Dify入門:AI開発を加速するオープンソースプラットフォームの特徴
1. はじめに
こんにちは。プロジェクトマネージャーの神谷です。
最近、生成AIを使ったサービスやプロダクトが本当に増えてきましたよね。
ChatGPTを中心にどんどん進化していく中で、「Dify」というオープンソースのAIプラットフォームがじわじわと注目を集めています。
「Difyって何?」「ChatGPTとどう違うの?」なんて疑問を持っている方も多いかと思います。
そこで、今回はDifyってどんなものか?どう使うのか? ざっくりとご紹介してみようと思います。
私たちが扱っているAI案件や開発現場の知見も交えながら、Difyの特徴やどんなメリットがあるのかをイメージしていただければ嬉しいです。
2. Difyとは?
まずはDifyのざっくりした説明から。
Dify(ディファイ) は、簡単に言うと 「オープンソースで使えるAIアプリ開発プラットフォーム」 です。
有名どころだとChatGPTやGemini、Claudeなど色々ありますよね。でもDifyの大きな違いは、自分たちの環境にホストしたり、ノーコード感覚でアプリを組み立てられたりすること。
また、LLM(大規模言語モデル)はOpenAI、Anthropic(Claude)、Meta(Llama2)などから用途に応じて選択可能。自分好みに組み合わせることで、用途に合わせた柔軟なAIアプリをさくっと作れるのが魅力です。
