2025年以降のFlutterの将来性について予想してみる
2024年はFlutter界隈にも色々な出来事がありました。GoogleのFlutterチームのレイオフ、それに伴って登場したFlutterをフォークしたFlockというプロジェクトなどなど。
また、私の活動としてましては、2020年4月から行なっているFlutter大学の運営を引き続き行いつつ、FlutterNinjas Tokyoという新しい国際イベントを開催することができました。
Flutter大学やFlutterNinjasを通して日本のFlutter界隈に多少の影響を与えている自負はありますが、とはいえトレンドは全くコントロールできませんし、Flutterのトレンドには左右される立場に身を置いています。今回は、そんな立場でFlutterの将来性をどのように考えているか、個人的な見解を記事にしたいと思います。
ReactNative vs Flutter
まずは、Flutterにとってクロスプラットフォーム市場で最大のライバルであるReact Nativeについてです。
僕はGraffityというARスタートアップにいるときに、React Nativeを少し触っていた時期があります(2017~2018年)。最初アプリがReact Nativeで作られていたのです。当時、React Nativeのビルド周りのバグにはかなり苦労し、正直その時ReactNativeのことは嫌いになりました。「やっぱりクロスプラットフォームはダメだ、ネイティブが最高だ」って感じです。その後2018年ごろからFlutterを触り始め、ネイティブエンジニアの私たちにとっての使いやすさ、そしてビルド周りもReact Nativeよりもスムーズでバグってもすぐにアップデートで直ってる様子を見てFlutterが大好きになったという経緯があります。
しかし、最近実はReact Nativeが良くなってきているという話をよく聞きます。多くのエンジニアがこれを語っていることから、これは事実でしょう。
ReactNativeとFlutterはiOS/Androidが同時に作れるクロスプラットフォームの2大巨頭なので、よく対立構造で語られます。なので、X(Twitter)ではReactNative派とFlutter派に分かれてバトってる方もいるかもですが、ReactNativeが使いやすくなったのは良いニュースです。そもそも僕は、アプリ開発はもっともっと簡単になればいいと思ってる派なので、ちゃんと競ってどっちも簡単になり、パフォーマンスも上昇してくれと思います。
日本では、2020年-2023年はFlutterを新規採用する企業が多かったのではないかと思います。しかし、今後、またReactNativeの採用事例も盛り返してくるかなとは思います。
で、結局パフォーマンスや開発効率に関してはネイティブもReactNativeもFlutterも差がなくなってきていますので、あとはエンジニアの好みの問題になってくると思います。やっぱりコーディング体験はそれぞれ違いますし、エンジニアのバックグラウンドによって好みは別れるでしょう。
結論としては、2025年に関しては、どれかが一強になることはなく、いい感じにバラけてくると予想します。
生成AI
次に生成AIも考慮して考えてみたいと思います。
生成AIは、先ほどの話を覆すゲームチェンジャーです。すでに我々はAIが搭載されているIDEのCusorを使ったり、CopilotやGPTやClaude、Geminiを使ったりして、コードを書くのを手伝ってもらっています。人間が直接書くコードの量は、どんどん減っていってるのは間違い無いでしょう。
こうなってきた時に、細かい文法とか書き心地とかは割とどうでもよくて、「生成AIにコードを書かせる前提で考えた時にどのプログラミング言語やフレームワークが使いやすいか、早く終わるか」という議論になってくると思います。
FlutterはGoogleが作っていて、Firebase、Geminiと組み合わせてAIがアプリのコードをほとんど書くことに都合が良い条件が揃っているので、まだFlutterには期待はできるかなと思います。FlutterFlowにも頑張って欲しいです。
また、これからは生成AIを用いてコードを書いていくので、フレームワークの細かい知識に関してはどんどん要らなくなると予想しています。なので、Flutterそのものに関する勉強やReactNativeそのものに関する勉強には時間をかけすぎずに、生成AIと合わせた時に書けるようにしておくというスタンスがいいと思います。もちろん、そういった浅い知識+生成AIの人には出来ないことを追求するためのスペシャリストも残り続けるとは思いますが、多くの人はそうなる必要がないと思います。
結論としては、2025年はFlutterの知識が浅くても生成AIとの合わせ技でFlutterを書ける人の人口が増え、Flutterは盛り上がるかもしれません。しかし、その場合はFlutterを一つのツールとして見るような人が増えているので、Flutterエンジニア界隈が盛り上がる状況とはまた違うのかもしれません。ツールとして見ていれば簡単に乗り換えますし、そんな細かいコードの書き方については気にしないからです。まあ、これはただの予想ですので、今後に要注目ですね。
まとめ
Flutterの将来性に対する考えを書いてみました。
Flutter大学を運営していますが、ポジショントーク的に嘘でも「Flutterがいい!」と叫び続けるつもりはありません。そもそもFlutter大学は、僕がFlutterエンジニアを2019年に始めて、その時にFlutterの流行り始めを感じ、日本にFlutterのコンテンツが少なかったから始めた活動です。世の中の流れに合わせて変化していければと思っています。
現に、Flutter大学の人気コンテンツである共同開発や個人開発発表会は、Flutterの枠を超えて、どうやってアプリを流行らせるか、FirebaseやSupabaseをどう使うか、生成AIをどう使うか、などアプリケーション作り全般を議論する場となっています。ReactNativeについてキャッチアップするSlackチャンネルさえあります。「Flutter大学」というネーミングが将来的には変わるかもしれませんね。。!
以上です。この場を借りて、いつもFlutter大学を盛り上げてくれる皆さんに感謝です。もうすぐFlutter大学は5周年になります。私の人生を豊かにしてくれている存在です。ありがとうございます!
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