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ベンチャー企業の情シスの業務について

2024/10/29に公開1

ベンチャー企業の情シスの業務について

はじめに

株式会社フクロウラボで情シスを担当している高島です。

私が当社に入社したのはおよそ2年前になります。入社から専任の「ひとり情シス」ポジションで業務にあたってきました。
今後は積極的に当社の情シスとして、「これまで取り組んできたこと」「目下取り組んでいること」「今後取り組もうとしていること」の情報発信を行いたいと考えています!

今回は、タイトルにあるとおり、ベンチャー企業における情シス業務はどのようなものなのか。まずはその実態を情シスポジションそのものの深掘りとともに情報共有ができればと考えております。

ぜひ最後まで読んでいただき、どなたかの参考になれば幸甚です!

そもそも情シスとは?

「情シス」とは、「情報システム部門」の略称で、企業内のITインフラおよび情報技術に関連するすべての管理業務を担う部門です。現代の企業活動においては、情報システムは血液のように重要な役割を果たしており、その整備と運用はビジネス競争力に直結します。情シスは、デジタル化された業務プロセスを支える中核的な存在として、企業の機能を支援しています。

似たポジションに「社内SE」があると思います。ここに大きな差はないと考える方も多いかと存じますが、「情シス」と「社内SE」両者のポジションを経験した私が、個人的に感じる違いとして、情シスは情報システムに関わるすべてを網羅的に扱うのに対して、社内SEは自社システム開発から保守まで一貫して行う、情シスよりは少し専門的(SE色が強い)なポジションの印象です。

一般的に情シスが担う業務役割とは?

情シスの役割は多岐にわたりますが、以下のような業務が一般に挙げられます。

  • システムの設計・導入・運用
    ビジネスの要件に応じて最適な情報システムを設計し、それを導入・運用し、継続的にメンテナンスを行います。例えば、SFA(セールスフォースオートメーション)ツールや、ERP(エンタープライズリソースプランニング)システムの導入がこれに該当します。昨今はSaaSの普及により導入までの工数が軽減されていますが、自社の要件を定義し、導入予定のサービスにて、その要件が満たされるのかを事前に確認するなどの要件定義業務はシステム導入においては必須作業です。

  • ネットワーク管理
    社内外の通信を支えるネットワークの構築と管理を行います。オフィスやリモートワーク時に高速で安全な接続を提供するため、ネットワークの整備や、必要であればVPNやファイアウォールの設定を行います。

  • セキュリティ管理
    サイバー攻撃から会社のデータを守るため、セキュリティポリシーの策定やウイルス対策ソフトの導入、脆弱性のモニタリングを実施します。フィッシング対策やデータ暗号化も重要な活動です。

  • ヘルプデスク
    社員からの技術的な質問や問題に対応します。例えば、パソコンの不調時のサポート、ソフトウェアのインストール支援など、日常的なITサポートも含まれます。

  • 資産管理
    PCやサーバー、ソフトウェアライセンスなどのIT資産を一元管理し、使用状況を把握して最適化を図ります。定期的に機器を更新し、耐用年数を管理することも重要な業務です。

情シスの形態による役割の違い

情シスの形態は3つに大別できます。その役割を見てきましょう。

複数情シス

  • 専門性の明確化
    人数が多い場合、それぞれの担当者が専門的な役割を持つことができます。例えば、ネットワーク担当、セキュリティ担当、ヘルプデスク担当など、それぞれが専門性を活かして業務を遂行します。

  • チームによる問題解決
    複数の視点や専門知識を活用して、チームとして複雑な問題に対処可能です。これにより、より高いレベルのソリューションを提供することが可能になります。

  • 分業による効率化
    役割が分担されているため、業務の効率化が図られ、迅速な対応が可能です。リソースを最大限に活用し、継続的に業務改善を行う体制を構築します。

  • コミュニケーションの重要性
    チーム内や他部署とのコミュニケーションが欠かせません。定期的なミーティングや情報共有のためのツールを活用し、透明性の高いコミュニケーションを促進します。

兼任情シス

  • 多様な業務のバランス
    兼任情シスは、他の業務と情シス業務を並行して担当します。そのため、タイムマネジメントが重要となり、時間の使い方に細心の注意を払う必要があります。

  • 限られたリソースの中での最適化
    情シス業務がメインでないため、いかに効率的にシステムを運用するかが課題です。自動化ツール導入や、外部ベンダーの活用により、日常業務を効率化することも考慮されます。

  • 柔軟性のある業務遂行
    他の業務を理解したうえで情シス業務をこなすため、企業全体の業務プロセスをよく把握していることでしょう。これにより、システム改善の提案ができるなど、広い視野を持つことができます。

  • 優先度の明確化
    兼任業務の特性上、優先順位を明確にしタスクを管理することが重要です。プロジェクト管理ツールを利用して、各タスクの進捗状況を視覚化し、効率的な働き方をすることも重要でしょう。

