AI使ってるのに仕事進んだ気がしない(実際進んでない) => なぜか?
📝 きっかけ
最近色々なAIツールを使って作業進めることが増えたが、なんか思ったより進んでない気がする。
反省と今後の取り組み方の整理も兼ねて、この違和感について振り返ってみた
💡 ざっくり要点
- AIツールは加速装置であり、マルチタスクが可能になったり、コンテキストスイッチの負荷が低くなったりするわけではない => 「マルチタスクは生産性最低」は変わらない
- 人月の神話は、AIツールにも当てはまる(「セットアップ & 学習コスト」、「コミュニケーション & 調整コスト」、「分割できないタスク問題」)
- AIツールは人間側の戦略・集中・意思決定が弱いと、AIはむしろ“散らかし役”になる。 => 良いアウトプットを出すには、人間側の深い理解が必要
- AIツールで、アジャイルやリーン思考のような「小さく素早く回す」アプローチを加速させるのが良さそう
他にもありそうだが、一旦切り上げる
陥りがちな部分あるから定期的に見直したいな
以下メモ
※引用部分は本かChatGPTなどに雑に質問したもの(深くチェックできてないので後で探しておきたい)
思ってること
- Cursor使ってコーディング速度上がった
- Devin使って細かいタスク片付けられるようになった
- 実際コミット数とか見れば進んでるのかもしれないが、全体で見たときに体感進んでない
- => AI使って浮いた分の時間で余計なことしてるかも(科学技術進歩の話と同じか)
🔧 1. 効率化=余裕 ではなかった
- 科学や技術の発展によって 同じ作業をより早く、より少ない手間でできる ようになりました。
- でもその「浮いた時間」は 休むためには使われず、より多くのことをこなすために使われてしまったんです。
⏱「1時間で終わってた仕事が30分で終わるようになった → じゃあ、1時間で2倍やろう!」
📈 2. 資本主義の構造的な圧力
- 生産性が上がると「もっと成果を出せる」=「もっと利益を出せる」ので、競争に勝つために余計に働く流れが生まれます。
- 企業も個人も「暇だと評価が下がる」「成果が出せないと置いて行かれる」と感じやすくなっています。
🧠 社会全体が「暇より成果」を重視する方向にどんどん動いている。
💼 3. やることが増えた
メール、チャット、Zoom、SNS、スマホ…
科学技術で便利になった分、「新しい仕事」や「新しい期待」も爆増しました。
📱 10通メールを返すのが「普通」になり、Slackで即レスを求められ、SNSでも存在感が求められる。
🧠 4. 心理的負荷の増加
- 「できることが増えると、やるべきことも増える」。
- 自分で「やらなきゃ」と思い込み、無意識に仕事やタスクを増やしてしまうケースも多いです。
✅ Todoリストが技術で可視化された結果、余計に「やれてない感」が強調される現象。
🧘♂️ 5. 「効率より余白」を重視しない文化
- 科学が進んでも、「空白の時間を大事にしよう」という教育・文化が追いついてない。
- 効率を追うほど、心の余裕や創造性が削られていくジレンマ。
AIと忙しさの関係
🤖 AIと忙しさの関係:なぜ“楽”にならないのか?
1. AIは“余裕”ではなく“期待値”を増やす
- AIによって効率が爆上がり ⇒ でも「じゃあもっとできるよね?」と期待値が上がる。
- 結果、「前より楽になった」はずなのに、求められる成果やスピードはさらに加速。
例:ChatGPTで1時間かかってた資料が10分で作れる
→ 「じゃあ今日中に3案出せるよね?」
2. 人間の判断・確認・調整は“減らない”
- AIは「提案」はしてくれるけど、最終的な判断・責任は人間。
- 結局、確認・修正・調整などの“認知的負荷”はむしろ増えてる。
🤯 「AIの出力が完璧じゃないから、確認作業に神経を使う」
3. “誰でも使える”ようになって競争が激化
- 誰でもAIを使える時代 → 差がつかなくなる → また頑張らないといけない
- AIでの差別化には「より創造的に、より本質的に使う力」が求められる
🔄 「AIのおかげで早くなった → 周りも早くなった → 差が縮んだ → また自分も頑張る」
4. “無限に使える補助輪”があると、止まれなくなる
- 「AI使えば、まだ改善できる」「まだ時間短縮できる」と思って、完璧を求めて走り続けてしまう。
- 休むタイミングや「もう十分」の感覚がわからなくなる。
