PLGとは何か
PLGとは
Product-led growth の略です。
What is product-led growth? - Appcues の定義を参考とすると以下の通りです。
Product-led growth (PLG) is a business methodology in which user acquisition, expansion, conversion, and retention are all driven primarily by the product itself. It creates company-wide alignment across teams—from engineering to sales and marketing—around the product as the largest source of sustainable, scalable business growth.
「Google翻訳:製品主導の成長 (PLG) は、ユーザーの獲得、拡大、変換、維持がすべて主に製品自体によって推進されるビジネス手法です。持続可能でスケーラブルなビジネス成長の最大の源泉として、エンジニアリングから営業、マーケティングまで、チーム全体で製品を中心に会社全体の連携を構築します。」
PLGは「まずはプロダクトを使ってもらい、その価値を実感してもらう」という考えに基づいています。ユーザー自らが製品の利用を始め、良い体験を通じて利用度合いが高まり、契約に至ります。プロダクト自身でリード獲得できるところがポイントです。
PLGのメリット・デメリット
- メリット
- マーケティングや営業のコストが削減できる
- 迅速に市場に浸透しやすい、大規模成長しやすい
- ユーザーのフィードバックが速やかに得られ、製品改善が容易
- デメリット
- プロダクト価値への依存度が高い
- 最初の開発と継続的な改良には大きな投資が必要
- 競争の激しい市場では埋もれてしまうリスクがある
- 適切なオンボーディングとサポートが必要
PLGの特徴
まずプロダクトを使ってもらうため、多くの場合はフリーミアムモデルや無料トライアルが用いられます。
フリーミアム
基本機能を無料で提供。有料プランで追加機能が使えるようになる。
- メリット
- リードを獲得/維持しやすい
- 口コミで広がりやすい
- デメリット
- 利益を出すまでに時間がかかる
- ユーザー数が増えやすい分、システム保守やサポートが大変になる
無料トライアル
有料機能を一定の期間無料で使える。期間終了後はお金を払わないとサービスを利用できない。
- メリット
- 製品の完全な機能を体験してもらうことで、価値を実感させやすい
- トライアル終了後に有料プランに移行しやすい
- デメリット
- フリーミアムに比べてリード獲得しづらい
- 有料プランへの移行にはフォローアップが必要
PLGの代表サービス
-
Slack
通信ツールとして無料プランを提供。
その後、企業がチーム全体で使い始めることで有料プランへと移行させる戦略。 -
Dropbox
ストレージサービスとして無料で利用できる容量を提供。
追加容量や高度な管理機能が必要になると有料化。 -
Zoom
ビデオ会議ツールとして無料で使える制限つきプランを提供。
大規模な利用や高度な機能が必要になると有料化。 -
Notion
多機能なノートアプリケーションで個人利用には無料プランを提供。
チーム機能や高度な管理ツールが必要になると有料化。
SLGとの違い
販売主導成長(Sales-Led Growth、SLG)は、販売チームが中心となって顧客を獲得するモデルです。営業担当がプロダクトの価値を説明し、デモなどを通して商談進めることで契約に結びつけます。
- SLGのメリット
- B2Bの大口契約など高額な取引が実現しやすい
- 長期的なパートナーシップや信頼関係を築きやすい
- 専門知識を持ち込み、理解を深めさせることができる
- 個々のニーズに対応した提案が可能
- SLGのデメリット
- 顧客獲得コストが高くなりがち
- 営業プロセスが長期化しやすい
- 人手に依存するため、急速な拡大には限界がある
- 営業担当者のスキルやパフォーマンスに強く依存する
PLGとSLGの比較
観点 | PLG(Product-Led Growth) | SLG(Sales-Led Growth) |
---|---|---|
顧客獲得コスト | 低い | 高い |
契約までにかかる期間 | 短い | 長い |
スケーラビリティ | 高い | 低い |
顧客とのリレーション | 弱い | 強い |
営業担当への依存度 | 低い | 高い |
向いている取引 | 小規模から中規模の取引、セルフサービスが可能なB2CおよびB2B | 大規模かつ複雑な取引、パーソナライズが必要なB2B |
向いていない取引 | 大規模かつ複雑な取引、パーソナライズが必要なもの | 小規模で自動化が容易な取引 |
最後に
近年のSaaSはPLGが主流に見えますが、SLGとPLGは一長一短なので自社にあった戦略を取る必要があります。また、PLGにおいても人手をかけたフォローは一定の効果を発揮します。「〇〇-Led Growth」の〇〇は、あくまで成長戦略における「主要」ドライバーなので、それ以外があってはいけないわけではありません。自社にとって最大の効率を発揮する戦略、時間軸でみたときの最適な戦略が必要です。
PLG/SLGはプロダクトの機能や営業プロセスだけを変えてもうまくいきません。全社的に方向を定め、仕組みを変え、マインドを浸透させる必要があります。
...って某スタートアップのCEOたちが言ってました。
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