衛星データについて
ひょんなことから衛星データを取り扱う機会に恵まれたので、衛星データの学習過程を記録する
ちなみに今日この時まで一度も衛星データを取り扱ったことはない
船には乗っていたので、AISとかインマルサットCとかは使っていた
地球を調べる衛星について知る
人工衛星にはどんな種類があるのか
- 技術試験衛星
- 新たな衛星技術の実証
- 科学衛星
- 地球外の天体の観測や宇宙環境での実験
- 通信衛星
- 衛星放送や衛星通信を可能とする
- 測位衛星
- GPSに代表される位置情報を調査
- 地球観測衛星
- 地球の様々な情報を調べる
衛星データといった場合は、「地球観測衛星」を指すことが多い
センサーの違い
- 光学衛星
- 太陽光を地球が反射し、その光を衛星のセンサーがとらえる
- 夜には観測できない
- マイクロ波衛星
- 物質から発せられる弱い電磁波(マイクロ波)を観測
- 夜でも観測可能
- SAR衛星
- 電波を衛星が発信し、地表で跳ね返ってきた電波をセンサーがとらえる
- 夜でも観測可能
衛星データでわかること
- 陸域
- 光学センサ
- 地表の様子
- SARセンサ
- 地表の変化
- 熱赤外センサ
- 地表の温度
- 光学センサ
- 空域
- ADS-B
- 降雨期の位置
- マイクロ波放射計 降雨レーダー
- 降水・降雪
- ライダー
- 粒子・風速
- ADS-B
- 海域
- AIS SARセンサ
- 船舶の位置
- マイクロ波放射計 熱赤外センサ
- 海水温度
- マイクロ波散乱計
- 海上風
- マイクロ波高度計
- 海面高度
- マイクロ波放射計 SARセンサ
- 海氷
- AIS SARセンサ
水深は深くなると電磁波が減衰してしまうため、深い地形を捉えることができない
深い水深の地形は一般的に船に取り付けたソナーなどの反射波を利用して測定を行う
光の波長からみえるもの
地球の何を調べたいかによって、利用する波長を使い分けて地球を観測
図1 電磁波の波長と呼称。波長域ごとに得られる地球観測データの例。(引用:JAXA [2])
衛星データの種類
様々な種類がある
調査時点では、Tellusには衛星データが25件存在している
衛星データを作成している人・企業
日本だとJAXA、アメリカだとNASA
その後、人工衛星を製造するのは大手の電機メーカーなどが多い
最近だとベンチャー企業も
人工衛星はどれくらいの高さを飛んでいるのか
目的に応じて様々な高さで飛んでいる。例として、
低い場合
- 400km
- 超低高度衛星技術試験機「つばめ」(SLATS)
- 一番低いところだと200km近くも飛ぶとか
- すでに終了している?
- 国際宇宙ステーション「ISS」(衛星とは異なるが)
- 90-100分程度で地球を一周
- 超低高度衛星技術試験機「つばめ」(SLATS)
- 3万6000km
- 気象衛星「ひまわり」
- 24時間かけて地球を一周
- 地球からは静止して見えるので静止衛星という
衛星写真の解像度はどれくらいか
現状30cm
ちなみに、地球観測衛星の分野では、解像度と分解能は分けて考える
- 分解能(Ground Sampling Distance)
- 衛星に搭載しているセンサがその軌道を周回する「センサの性能として」どの程度の細かさでデータを取得できるか
- 解像度(Resolution, pixel size)
- 「衛星データとして」エンドユーザに提供される時に画像の1ピクセルが地表面の何mに相当するか
商用の地球観測データはどういう業種の企業が購入しているのか
防衛が6割、次にインフラ系と天然資源系が多い
参考サイト
ETS9(技術試験衛星9号機)について
衛星データではないけれども
何がすごいのか
全電化衛星技術を採用している
ようするに、オール電化衛星
世界の潮流で見ると小型衛星の流れがあるが、もう一つの軸として、一つの衛星を長く運用できるようにするというのがある(ETS9は15年間運用するとか)
そして、周波数も含めて柔軟に変化させられるようにする、オール電化にして燃料の削減を図るという方向性もある
将来的には小型衛星も大型衛星もそれぞれの強みで弱みを補完しあいながらいくのではないかなというところ
参考サイト
波長について学ぶ
人の目がとらえている光とは
人の目には青、緑、赤の光を判別する細胞(視細胞)があり、それぞれの色の光を感じ取る割合で色が決まる
青、緑、赤の光で色を判断するため、光の三原色と呼ばれている
衛星データでは、人間の目で見えない波長取り扱っているものもあるため、人間の目で見えるようにする必要がある
光の波長における反射と放射の特性
参考サイト[1]にある画像を参考に
人工衛星によって、対応しているものが変わる
光の波長から見えるもの
- 青い光の波長帯(0.4~0.5μm)
- 空気中のちり(エアロゾル)を見るのに適する
- 緑の光の波長帯(0.5~0.6μm)
- 植物の活性度を見るのに適する
- 赤い光の波長帯(0.4~0.5μm)
- 水域と陸域の区別が比較的わかりやすくなる
- 可視光画像
- 人の目で見るのと同じ
- 近赤外線の波長(0.7~1μm)
- 植生を調べる際によく用いられる