🎯 終わりのない最適化沼にハマる
5. 「AIで楽になる」≠「人間が楽する」
- 楽になるのは“プロセス”であって、“人間”ではない。
- 結果として、人間はその分「もっと本質的なことを」やれと言われる。
- でも「本質的なこと」ってしんどいんですよね、本当は。
AIを使って一つ一つにかける時間が短くなった分色々なプロジェクトを並行して進めることが増えた気がする
けどやっぱりよくないな
- マルチタスクになってる
- コンテキストスイッチのコストが高い
コンテキストスイッチの負荷に関連する理論・法則
① コンテキストスイッチング・コスト
- マルチタスクを行うと、作業を切り替えるたびに脳が前後の状態を再構築するコストがかかるという考え方。
- 研究では、切り替え1回あたり平均で数分〜10分の損失とも言われています(特に深い思考系の作業では顕著)。
② アインシュテルンの法則(Einstein's Rule)
これは公式の名称というより言い回しレベルですが:
「創造的な作業には、深く、長く集中する時間が必要であり、マルチタスクとは相容れない」
これも、AIのようなツールに囲まれて「常に分断される」今の働き方に対しての警鐘といえます。
③ 注意残余理論(Attention Residue Theory)
- タスクAからタスクBに移っても、意識の一部はまだAに残っていて、完全にBに集中できないという心理学的理論。
- スタンフォード大学などの研究で提唱されていて、**「マルチタスクは生産性を下げる」**というエビデンスの元になっています。
④ パーキンソンの法則
「仕事は、与えられた時間をすべて使い切るまで膨張する」
これも関連します。AIで加速できる前提なのに、切り替えや「とりあえず手を出す」の繰り返しで、かえって時間が膨らんでしまう現象が見られます。
💡 補足:AI活用時代に意識したいこと
- 「一つの目的に対してAIを一気に使う」ほうが効果的
- 「浅い複数AI活用」より「深い一つの思考+補助的AI活用」が結果的に効率的
- マルチタスクではなく**「マルチプロジェクトをシングルタスクで捌く」**意識が重要
世界一流エンジニアの思考法でも共通するところある
- ⭕️頭が良くても「理解」には時間がかかる
- ⭕️「Be Lazy」というマインドセット
- ⭕️いかにやることを減らすか?
- ⭕️マルチタスクは生産性が最低なのでやらない
あと読んだことないけど「人月の神話」も共通するところありそう
- 「遅れているソフトウェアプロジェクトに人を追加すると、さらに遅れる。」
- 「人月は神話である」(同じ作業を分担して早く終わるとは限らない)
- 「9人の女性を集めても1ヶ月で赤ちゃんは産めない」(本質的に分割不可能な仕事もある)
これはフレデリック・ブルックスの名著『人月の神話(The Mythical Man-Month)』で提唱された法則で、以下のような理由から成り立っています:
- 新しいメンバーの 教育コスト が必要(既存メンバーの手が取られる)
- コミュニケーションの複雑性 が増す(人数が増えるほど調整コストも増加)
- タスクの性質が 並列化しづらい(全員で同時にできるわけではない)
🤖 AIを導入しても“必ずしも”プロジェクトが早く終わらない理由まとめ
観点 AI導入で発生する新たなコスト・リスク ブルックスの法則との対応関係 セットアップ & 学習コスト – モデル選定・API契約・権限設定など環境構築に時間が掛かる– メンバーがプロンプト設計やワークフローを習得するまで既存タスクが止まる 新人教育コスト コミュニケーション & 調整コスト – 人⇔AI、AI⇔AI のやり取りが増え、成果物の検証・フィードバックループが必須– ガバナンス(セキュリティ・機密情報流出防止)の確認フローが追加 人数増による調整コスト 分割できないタスク問題 – ビジネス要件の解釈や戦略策定は依然として人間が担当– AIが得意/不得意な部分を切り分ける作業自体が“直列”になる 並列化しづらいタスク 品質管理 & リスク – LLMの幻覚や出力のばらつきに対するレビュー工程が増加– 規制・ライセンス(著作権、個人情報)チェックが追加 手戻りによるスケジュール遅延 統合テスト & メンテナンス – 既存システムやデータ資産とのインテグレーションに不確実性– モデル更新・再学習サイクルの運用コスト 追加リソースで複雑性が上がる
🔍 仮説整理:なぜ進まないのか?
