技術者のためのカンファレンスです。
日本中、世界中から公募したスピーカーによるトークセッションや、参加者同士でのコミュニケーションが中心コンテンツで、近年はオンライン(ニコニコ生放送)とオフラインを組み合わせたハイブリッド形式で開催されています。
また今年は Day0-Day2 の2.5日間?開催でした。
雑感
あまり意識してませんでしたが、参加回数が多いDroidKaigiとなんとなく比較しての内容となっているかもです。
💡iOSDCのトークセッションには時間の強弱がある
iOSDCはトークセッションが40分と20分、さらにLT大会やルーキーズLT大会と呼ばれる5分LT枠があります。
午前中〜午後にかけて40分セッションや20分セッションが行われるのですが、セッションの時間に強弱があるので聴く側としてはより集中力が続きやすくありがたいなと感じました。
💡LT大会がライブや学祭みたいで楽しい
また、午後遅くになるとLT大会が開催されるのですが、これがとにかく楽しい。
LT大会:LTが10枠程度連続で実施される怒涛のLTタイムのこと
前提として、スピーカーの方が丹精込めて作られた技術トークの内容もとても興味深く勉強になり楽しいのですが、特筆すべきはみんなでペンライトを振りながらスピーカーを応援して(制限時間を知らせて)楽しむ点です。
それはまるでライブや学祭に来たような気分。会場も温かい雰囲気になり、とてもアットホームといいますか一体感がありとにかく楽しい空間でした。
※ ↓ペンライト含む会場の良い写真が撮れなかったので、雰囲気が伝わる長谷川さん(iOSDC実行委員長)の記事を引用させていただきます。面白いです。
💡アンカンファレンスやもくもくスペースもある
セッション以外のコンテンツとしては、
- 50ほどの企業スポンサーブース
- パンフレットに掲載の技術記事(これも公募で選出)
- 参加者が即興で自由なトークができるアンカンファレンス
などがありました。
また「もくもくスペース」と呼ばれる机と椅子が自由に利用できるスペースもありました。そこでメモを整理したり、モチベーション上がった状態で開発をしたり、参加者同士でコミュニケーションを軽く取ったりもできる環境で、個人的にはとてもありがたい環境でした。
各セッションとメモ
登壇された方の資料も参考にさせていただきつつまとめています。またセッション動画は1ヶ月ほど後にYoutubeにて公開される予定とのことです。
セッションをなんとなくカテゴリ分けしようと思ったのですが意外とグルーピングが難しい。。ざっくり程度のカテゴリ分けしかできてません。
UIやレイアウト設計
👉 世界の人気アプリ100個を分析して見えたペイウォール設計の心得
冒頭で「世界の人気アプリ100個を気合いと根性で分析した」とあるのですが、21カテゴリ・103個のアプリで1012枚のスクリーンショットを撮られていて、まさに力技で分析をされていたのが印象的だったセッション。
分析フェーズでは、集めた情報 + 課金に関してAppleの一次情報を元にしつつ「UIの構成要素」「情報量とレイアウト」など7つの観点で丁寧にパターン分けしながら分析結果をまとめられていて、分かりやすく読み物としても面白いし、またカタログ的にも参照できそうでした。
👉 カスタムUIを作る覚悟
標準UIで表現できないが実現したいUI、ありますよね。そのカスタムUIについてどこまではチャレンジしてOKか、どこからは危ないか(考慮すべきこと/対応すべきことが多くなるか)、カスタムUI作る場合は具体的にどんな項目を気にしなければいけないか、を紹介してくれているセッション。
- 日付ピッカーって地域設定でここまで表示変わったり、ApplePencilのスクリブルにも対応してる
- ナビゲーションバーの背景はOS設定の "透明度を下げる" でblurされなくなる
などなど、標準UIってそこまで対応してくれてるのか....という感想が第一でした。全然知らなかったです。
また、カスタムUIは静的なデザイン以外で決めるべき内容も多いことからデザイナーとエンジニアで責務に境界を引きすぎず「同じクリエイターとしてカスタムUIに取り組むべき」という点については特に共感しました。カスタムUIはもちろん、それに限らず柔軟に協業できる環境を作りたいですね。
👉 『ホットペッパービューティー』のiOSアプリをUIKitからSwiftUIへ段階的に移行するためにやったこと
(ちょっとカテゴリ違いかもですが... ただ課題がUIやデザインに関する内容が多かったのでこちらに)
移行した目的や、どのようにフェーズ分けして実施したか、また移行の中で遭遇した課題とその解決策などまとまっていて分かりやすく参考になるセッション。
