Shopify Editions 2024 Summerまとめ
はじめに
FreeStandard株式会社でShopifyストア構築を行っています、相澤です。
今回のShopify Editionsでは、今のうちに確認しておくべき重要機能や、今からも使えるお役立ち機能がありますので、私が個人的に注目している機能をいくつかご紹介します。
この記事がこれからのShopify構築の参考になりましたら幸いです。
Shopify Editionsとは
Shopify Editionsとは冬と夏の年に2回、過去6ヶ月間にリリースした情報をまとめたものになります。
今回のShopify Summer ‘24 Edition では150以上の機能が更新されております。
過去のShopify Editions一覧はこちら
アップデート内容ピックアップ
ついにShopifyにストアクレジット機能が実装
私が個人的に一番ワクワクした機能はこのストアクレジット機能の導入です。
今まで有料アプリで対応していたポイント還元などがこの機能で代用できるんじゃないかと考えてます。
概要
そもそもストアクレジット機能とは、「そのサイトでのみ使えるポイントのようなもの」です。GoogleやAppleでもストアクレジットが導入されています。
例えばお客様に特典を付与したい時に、従来のShopifyですとギフトカードやクーポン、キャッシュバックなどが考えられますが、どうにも「何かを渡している感」がなく、ポイントを付与しようにも、ポイントアプリの月額費はそこまで安いものではなく、手を出しづらいのが実情でした。
今回のストアクレジット機能が本格稼働することで、
- ストア内で使えるキャッシュを渡すことでリピート促進
- (おそらく)月額費用がかからないので小規模なストアでも利用ができる
- 今後ワークフローと連動してクレジット付与の自動化
などが期待できます。
実際の使い方
(まだ開発者プレビューでのみ確認可能ですのでご注意ください)
設定
ダッシュボードの顧客管理上にストアクレジットを管理するセクションが追加されていますね!
現状は手動付与ですが、金額と、失効期限の設定が可能です(すげぇ)
付与が完了すると、お客様のマイページ上にクレジットが表示されます(新しいお客様アカウント上のみ。従来のものでは表示されません)
決済
ストアクレジットの残高が合計金額より多ければ決済手段の設定も必要なくクレジットのみで決済を完了できます。
もし合計金額が上回っていたときは通常通りの決済方法で差額を補填する形ですので、既存の決済方法に影響を与えていないところもGoodだなと思います。
※クレジットの部分利用とかも今後アップデートされるのか、期待しております。
機能を使う上での注意点
従来のお客様アカウントでは利用できない
これは結構クリティカルかもしれないですが、現状は従来のお客様アカウントではマイページ上でのクレジット表記や、決済画面でストアクレジットを選択できない状態です。
おそらく新しいお客様アカウントへの設定変更が必要になると思いますので、これを機に設定を移行していただければと思います。
※既存のお客様情報や既存の何かが消えたり変わることはないのでご安心いただければと思います。また、設定はいつでも従来のものに戻せるっぽいです。詳しくは下記を参照ください。
絞り込みアプリがさらに見やすく
概要
従来絞り込みアプリにはテキストでしか表現ができなかったため、色やモデルの違いを文字で表現してきました。
今回のアップデートによって、絞り込みアプリの絞り込み項目に画像を追加することができるようになりました。
Before
After
かなり視覚的な絞り込みができるようになったため、ユーザーエクスペリエンスも向上するはずです。
設定方法
設定には商品(もしくはバリエーション)にメタフィールドを設定+各メタフィールドに紐付けるメタオブジェクトの設定が必要です。
-
メタオブジェクトを作成(例:商品の種類についてのメタオブジェクトを作成)
→絞り込み時に出したいファイルと、その際の表示名を設定できるようにメタオブジェクトを設定します -
商品(もしくはバリエーション)にメタフィールドを追加
→メタフィールドには先ほど設定したメタオブジェクトが紐づけられるようにしておきます -
各商品(もしくは各バリエーション)に設定したメタオブジェクトのエントリーを紐づける
-
絞り込みアプリを設定する
→商品メタフィールドを設定していればサジェストに表示されますので、そちらを選択する
オプションを選択→画像を表示することができるようになりましたので、こちらにチェックを入れると、絞り込み時に画像が表示されるようになります。
詳しくはこちらをご確認ください。
配送分割で同梱設定が簡単に
概要
商品によって配送を分割することができる配送分割機能も実装されました!この機能がどこで役に立つのかについて紹介をいたします。
例えばストア内に予約注文商品や別々のロケーションにある商品があった場合、通常商品と同じカートで決済をすると標準機能では全部が同じ配送日として扱われてしまっておりました。
今回の配送分割機能の実装により、商品に応じた配送の分割が可能になり、通常商品は通常配送を、予約注文や発送タイミングがズレる商品には別の配送プランを適用させることができるようになり、外部アプリを使用せずに配送分割を運用することができるようになります!
