2025-10-20 AIソムリエ: Claude Skills
FLINTERSの河内です。今日はFLINTERS助廣さんから、先日発表された Claude Skills について発表いただきました。
私が Claude Skills のニュースを最初に見たときは、Progressive disclosure に関してこれまでも別ファイル参照で似たようなことはできていたし、プログラムとプロンプトを同梱するのはプロジェクトコード内では普通だし、slash command との使い分けも分かりづらい…ということで、正直ピンときていませんでした。今回の味見を通じて、標準化することでエコシステムの発展を目指すことに意義があるのではないか、という認識に今はなっています。また Claude Code の利用者に対するインパクトより、コードを合わせて活用することが難しかった Claude desktop などの利用者などに、より大きなインパクトがあるのだろうと思っています。
以下は社内勉強会の書き起こしを自動でまとめたものです。
Claude Skills: プロンプトの限界を超えるモジュール化された知識システム
2025年10月中頃に発表されたClaude Skillsは、Claudeが構造化されたタスクを自律的に実行できるように設計されたモジュール化された知識システムです。これは、ワークフローのように順次実行されるパッケージとして機能し、特にコンテキストの効率化において大きなメリットをもたらします。
Claude Skillsの必要性と課題解決
既存のMCPサーバーはコンテキスト使用量が多く、セットアップが難しいという課題を抱えていました。Claude Skillsは、以下の点でこれらの課題を解決します。
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コンテキスト利用率の削減: 起動時に
SKILL.mdのYAMLフロントマター部分のみを読み込むため、コンテキスト使用量が大幅に削減されます。 - ポータブルな知識共有: ZIPファイル形式のモジュールとして知識の共有が容易になり、プロンプトの再利用性の低さやワークフローの代替が可能になります。
Claude SkillsのアーキテクチャとMCPサーバーとの比較
Claude Skillsは「スキルセット」と呼ばれるZIPファイルにまとめられており、主要ファイルはSKILL.md、reference.md、およびスクリプトで構成されています。MCPサーバーが全てのパラメータとツール、スキーマを読み込むのに対し、Skillsは必要な部分を段階的に読み込むため、より効率的です。
Claude Skillsと既存ツールの役割分担
Claude SkillsとMCPサーバーは異なる役割を持ち、相互補完性が高いと説明されています。定型作業やワークフローにはSkillsが適しており、外部ツールとのリアルタイム連携が必要な場合はMCPサーバーが適しています。Skillsは専用のコード実行環境で実行されるため、より多様なコード実行が可能です。
Claude Skillsの標準化と汎用性
現在Claude専用であるものの、将来的には標準化される可能性があると指摘されました。仮想サンドボックス環境での指示書実行という基本的な仕組みから、他のプラットフォームへの展開も難しくないと考えられます。リソースファイルを含めてモジュール化できるSkillsの形式は、将来的にLLM間での共通規格となり、使い勝手が向上する可能性があります。
Claude Skillsによる業務効率化とビジネス機会
公式サンプルとしてExcelやPowerPointなどのskillが用意されており、PowerPoint skillを使って資料を自動作成した経験も共有されました。Skillsは開発現場よりも特定のドメイン知識を持つエキスパートの業務を置き換えるのに適しており、ワークフロー型では取り回しが悪かったプロセスを自然言語でルール化できる点に大きな価値があります。Skillsの登場により、手順書で成り立っている仕事の多くがSkillsに置き換えられる可能性があります。また、Skillsが新しい情報商材のフォーマットとなり、専門家の業務を解決できる可能性も示唆されました。
Claude Skillsの可能性と課題
Skillsは特定のユースケースで必要なコードやリソースファイルを含められる点で、プロンプトテンプレートの配布とは異なります。多数のスキルが存在する場合にLLMがどのスキルを使うべきか判断に困る可能性も懸念されていますが、公式のテンプレートがユーザーにモジュール作成を促し、市場を盛り上げる狙いがあると考えられます。Skillsは自然言語によるプログラミング環境におけるモジュール・パッケージの出現と捉えられる可能性を指摘されました。
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