① AIが生産性を上げるための「準備」ができていない
- AIに投げるためのプロンプト整理や意図の明確化に時間を取られる
- アウトプットの検証や修正に時間がかかる
- 結果、**「AIが生成したものに時間を使わされている」**状態になる
② 同時並行で走らせすぎてコンテキストスイッチが多発
- 複数タスクをAIで回しても、最終的な統合や意思決定は自分
- 上記により注意が分散 → 注意残余理論が発動 → 脳の処理効率が低下
- 「進めた」というより「触れた」だけになり、実態が進んでいない
③ 「AIを使うこと」自体が目的化してしまう
- 生産性アップの手段だったはずが、「AI使ってる感」による一種の安心感へ
- でも成果=アウトプットに現れないので進んでないと感じる
④ 思考の深さが浅くなる
- 短時間で答えを得られるが、本質的な理解や再利用可能な知識として定着していない
- 「自分の頭のメモリにない」ため、タスク全体の一貫性が取れない
⑤ ToDoが増えていく感覚がある
- AIにアイデア出しさせた結果、やるべきこと・検討事項がむしろ増える
- でも自分のキャパは変わらないので、むしろ進んでない感が強くなる
⑥ 目的が不明確なまま動いている
- そもそも「何を達成したいか」が曖昧だと、AIが返してくる答えがズレる
- AIの出力に軸がないので、判断や選択ができず前に進めない
✅ 結論として:
AIは加速装置であって、方向性・優先順位・解釈を担うのは人間。
人間側の 戦略・集中・意思決定が弱いと、AIはむしろ“散らかし役”になる。
確かに散らかし役になってる気がするw
AIは加速装置 => 3ヶ月で何かを3つ進めるのではなく1ヶ月で1つを3回繰り返す方が良さそう
これ書いててアジャイルの考え方と同じ気がした
「AIは加速装置」だからこそ、小さく始めて、素早く回す方が圧倒的に相性がいい。
これはまさに アジャイル開発の核心ともいえる考え方です。
🔄 AI × アジャイル思考:共通点とシナジー整理
✅ 1. 「計画より反復(Iterative)」
- アジャイルでは完璧な計画よりも、小さく作って早くフィードバックを得ることを重視
- → AI活用も、「いきなり完璧なプロンプト」より短いサイクルで出力を試し、修正する方が強い
✅ 2. 「大きなゴールを小さく区切る(Small Batches)」
- アジャイルでは「3ヶ月で1本」より「1ヶ月で1つ、3回回す」が価値が出る
- → AIでも、「全体を丸投げ」より「要素を分解して、1つずつ完成させていく」方が精度もスピードも出る
✅ 3. 「早期に価値を届ける」
- アジャイルでは「早い段階で動くプロダクトや成果物を出す」ことを重視
- → AIでアウトプットが早く手に入る今だからこそ、小さく出して試す方が価値が出しやすい
✅ 4. 「変化に強い」
- アジャイルは計画通りより変化に適応する柔軟性を重要視
- → AIも状況が変わっても「違う方向を即試せる」強みがある。これを活かすには小回りが効く進め方が前提
✅ 5. 「WIP(Work In Progress)を減らす」
- アジャイルのカンバン方式では「同時に進める作業数を減らす=集中して終わらせる」ことが推奨される
- → これがまさに「マルチタスクは進まない」のAI版:一度にAIを何本も使うより、一つに集中した方が価値が高い
✅ 6. 「リリース・振り返り・改善のサイクル(Inspect & Adapt)」
- スプリントのたびにリリース・ふりかえり・改善(レトロスペクティブ)を繰り返す
- → AI活用も「生成→使ってみる→修正→再生成」という改善ループを意識できるかがカギ
他に使えそうな理論や法則
🚀 より良いアウトプットを「素早く」出すための理論・法則
1. リーン思考(Lean Thinking)
最小の資源で最大の価値を生む
- ❗️無駄(ムダ)を徹底的に削る:「不要な検討・準備・完璧主義」
- ✅ MVP(Minimum Viable Product) という形で「まず出して学ぶ」
- → AI活用にも超有効:「完璧な回答」より「使える仮アウトプット」を素早く回す
2. PDCAサイクル
Plan → Do → Check → Act
- ただやるのではなく、小さな検証→学び→改善を高速で回す
- AIにやらせて終わりじゃなく、「何が良くなかった?どう直す?」まで含める
- → AI × 自分の思考で“再学習ループ”を回せる
3. OODAループ(ウーダ・ループ)
Observe(観察)→ Orient(状況判断)→ Decide(意思決定)→ Act(実行)
- 米軍発祥の「高速意思決定」理論
- AIで「データ」「仮説」「選択肢」は爆速に手に入る
- → 観察と意思決定を“すばやく”繰り返せる体制を整えるのが肝
4. サンク・コストバイアス回避