- 中間赤外の波長(1~6μm)
- 水はよく反射し、氷は反射しない
- 火などの高温も見える
- 熱赤外の波長
- 水蒸気量を観測できる
- 火山噴火後の噴煙の様子などを観測したりも
- 雲の高さ
- 地表面温度なども
- 波長の組み合わせ
- 上層の雲か下層の雲か
- 植生分布を判別するのにも利用される
Landsat-8のバンド8では、可視線の0.5~0.68μmまでの波長をほかのバンドより高解像度にすることができる(30m分解能→15m分解能)
植生指数
植物の活性度を測る植生指数NDVI(Normalized Difference vegetation index)
IR: 近赤外線の波長 R: 赤色の波長
バンドとは何か
センサが感知する電磁波(波長)の幅のことをバンド、という単位で呼んでいる
波長とバンドの番号は一対一対応するものではなく、衛星ごとに独自にバンドと波長の対応が決まっている
バンドの数字は衛星の設計者によってまちまち
例として、Landsat-8という衛星はひまわりのバンドとずれがあり、バンドの6,7,9あたりは前後していたりする
バンドの数はどのようにして決められるか
バンドの数が多い方が多く情報量を取得できるが、センサのサイズが大きくなったり地上にダウンロードするデータ量が多くなったりする課題もあるので、衛星として何を観測したいのか、というミッションに沿って必要十分なバンド数を観測できるセンサが搭載されることが多い
バンドによって解像度が異なるのはなぜか
光学画像は反射と輻射という2つの現象が合わさって観測されている
- 反射
- 一般的に私たちが目でみて見えるような、太陽や電灯の光を反射してみえること
- 輻射
- 熱く熱した石炭や鉄が赤く光って見えるような、物体自身が持っているエネルギーを放射している現象
可視光では反射が支配的であるが、赤外線の領域では輻射が支配的になり、すこしぼやっとした画像になる
- 熱く熱した石炭や鉄が赤く光って見えるような、物体自身が持っているエネルギーを放射している現象
Landsat, Sentinel, ひまわりのざっくりとした区分け
- Landsat
- 長い時系列変化を見たい場合(運用期間が長い)
- Sentinel
- 分解能が良い、細かく見たい場合
- ひまわり
- 大気の状態や黄砂など大規模に変化する自然現象を見たい場合
参考サイト
分解能、解像度、お金
地上分解能
GSD(Ground Sampling Distance)
画像中の1ピクセルが地上の何mに相当するか
つまり、何mの物体が見えるのか
人工衛星から人は見えるのか
世界最高峰のWorldView4(0.3mGSD)でようやく人が確認できる
ただし、アーカイブの利用で55万円
新しく撮影したい場合で100万円を超えることも
回帰日数
衛星が何日で同じ地点に帰ってくるか、観測頻度
毎日観測できる衛星はごくわずかであり、組み合わせることが大切
光学衛星は地方時が12時だと太陽の反射が強くうまく撮影ができなくなるため、10時30分など少しずらして撮影している
SAR衛星の撮影タイミング
常に発電していられるように昼と夜の境目を飛ぶようにしている
地方太陽時6時18時あたりを飛ぶことが多い
白黒の画像とカラー画像はなぜ解像度が違うのか
センサの構成が異なるため
カラーはRGBを合成した3つ以上の素子が1セットとして構成されているため、解像度が1/4になってしまう
白黒画像は0か1かの1素子なので解像度がよくなる
マルチスペクトル画像、バンシャープン画像
地上分解能はどのようにして決まるか
カメラの性能と軌道高度
高度が下がると地上分解能はよくなるが、撮影範囲は狭くなる
高度が上がると地上分解能が悪くなるが、撮影範囲は広くなる
衛星が進行方向に対して連射したように撮影しているのはなぜか
光学衛星の場合、搭載されているセンサは、私たちが地上で使っているカメラに利用されているエリアセンサとは異なり、スキャナのようにライン上にセンサが構成されているラインセンサを使用している
そのため、進行方向に対して垂直にスキャンし続けながら撮影することになるため、連射したような形で画像が出てくる
地上分解能が高いかつ観測幅が広い観測装置ができない技術的な理由
地上分解能は撮像素子とレンズの性能に、観測幅は主にレンズの性能により決定される
地上分解能が広く観測幅が広いカメラを作ろうとすると、とても良い素子を用意するとともに、口径の広いカメラレンズを用意する必要が出てくる
広角レンズのように端っこが歪んでしまうと衛星データ解析に活かしづらいため、ゆがみが少なくなるようなレンズを搭載している
口径が広いレンズは大きい衛星になり、つまりコストが高くなるので、コスパとしては悪い
だいち4号で実現している
同じ時刻でも夏至と冬至で日光の当たる角度に違いが出るか
太陽からの光が差し込む角度が変わってくるので、同じ場所を同じ時間に撮影していても季節によって見え方が結構違ってくる
特に大きな建物の影の長さが全然変わってくる
衛星画像はなぜこんなにも工学科
衛星画像を販売することで、次のコストを回収するため
- 衛星開発コスト
- 打ち上げコスト
- 運用コスト
- 他