AWS Certified AI Practitioner を受験しました|所感まとめ
こんにちは、株式会社フクロウラボでバックエンドエンジニアをしている渋谷です。
2024年に新設された「AWS Certified AI Practitioner(AIF-C01)」を先日受験しました。
本記事では、試験の概要や学習方法、実際に受験して感じたポイントなどをまとめています。
これから受験を考えている方や、AIに関心のある方の参考になれば幸いです。
試験の概要
はじめに、AWS Certified AI Practitioner 試験の概要をご紹介します。
この試験は「AWS の AI/ML テクノロジーを理解し活用できるが、必ずしも自ら構築はしない」という個人を主な対象としており、AI/ML 分野に興味を持つ方にとって、最初に取り組むのにちょうど良い試験内容となっています。
受験料は税込16,500円(日本円)で、やや高めの印象はあるものの、内容は本格的で、学びのある試験でした。
項目 | 内容 |
---|---|
カテゴリ | Foundational |
試験時間 | 90 分 |
試験形式 | 65 個の問題 |
料金 | 100 USD(為替レートを含む他の料金情報については 試験の料金 を参照) |
対象受験者 | AWS の AI/ML テクノロジーを使用するソリューションを熟知してはいるが、必ずしも構築するわけではないという個人 |
受験者の役割例 | ビジネスアナリスト、IT サポート、マーケティングプロフェッショナル、製品またはプロジェクトマネージャー、事業部門または IT マネージャー、セールスプロフェッショナル |
受験オプション | Pearson VUE テストセンターまたはオンライン監督付き試験 |
対象言語 | 英語、日本語、韓国語、ポルトガル語(ブラジル)、簡体字中国語 |
参考:AWS Certified AI Practitioner
出題範囲と比率
AWS Certified AI Practitioner 試験は、以下の 5 つのドメインで構成されており、AI/ML の基礎から生成 AI の応用、さらにはセキュリティやガバナンスまで、幅広い知識が問われます。
一見すると難易度はそれほど高くないように思えますが、実際に問題を解いてみると、意外と手こずる問題もあり、油断は禁物です。
参考:AWS Certified AI Practitioner 試験ガイド(公式PDF)
AIとMLの基礎 (20%)
- AI、ML、深層学習、ニューラルネットワーク、NLPなどの基本概念と用語の理解
- 教師あり学習、教師なし学習、強化学習の違い
- 推論の種類(バッチ、リアルタイム)やデータの種類(ラベル付き、非ラベル、構造化、非構造化)の説明
- AI/MLの実用的なユースケースの特定と適切なML手法の選択
- AWSのマネージドAI/MLサービス(Amazon SageMaker、Amazon Transcribe、Amazon Translate、Amazon Comprehend、Amazon Lex、Amazon Pollyなど)の機能理解
生成AIの基礎 (24%)
- トークン、埋め込み、プロンプトエンジニアリング、トランスフォーマー、基盤モデル、マルチモーダルモデル、拡散モデルなどの基本概念
- ユースケース(画像/動画/音声生成、要約、チャットボット、翻訳、コード生成、カスタマーサービスエージェント、検索、レコメンドなど)の理解
- 生成AIの利点(適応性、応答性、シンプルさ)と欠点(幻覚、解釈性、非決定性)の理解
- AWSの生成AIサービス(Amazon Bedrock、Amazon SageMaker JumpStart、PartyRock、Amazon Qなど)の特徴と利点
基盤モデルの応用 (28%)
- 事前トレーニング済みモデルの選定基準(コスト、モダリティ、レイテンシ、マルチリンガル対応、モデルサイズ、カスタマイズ性)の理解
- 推論パラメータ(温度、入力/出力の長さなど)がモデル出力に与える影響
- Retrieval Augmented Generation(RAG)の定義と、ビジネス上の利点の説明
責任あるAIに関するガイドライン (14%)
- バイアス、公平性、透明性、説明可能性など、AI/MLシステムにおける倫理的な観点の理解
- データの多様性の確保、モデルの監視、ユーザーフィードバックの活用など、責任あるAIの実践方法