「ここまでやったからもったいない」は悪魔の囁き
- 素早く動くには「失敗したプロンプト・方向性を潔く捨てる」ことが大事
- 過去の労力に引きずられず、「今最も価値あるものは何か」に集中する
5. パレートの法則(80:20の法則)
成果の80%は20%の行動から生まれる
- AIが返してくる情報のうち、「本当に使える20%」に集中する
- 例:長文出力→最重要の数行だけピックアップ→残りは捨てて進む
6. ファーストドラフト原則(First Draft Principle)
「まず書く」ことが創造の第一歩である
- 書き出さないと、何がわかってないかも見えてこない
- AIに草案を投げさせることで、思考の可視化・早期の壁発見につながる
7. 制約理論(TOC: Theory of Constraints)
進捗は最も遅いプロセスで決まる
- 思考や作業における「ボトルネック(決まらない・調べ物が長い)」を意識して潰す
- → AIに「詰まるポイント」をあらかじめ分担させると効果的
🔧 応用Tips(実践に落とすなら)
- AIを「意思決定の補助」として使うか、「繰り返し作業の代行」に使うかを毎回明確にする
- 「アウトプットの精度より、判断材料の速さ」で評価する癖をつける
- 5分思考→AIに投げる→3分で評価→再指示、のサイクルを習慣にする
まとめ
1. 生産性を“人・時間”だけで語れないことを示す法則
法則 | 本質 | キーになる示唆 |
---|---|---|
ブルックスの法則(Brooks’s Law) | 遅れているプロジェクトに人を足すとさらに遅れる | 教育コスト・コミュニケーション複雑化・並列化しづらいタスク |
パーキンソンの法則 | 仕事は与えられた時間をいっぱいに使って膨張する | “時間固定で価値最大化”を意識する |
TOC(制約理論) | 全体の進捗は最も遅い工程で決まる | ボトルネックを特定し、そこに資源を集中 |
2. 集中力・マルチタスク・コンテキストスイッチ関連理論
理論・概念 | 要点 | 影響 |
---|---|---|
コンテキストスイッチング・コスト | タスク切り替え毎に脳が状態を再構築 | 切り替え 1 回につき数分〜10 分の損失 |
注意残余理論(Attention Residue) | 別タスクへ移っても意識が前タスクに残る | 集中力低下・誤り増加 |
“マルチタスク = 生産性低下”実証値 | ①生産性-40 % ②所要時間+50 % ③ミス+50 % | “一度に一つ”を徹底すべき根拠 |
サンクコスト・バイアス回避 | かけた労力でものを判断しない | 失敗した方向性を素早く捨てる |
3. 『世界一流エンジニアの思考法』に学ぶマインドセット
-
理解には時間がかかる
- 基礎・本質の理解を“頭のメモリ”に載せるほうが長期的に高速
-
“Be Lazy” – 最小の努力で最大の価値を生む
- 過剰準備を捨て、アウトプット&インパクト基準で優先順位を決定
- まず最重要の 1 つにフォーカスし、残りは切り捨てる
-
やることを減らす工夫
- 機能の 40 % しか使われない事実を踏まえ、最小スコープで始める
- 時間を固定し、その枠内で価値を最大化する
-
マルチタスク禁止
- 差し込みを許さず、待ちが発生したら別タスクへ完全に切り替える
- 中断時は再開メモを残して“認知的負債”を最小化
4. AI 活用と相性が良いアジャイル/リーン系フレームワーク
フレームワーク | AI 活用での具体的応用 |
---|---|
アジャイル開発(スプリント・カンバン) | “3 か月で 3 つ”より“1 か月で 1 つ ×3 回”――小さく作り、早くフィードバック |
リーン思考 & MVP | 完璧なプロンプトより“使える仮アウトプット”を早く出して学習 |
PDCA / OODA | 生成→検証→学習→改善のループを短時間で高速回転 |
パレートの法則(80/20) | AI 出力の“価値ある 20 %”だけ拾い、残りは捨てて進む |
“First Draft Principle” | まず荒いドラフトを AI に書かせ、壁を早期に可視化 |
5. 実践チェックリスト(AI × 高速アウトプット)
- 作業を小さく分解し、WIP を絞る
- 時間ブロック(例 25 分)内で “生成→判断” を完結
- ボトルネックは AI に代行 or 先に潰す
- アウトプット基準で優先順位を再評価し続ける
- 不要になったタスク・プロンプトは即座にアーカイブ
まとめ
- 人を増やすより“流れ”を細く早く(ブルックスの法則 × アジャイル)
- 深い理解 × Be Lazy で“やること”を最小化
- 一度に 1 タスクでコンテキストスイッチの負債を排除
- AI は加速装置。小さく走らせて高速 PDCA/OODA を回すと真価を発揮する