3. Difyの特徴
ここでは、Difyの主な特徴を5つピックアップしてみます。
1. 複雑なタスク処理
Difyでは「ノード」と呼ばれるブロックを並べて、複数のタスクを連続して実行できます。
たとえば「文章の要約 → 結果をPDFに出力 → メール送信」のようなフローをノーコード感覚で組めるんです。
従来はエンジニアがコードでゴリゴリと書いていた部分も、GUI上でポンポンとつなげるだけ。
「あれもやりたい、これもやりたい」と複雑になりがちなAIタスクを、ビジュアルで管理できるのは大きなメリットですね。
2. RAGが簡単に構築できる
RAG(Retrieval Augmented Generation)とは、AIに追加の知識を与えて回答の質を向上させる技術です。
「社内のドキュメントやデータを引っ張ってきて回答させたい」ときなどに活躍します。
DifyはRAG構築に必要なツールやテンプレートを備えているので、データの取り込みや検索部分が簡単にセットアップできます。
自社の社内資料をAIに使わせるハードルが、ぐっと下がるイメージです。
3. 複数のLLMモデルを使用できる
「GPT」や「Gemini」「Claude」など、様々な大規模言語モデルをサポートしています。
たとえば「精度重視でClaudeを使いたい」「コストを抑えるためにオープンソースモデルを試したい」といったとき、Dify上で簡単に切り替え可能。
モデルごとに強み・弱みがあるので、用途に合わせてカスタマイズできるのは助かりますね。
4. 多種多様なツールが搭載
Google検索やスクレイピングといった複数のツールを組み込んだワークフローを、面倒な実装なしで実現できるのも魅力です。
「外部データを取り込んで、それをAIに処理させたい」というときに、1からAPI接続を組む必要がないのはうれしいポイント。
テンプレートも豊富なので、やりたいことに近いサンプルを見つければ、そこから少し調整するだけでOKです。
5. APIとして公開できる
Difyで作ったAIアプリをAPIとして外部に公開することもできます。
たとえば、社内ポータルや自社プロダクトと連携させる場合、DifyのAPIを呼び出してAI機能を付け足すイメージ。
これなら既存サービスのUIはそのままでも、裏側のブレーンとしてのAIはDifyに任せる形で素早く機能追加が可能です。
4. Difyでどんなことができる?
「Difyの特徴はわかったけど、実際どんなワークフローが組めるの?」
ここでは、複数のツールを組み合わせた”ちょっと便利”な事例をいくつかご紹介します。
4-1. Slackの問い合わせからNotionを自動更新 → 要約レポート配信
- Slackで質問や依頼が飛んでくる
- Difyが指定のKnowledgeベース(自社ドキュメント)をRAGで参照し、回答を生成
- 回答とやり取りの内容をNotionの「FAQページ」に自動追記
- 1日の終わりに、やり取りを要約したレポートをPMや管理者にメール配信
ポイント: 「Slack→Dify→Notion→メール」のフローをノーコード感覚で組めるので、日々の問い合わせ業務をぐっと効率化できます。
4-2. Webニュースを自動収集 → 重要項目だけレポート化
- Webスクレイピングのノードを使って、ニュースサイトやブログから記事を取得
- AIが記事の要点を自動要約してタグ付け(政治・経済・技術など)
- 重要度の高い項目だけをPDFレポートにまとめて生成
- 最後にメールで関係者全員に配信する
ポイント: 普段なら社員が手作業で集めていた情報をAIが丸ごと代行。Difyは検索系やスクレイピング系ツールも組み込めるので、一連のフローを一括管理できるのが便利です。
4-3. 社内限定の「AIアシスタント」
- 社内システムのデータベースをDifyに接続しておく
- 社員が 「XXデータのレポート出して」 とAIアシスタントにチャットで依頼
- AIがデータをクエリし、RAGでドキュメントも参照しながらレポートを作成
- レポートを 指定フォーマット(ExcelやPDF) で出力し、Slackにリンク通知
ポイント: ChatGPTのように気軽に対話しつつ、機密性の高い社内データを使ったレポート生成が可能。
「外部サービスにデータを渡すのは不安…」という場合でも、Difyなら自社サーバー上で完結できます。
5. 普通のAIと何が違うのか?
「ChatGPT使ってるし、わざわざDifyを選ぶ意味ある?」という疑問に答えてみましょう。
5-1. 複数のLLMやサービスを柔軟に組み合わせられる
DifyはOpenAIやAnthropicだけでなく、オープンソースのLLMなども簡単に切り替えられます。
社内完結型のAI環境を構築したいならローカルモデル、精度重視ならクラウドサービス、といった具合にリスクとコストを比較しながら最適な選択ができるのです。
5-2. 多種多様なツール連携とAPI公開で使い道が広がる
「Google検索やスクレイピングも含めてAIフローを作れる」「生成したアプリをAPIで外部から呼び出せる」といった具合に、
Difyは複数のツールを搭載しつつ、APIとして公開できるのが大きな強み。
単純にチャット対応だけでなく、いろんなステップをまとめて自動化したり、既存の業務システムとスムーズに連携できたりするのが、いわゆる「普通のAIサービス」との大きな違いといえます。
6. 開発の現場やプロジェクトマネジメントでの活用事例・可能性
では実際に、開発現場やPM視点でDifyを導入すると、どんな変化があるでしょうか。
6-1. PoC(概念実証)のスピードアップ
新規AIサービスを素早く試作したいとき、Difyでプロトタイプを作ってクライアントに見せられます。
「実際に動くもの」を早期に出せるから、要件のすり合わせやフィードバックが加速しますよね。
6-2. コスト管理のしやすさ
LLMのAPIコールもDifyの管理画面から可視化できるので、トークン使用量や課金が把握しやすい。
案件ごとにコストを分けて管理できると、プロジェクトオーナーにも説明がしやすいのが魅力です。
6-3. チームでのノウハウ共有
「AIアプリをどう作るか」だけでなく、プロンプト設定やワークフローの作り方などをチーム全体で共有しやすい。
PMや非エンジニアでも、同じインターフェイスでプロンプトを編集できる点は非常に大きいです。
6-4. セキュリティ&ガバナンス
企業ごとのポリシーに合わせて自前サーバーにAI基盤を構築すれば、外部流出のリスクを抑えられます。
公開モデル+自社データのハイブリッド運用もできるので、どこまでを外部に出すか制御しやすいのも強みです。
7. まとめ & 弊社のサポートについて
ここまで、Difyの魅力をざっくり紹介してみました。ポイントを振り返ると…
- オープンソースで自由度が高い: 自社サーバーやローカルLLMにも対応
- ノーコード感覚で開発しやすい: GUIベースでワークフローを組める
- 複数のLLMを簡単に切り替えられる: 用途やセキュリティレベルに応じてモデルを選択
- コミュニティも活発で今後も進化が期待: 新機能・事例がどんどん生まれている
特に、自社データを活用してAIボットや自動化をやってみたいという企業にはドンピシャだと思います。
「でも実際に導入しようとするとインフラ構築や運用方針に悩む…」なんてケースもあるはず。
もしお困りの際は、ぜひご相談ください。
弊社では、Difyを含む生成AIの業務導入サポートやPoCの支援も行っています。AI活用の要件定義から、ワークフロー設計やセキュリティ面の調整などもお手伝い可能です。お問い合わせの際はコチラからお願いします。
それでは今回はこの辺で!興味のある方は、ぜひDifyを試してみてください。
今後も新しいAIトピックを共有していければと思います!
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