AIソリューションのセキュリティ、コンプライアンス、ガバナンス (14%)
- AWSにおける責任共有モデルの理解
- IAM(AWS Identity and Access Management)を使ったアクセス制御の考え方
- データガバナンス戦略(ライフサイクル管理、監視、保持など)の説明
- ポリシー作成、定期レビュー、フレームワーク使用、透明性確保、チーム教育といったガバナンス手順の理解
学習期間
今回は、「2週間で仕上げる」と決めて、5月中旬から本格的に学習を始めました。
なんとなく始めるとダラダラ続いてしまいそうだったため、短期集中型のスケジュールを選びました。幸いなことに、ここ2年ほど社内のAI勉強会に参加していたため、教材を1つに絞り、効率的に学習を進めることができました。
学習期間:約2週間
平日:通勤中(往復30分)+ 就寝前(30分〜1時間)
週末:土日のどちらかで3〜4時間
合計学習時間:約20時間
使用した教材
今回は、AWS の Web 問題集を中心に学習を進めました。
繰り返し問題を解くことで、出題傾向や重要ポイントへの理解を深めることができました。
また、社内では以下の書籍の勉強会を行っており、基礎から実践まで知見を得ることができ、非常に役立ちました。
余談ですが、最近では、以下の書籍を使った勉強会を行っています。
試験の予約
受験方法は、Pearson VUE のテストセンターでの受験、またはオンライン監督付き試験のいずれかを選ぶことができます。私は試験の“臨場感”を体感したかったため、テストセンターでの受験を選びました。
受験の申し込みは 試験の24時間前まで に完了しておく必要があるため、早めの予約がおすすめです。直前になると、希望する会場や時間帯が埋まっていることもあるので注意しましょう。
なお、予約サイトの UI がやや独特で、初めての申し込みだと少し戸惑うかもしれません。ちなみに私は24時間の制限に引っかかり、6/1(日)の16時枠で受験しました…。😅
試験当日の流れと感想
日曜の16時という時間帯だったこともあり、かなり空いていました。
受付でも特に待つことなく、スタッフの方々もスムーズに対応してくださいました。
「満点を取るぞ!」という意気込みで試験に臨んだのですが、いきなり出鼻をくじかれました。1問目と2問目の問題が予想以上に難しく、序盤から時間を使ってしまいました。また、問題文は英語ベースで作られているためか、日本語訳にやや不自然な部分もあり、少し戸惑う場面もありました。
最初は「90分もあれば余裕だろう」と思っていたのですが、終わってみれば時間ギリギリで、想像以上に集中力が求められる試験でした。
個人的な難易度の印象は、⭐️⭐️(5段階中)といったところです。
AI や AWS の基本用語に慣れていないと、さらに難しく感じるかもしれません。
結果
無事に合格することができました!
スコアは800点台で合格ラインは十分クリアしましたが、高得点を狙っていたため、少し悔しさも残りました。
これから受験する方へ
まずは、AWS公式の「試験ガイド」を一読することをおすすめします。試験範囲や出題傾向が体系的にまとまっており、全体像を把握するのに役立ちます。
学習の流れとしては、公式の案内通り(意訳)、以下のステップが参考になるかと思います。
- 試験ガイドを確認する
- AWS の AI/ML サービスや基本概念を復習する
- 問題集や模擬試験で反復練習する
- 自身の理解度を見直し、仕上げを行う
AI や AWS の基礎に不安がある方は、ステップ2を丁寧に進めるのがおすすめです。一方で、ある程度の知識がある方は、ステップ3以降に重点を置くと効率的です。
また、オンライン学習コンテンツ「AWS Skill Builder」も活用できるので、ぜひ併せて学習に取り入れていただければ幸いです。
最後に
ここ数年で生成AIの技術やツールは急速に進化しており、AIスキルの重要性は今後さらに高まっていくと感じています。今後も技術動向を注視しながら、学びを深めて業務に活かしていきたいと思います。
次のステップとしては、AWS Certified Machine Learning Engineer – Associate の取得を目標に、引き続き自己研鑽に励んでいきます。
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