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ワークテーブル競合の悩み…それOracle一時表で解決できます

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ごあいさつ

こんにちは、「エイジ@フジワーランド」です
フリーでパッケージシステムのOEM供給やってます、最近暇なので時給でSESやってます
暇と言いながらSESとは別に、受託でWindows搭載ハンディターミナル向アプリを作ることになりました…ソフトキーボードがなかなか言うこと聞いてくれないですがなにか勉強になったことがあれば記事のネタにしてみたいです

さて今回は一時表の話です

一時表(Global Temporary Table: GTT)とは

登録処理や集計処理でワークテーブルを使用することが多いかと思います。しかし、複数のセッションが同時に操作する場合、データに識別子を付けるなどの工夫が必要となりその結果、複雑さが増してバグの原因になることも少なくありません

そこでおすすめしたいのが、一時表の活用です

一時表は同じテーブルであっても、セッションまたはトランザクション単位でデータを分離できる特殊なテーブルです。他のセッションやトランザクションからは独立してデータを扱えるため競合を完全に回避できます。また、使用後のデータは自動的に削除されるため、メンテナンスの手間も削減されます

一時表を導入することで、以下のような利点が得られます

  • 同時実行環境での競合リスクを軽減
  • テストやデバッグの工数を削減
  • データ操作の安全性と簡便性を向上

これまでのワークテーブル運用に課題を感じている方は、ぜひ 一時表を検討してみてはいかがでしょうか

一時表の作成方法

一時表は通常のテーブルと同様に CREATE TABLE 文で作成しますが、GLOBAL TEMPORARY 句を指定します。

基本的な構文

CREATE GLOBAL TEMPORARY TABLE テーブル名 (
    列名 データ型,
    ...
) ON COMMIT PRESERVE ROWS;

ON COMMIT オプション

  1. ON COMMIT DELETE ROWS

    • トランザクション終了時にデータが削除されます
    • 一時的なバッチ処理やトランザクション内でのみ有効なデータに適しています
  2. ON COMMIT PRESERVE ROWS

    • セッション終了時までデータを保持します
    • 複数のトランザクションにまたがるデータ処理で便利です

作成例

CREATE GLOBAL TEMPORARY TABLE work_table (
    id NUMBER,
    name VARCHAR2(100),
    created_at DATE
) ON COMMIT PRESERVE ROWS;

一時表の使い方

1. 削除は 'TRUNCATE TABLE'で行う

一時表は自分専用のテーブルなので、初期化の際に他のセッションに気を使う必要はありません。データを削除する場合は、TRUNCATE TABLE コマンドを使って一括でクリアしてしまいましょう。これにより、ちまちまとした削除操作よりもシンプルかつ効率的に処理を進められます

2. 終了時は放置

一時表は ON COMMIT オプションにより、コミット時またはセッション終了時にデータが自動的に破棄されます。そのため、通常のテーブルと違い明示的にデータ削除の後処理をする必要がありません。この特徴により、シンプルな運用が可能になります

3. 単体開発当初は普通のテーブルにする

一時表を使ったアプリケーションの処理を SQLツールで確認するとデータが見つからないことがあります。これは一時表がセッションごとにデータを分離する特性のためです。この挙動で困ることを避けるため、単体開発の初期段階では一時的に通常のテーブルを利用するとよいでしょう。これでデバッグや検証がスムーズに進められます

一時表 の活用しどころ

1. バッチ処理

バッチ処理では、一時表 を使うことで大量の一時データを効率的に扱うことができます。例えば、顧客の取引データを一時的に 一時表 に保存し、データの検証や重複チェック、さらに条件に基づいた集計処理を行う、といった運用が可能です。こうした作業を 一時表 上で実行することで、メインテーブルのデータを直接操作するリスクを回避でき、安全性が向上します

2. ETL 処理

ETL(Extract, Transform, Load)とは、データを取り出して(Extract)、加工・変換し(Transform)、最終的に保存する(Load)処理のことです。この一連の作業で、一時表は一時的なデータ置き場(ステージングエリア)として役立ちます。具体的には、

  • データソースから抽出した生データを 一時表 に格納
  • データを必要な形式や構造に加工・変換
  • 加工後のデータを本番用テーブルに移動

これにより、ETL 処理をシンプルかつ効率的に進められます

3. 一時的な集計

複雑なクエリや一時的な集計処理で中間結果を 一時表に保存することで、クエリの可読性やパフォーマンスが向上します

一時表のメリット

  1. 競合回避
    • セッション独立性により、他のセッションとのデータ競合が起きません
  2. メモリ効率
    • 必要な間だけデータを保持し、不要になれば自動的にクリアされます
  3. REDOログ削減
    • 通常のテーブルよりも REDOログの負荷が少なく、高速な挿入処理が可能です

一時表 のデメリットと注意点

  1. UNDOセグメントの利用
    • 一時表の操作でも UNDO セグメントが消費されます。大量データの場合、UNDO セグメント不足に注意が必要です
  2. インデックスの管理
    • 一時表にインデックスを作成する場合、セッションごとにインデックスが再生成されるため、パフォーマンスに影響することがあります
  3. デバッグの難しさ
    • 一時表はセッション単位でデータが分離されるため、他のセッションから内容を確認できません

パフォーマンス最適化のヒント

  1. TEMP表領域の容量を確認
    • 一時表のデータは TEMP 表領域を消費するため、十分な容量を確保してください
  2. 必要最小限のインデックスを使用
    • 必要以上のインデックスは作成せず、処理後にインデックスを削除する設計も検討
  3. トランザクション管理
    • ON COMMIT DELETE ROWSON COMMIT PRESERVE ROWS を適切に選択し、トランザクション終了時の挙動を明確にする

まとめ

Oracleの一時表…使えそうでしょうか?
よければこの記事を参考にして一時表を積極的に活用してみてください
みなさんの作業効率が少しでもあがることを願います

最後まで読んできただきありがとうございました

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