タイトルや全体の流れは移行にフォーカスしていますが、「デザインとコードの構造上の乖離」や「コンポーネント単位でのスナップショットテストができてない」、「UIコンポーネントを手元で確認できない」など世のプロダクトで一般的に課題となっていそうなトピックについても掘り下げており、参考になる点が多いと感じました。
OS新機能を利用しユーザー体験を進化させる
👉 AlarmKitで実現する 新時代のシステム通知
「AlermKitでできること」と「実際に開発されたアプリをベースにこんなことが実現できる」が紹介されているセッション。
AlermKitで「デバイス設定によらずユーザーに重要なアラームを届けたい」「Dynamic Islandやロック画面での視覚的なアラームを表示したい」「アラーム後のカスタムアクションを設定したい」などが実現できそうです。
またコードベースでどのように実装すべきか + 登場クラスなどが概念図 で説明されているのでとても具体的な実装についても理解が進みました。
👉 航空券、マイナカード、クレカ 以外の可能性をできることベースで考えよう! 進化するWalletアプリをあなたの選択肢に!
Walletの概要から実装、できることなどを幅広く紹介してくれているセッション。
- ゼロからWalletを実装する方法
- HIGをみつつカンファでのシーンをベースに提供されている機能の紹介
- 最近追加されたセマンティックタグやPKPassLibraryでできるようになったこと(バックグラウンドでのパスの追加など)の紹介
「手軽にユーザーとの距離を近づけられる」をテーマにWalletが活用できるタイミングがないか、ご自身のプロダクトで検討してみるのも良さそうです。
AI系
👉 AIを活用したレシート読み取り機能の開発から得られた実践知
レシート読み取り機能がベースですが、OCRの具体的な処理の流れ、パフォーマンス改善案、FoundationModelsでどこまでできるか、など他分野でも活かせそうな知見がまとまっているセッション。
セッション見れずで後から資料だけ拝見したこともあり、レシート読み取り結果の解析ってどうやるんだろ..?というところが気になりましたが「y座標の値が同じだったら同じ品目の情報」などと見なして分析しているのかなと推測でき、結構泥臭いんだなという感想を抱きました。
あまり深くは理解できていませんが、FoundationModelsのAPI使い方についてもコードベースで載せていただいているのでざっくり感覚を掴むこともできました。
その他
👉 iOSエンジニアの可能性を広げる:ソニーがKotlin/Compose Multiplatformに挑戦した理由(あなたもぜひ)
KMP/CMPの概要と、iOSの体験もおざなりにしないよう気にしつつKMP/CMPでアプリを作った話。
アプリのユーザーの層としてはiOSが55%を占めている中で、共通処理で良いところとSwiftUIを使って表現した方が良いところの使い分けについてピックアップして紹介されていました。最終的に共通コードの割合は80%にまでできたとのことでした。
また個人的には、登壇者であるSergioさんの「みんなでiOS/Androidエンジニアではなくモバイルエンジニアになろうよ!」という熱い思いに共感しました。
👉 Swiftビルド弾丸ツアー - Swift Buildが作る新しいエコシステム
(セッション見れず。わかりやすかったという声を結構聞いたのと、ブラックボックスな部分なので気になるのでこれからキャッチアップしたい....)
👉 アセンブリで学ぶCPUアーキテクチャ
(こちらもセッション見れてないのですが、クラッシュなどのスタックトレースを読み解くヒントに活用できそうでキャッチアップしたい.....)
👉 列車行程追跡アルゴリズムを書こう
乗車中の路線/駅情報を位置情報から特定し表示するアプリ「駅ライブ」のロジックを丁寧かつおもしろく紹介しているセッション。位置情報やその履歴、また移動の角度などさまざまな要素を組み合わせることで推定していてとても興味深かったです。
「駅ライブ」自体はすでにAppStoreで公開ずみ、また「駅ライブ」の開発で必要だったデバッグ用の機能を備えたiPhoneアプリやMacアプリについてもgithubで公開されているためロジックが気になる方は見てみてはいかがでしょうか。(個人的にはデバッグアプリのUIにもワクワクしました)
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