詳しい機能内容や注意事項は下記をご覧ください
※現在はアーリーアクセス版のため一部ストアでのみ機能の確認が可能です。
Shopify Marketsアップデート
概要
Shopify Marketsのアップデートも行われたことによって、越境販売の利便性も向上が見込めます。
アップデート①:関税表示対応
今までの越境販売では、ユーザーは決済をするまで商品代金以外の費用(消費税、関税など)がわからないUIであったので、実際に決済をするときに金額が変わることで離脱してしまうケースがありました。
今回のアップデートでは、最初から関税などの合計金額が表示されるUIに変更されたことにより、ユーザーが早い段階で総額を知ることができるようになりました!これによりユーザーにはこれ以上の追加金額がかからないという安心感を与えることができ、離脱率防止、コンバージョン率UPが期待できます。
アップデート②:国や地域によって禁止されている商品の販売を自動制御
これまでは越境販売をする際に、「この地域で販売できない」という国ごとのルールを考慮する必要がありました。
そのため設定や準備に時間がかかったり、そもそも越境販売を行うかどうかを検討してしまっていた方々も多数いたかと思います。
今回の機能では、Shopifyにて自動で制御を行うことで、今までの準備時間を大幅に削減して越境販売することが可能になりました。
実際にどこまでの販売ルールを理解して制御してくれるのかは今後確認が必要そうですが、これでより一層Shopifyでの越境販売がしやすくなると思います。
(開発者向け)Style Settingsによってストア構築の幅が広がる
概要
開発者向けではありますが、今回のアップデートでは新たにStyle Settingsという機能が導入されました。この機能によって、ShopifyのBlocksがより拡張性を増していくと思っています。
開発者であればレイアウトの変わりようと階層に違和感を感じるかと思います。Style Settingsの導入によって変わるところは大きく2つです。
- SpacingやDisplay設定がより直感的なUIになる
- ただ数値を設定するのではなく、より視覚的にわかりやすいUIになる
- ブロック要素をグルーピングできるようになり、ブロックによって異なるコンテンツを出力できる←マジか
- ブロックをまとめる「Group」という要素が追加されたことで、同じブロックグループでも表示するコンテンツを別々にすることが可能になる
- ブロックをまとめる「Group」という要素が追加されたことで、同じブロックグループでも表示するコンテンツを別々にすることが可能になる
コードを確認して一番驚いたのは従来とは異なるテーマフォルダ構造です。今までなかった「/blocks」フォルダが導入されており、Style Settingsを実装するブロックセクションを作成する仕様になっておりました。
こちらの本格稼働によって様々な構築方法が可能になるため、ストア構築そのものが大きく変わるのではないかとワクワクしています。
現在はGitHub上にある限定テーマでのみ確認ができるため、まだまだわからないことも多い機能ではありますが、最新情報がありましたら記事化して共有できればと思います。
詳しい情報は下記記事をご覧ください。
(開発者向け)Hydrogenをビジュアルエディタで編集できるツールUtopiaが登場
概要
最後にHydrogen周りのアップデートについてです。
HydrogenといえばShopifyをReactで実装するというイメージだったので、コーディングでのみストア構築ができるものという印象でしたが、今回ビジュアルエディタツールUtopiaで編集が可能になったことで、ShopifyのテーマカスタマイズのようなUIでHydrogenを触ることができるようになっております。
Utopiaの立ち上げについても「Utopiaにサインアップ→Git連携→プロジェクト新規作成」の3ステップで開発が可能なので、誰でもHydrogen構築ができるようになるかもしれません。
詳しいUtopiaの使い方やレビューは今後触って検証をしようと思います。
Utopiaはこちらからご覧ください。
まとめ
今回はShopify Editionについての記事を書かせていただきましたが、Shopify Editionsは毎回心踊るアップデートが多く、毎回ワクワクしながら内容を確認しています。
今後もアップデート内容を追って行ったり、今回ご紹介した機能の一つ一つを深掘りして実際の使用ケースをご紹介できればと思いますので、ぜひお待ちいただければと思います。
最後までご覧いただきありがとうございました。
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