ひとり情シス

  • 多機能な能力
    ひとり情シスは、システム設計から運用、ITサポートまで、非常に多岐にわたる業務を一人で担います。あらゆる技術的問題に対応しなければならないため、幅広い知識とスキルが求められます。

  • 迅速な意思決定
    すべての判断を一人で行うため、意思決定が迅速でなければいけません。ただし、一人で全責任を負うことになるため、大きなプレッシャーとも隣り合わせです。

  • 孤立への対応
    技術的な相談相手がいないため、孤立を感じやすいです。外部のコミュニティやフォーラムを活用して情報交換し、ネットワークを築くことが非常に重要です。

  • リソース制約
    限られた時間と予算の中で業務を効率的に進める必要があります。他部署との連携や、優先度の高いタスクの重要性を学ぶことで、業務効率化を図ります。

  • 外部活用
    内製が難しい領域については積極的に外部ベンダーやサービスを活用します。これにより、専門性を補完し、質の高いサービスを維持します。

ベンチャー企業ならではの情シス業務とは?

ベンチャー企業の情シスで多いパターンは上記で挙げさせていただいた形態のうち、「兼任情シス」か「ひとり情シス」でしょう。一般的に情シスは人手不足のため、管理部門か開発部門の方が兼任されているか、ひとり情シスになるケースが見受けられます。自社内で完結せず、情シス業務をアウトソースしている場合も最近の傾向として挙げられます。ベンチャー企業における情シス業務は、大企業とは異なる特徴を持つことが多いです。特に、リソースが限られていることが多いため、効率的かつ柔軟な対応が求められます。企業の規模や性質に密接に結びついていますが、以下に、ベンチャー企業における情シス業務の特徴を挙げます。

  • 多機能性
    すなわち、情シス担当者が多数の役割を兼任します。業務効率化のために新しいアプリケーションを選び、導入から展開までを担当し、さらに社員への教育も実施します。例えば、新しいプロジェクト管理ツールを導入し、全社員へ研修を行うことなどがあります。自社のメンバーからは情報システムに関連づけられるすべての事項を情シスの守備範囲として認識されることが多く、PCやサービスアカウントの使い方から管理に始まり、コーポレートサイトの運営や複合機のメンテナンス、配線やケーブル類の手配までを実施します。

  • 迅速な対応
    ベンチャー企業は市場の変化が早く、情シスもそれに追従しなければなりません。新規事業立ち上げの際には、クラウドサービスの導入で迅速に環境を提供し、数日のうちに開発環境を整備することが求められることもあります。特にSaaSの利用を積極的に行うことが多いため、サービスの利用状況やアカウントの可視化などを行い、メンバーが安全にサービス利用できる環境を整備することも重要です。

  • コスト意識
    限られた予算で最大限の効果を発揮するために、フリーソフトやオープンソース活用、サーバーレスアーキテクチャの導入など、コスト効率の高い方法を常に模索します。また、サブスクリプション型のサービスを導入し、初期投資を抑えることも一般的です。

  • 柔軟なプロセス
    新しいアプローチや技術を試すことに躊躇しない文化があり、必要に応じて組織のITプロセスを再構築します。例えば、アジャイル開発手法をシステム構築プロセスに組み込むなど、変化対応力も競争力の一部です。最近では生成AIの台頭が著しく、その活用促進や運用ルールの整備なども競争力の向上において重要です。

  • 外部リソースの積極活用
    人手を十分に拡充できない傾向にあるベンチャー企業では、外部のサービスを活用して業務工数やスキルセットを補完します。PCやスマートフォンなどのIT機器のキッティングを外部ベンダーに委託したり、インフラの全体運用をクラウドに移行し、外部ベンダーにシステム運用を委託することも一般的です。その背景もあり、オンプレミスのサーバーにてシステムの運用を行なっているケースはあまり多くなく、AWSやAzureの利用が積極的に行われている傾向にあります。

最後に

ベンチャー企業環境での活躍は大きなチャレンジでもあり、スキルを活かして企業の成長に貢献する絶好の舞台でもあります。変化が激しく、制約も多い中で、創造的な問題解決能力や柔軟な思考が求められます。適切なツールや外部リソースの活用を通じて、ベンチャー企業の情シスは今後もその重要性と影響力を増していくことでしょう。

その中で兼任情シスやひとり情シスでの形態での情シス業務は、正解のない問いや課題に対して自身で答えを導き出し、全社に対しての環境整備を行なっていきます。その責任とプレッシャーは大きいですが、その分のやりがいも大きいと感じてます。大きな裁量と意思決定権を持ってチャレンジしたい方にはもってこいの業務環境がベンチャー企業のひとり情シスではないでしょうか。

情シスの成功は、ひいては企業全体のさらなる成長と成功を促進すると言っても過言ではないと感じています。

フクロウラボ エンジニアブログ

Discussion

にっしーにっしー

情シスといっても、所属組織の規模や、担当者の人数構成で守備範囲違うので難しいですよね。。
自分も情シスとしてどういった方向性をやりたいか悩みがちなので、振り返るきっかけになりました。ありがとうございます