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UXDX EMEA 2024参加レポート

2024/12/05に公開

この記事は、Finatext グループ Advent Calendar 2024の 5 日目の記事です。

はじめに

先日、アイルランドのダブリンで開催されたカンファレンス「UXDX EMEA 2024」に参加してきました。

「UXDX EMEA 2024」は、プロダクトデザイン、開発、UX、デジタルイノベーションの分野における国際的なカンファレンスシリーズ「UXDX」の 1 つです。このカンファレンスは、プロダクトチームがより迅速に価値を提供し、ユーザー中心のアプローチを実現するためのスキルや戦略を学ぶ場を提供しています。

そんな「UXDX EMEA 2024」に参加してきたので、特に印象に残ったプログラムを紹介しようと思います。

uxdx-emea

① Navigating Company, Team and Individual Purpose: Prioritising and Rediscovering Your True Direction

スピーカー: Frank Gaine

ケネディ大統領は NASA を訪問して、ほうきを持った男性に声をかけました。「What do you do here at the Space Center?」その人は答えた、「I’m helping to put a man on the moon」と。

これは共通の目的(purpose)が、掃除をする人までに浸透しているというこの NASA の素晴らしい事例。

Purpose, Vision, Mission = Ambition

良い目的とは

  • Derived inclusively(包括的に導出する)
  • Concise yet descriptive(簡潔でありながら説明的)
  • Inspiring & memorable(感動的で記憶に残る)
  • Authentic & relevant(現実的である)
  • Maintained & cascaded(維持されて階層的に伝達される)

では、目的を伝えるためにはどうするのが効果的か。それは頻度(frequency)と最新性(recency)。
頻繁で最新性があればあるほど、記憶に残る。

Q&A

Q. 目的、ビジョン、ミッション、戦略、目標の違いは何か?
A. 目的は、会社として存在する理由です。ビジョンは、どこに行きたいかという長期的な目標。ミッションは、そのビジョンに到達するための短期的な目標。価値観は、これらすべてを実行する方法。これらの要素を要約した目標ステートメントを持つこと。

感想

多忙な毎日に言い訳して、日々の仕事が作業になり始めていたなと振り返る良い機会になりました。
目的の重要性はあらゆるところで語られているためもちろん頭では理解していますが、具体的な良い例や悪い例を示されることで、その重要性が非常にわかりやすく伝わってきました。改めて、目的を持つことの大切さを実感しました。

② Beyond Design: Navigating Project Buy-in in Large Enterprise Ecosystems

スピーカー: Kelle Link

ステークホルダーを説得するためには以下 3 つが大事

  • Desirability(魅力)
  • Feasibility(実現可能性)
  • Viability(持続可能性)

そして、上記を伝えるためにはストーリー性が非常に重要で、数学を習得すること(経営陣のことを理解すること)が大切。
...ということを、タトゥーを入れたアイルランド人がミクロネシアの有力者の部族に潜入する話に例えられて語られ、このプログラム自体にストーリー性がありとても面白く、スピーカーの世界に引き込まれた。

感想

テキストで全てを伝えるのは難しいですが、とにかく非常に面白いプログラムでした。
このストーリー性をプロダクトに組み込むことができれば、プロダクトが大きく向上するだろうと感じました。今はまだ感覚的な状態なので、この領域についてもっと勉強し、言語化していきたいと思います。

③ How to Merge Startup Agility with Corporate Stability within your Product Team

スピーカー: Harry Parkes

小さい会社は大きくなりたい、大きい会社は小さく振る舞いたい。
大規模事業に必要な構造的安定性と成長のバランスをとるために重要なのは、

  • Have a plan(計画を立てる)
    • 小さなスタートアップではなく、我々には多くの顧客がいて、顧客タイプに多様性があるため、顧客にとっての将来の体験をどうしたいかというビジョンを伝えること。人間は現実を創造する機械。私たちは常に主観的で、身の回りで起こっていることの認識に客観性はほとんどない。現実には、人々は聞きたいことだけを聞き、見たいものを見て、聞きたいことを聞く。そのため、自分たちがどこに向かおうとしているのかを顧客に伝え続ける必要がある。私たちはこれを社内で、この組織が向かっているのかという会話をできるだけ活発化させようとしている。
  • Invest in systems(デザインシステムに投資する)
    • デザインシステムなどの内部システムをプロダクトとして扱い、収益性とコストを把握しながら投資する。これにより効率を高め、特に大規模なチーム間での運用がスムーズになる。また、フロントエンドのデプロイコストを削減し、頻繁なテストと改善を可能にしている。
  • Speed & scale(スピードとスケールの両立)
    • 規模が大きくなると効率性が求められるが、迅速な対応も必要。そのため、モジュール化やコンポーネント化を重視し、データモデル → API → UI の順で設計することを推奨している。これにより、技術的負債や重複するサービスの問題を回避できる。
  • Measure the same things(反復開発)
    • ソフトウェア開発では、小規模でのデプロイと学習の反復を重視し、リスクを最小限に抑えるアプローチを取ります。
  • Stay optimistic(楽観主義を持つ)
    • 挑戦には悲観的な意見が付きものだが、長期的には楽観主義が成功をもたらす。現状に挑戦し続け、楽観的な視点で問題解決に取り組むことが重要。

感想

最近、UI/UX のアップデートを行うことが多く、UI/UX に目が行き過ぎていた部分がありました。そのため、データモデル → API → UI の順番を改めて意識する必要があると気付かされました。スピードとスケールの両立は、弊社で今まさに求められていることなので、このプログラムのアーカイブを見直し、実践していきたいと思います。

カンファレンスを通して学んだこと

  • 目的の重要性を再認識
  • ストーリー性が大事
  • データモデル → API → UI で考えること

今の会社に入って 5 年が経ち、金融業界にも慣れてきたことで、思考が凝り固まっていたことを痛感しました。プロダクトにもっとストーリー性を持たせて、スーッと日常に溶け込むような金融プロダクトを作りたいですね。金融のプロダクトにはできることに限りがある部分もありますが、さまざまな角度からアプローチし、遊び心を持った独自の発想を大切にしていきたいなと感じました。

さいごに

今回のカンファレンスで一番感じたのは、熱量の違いでした。新しい発見があったかというとそうではないけれど、同じ内容でも熱意によって受け取る印象が全然違うんだなと実感しました。
そして、ビジネスに関連して海外に行くという経験は初めてだったので、非常によい刺激になりました。英語力が乏しいがゆえに、同じ話ばかり(日本人って忙しいんでしょ?そんなことないよーばっかり。)になってしまうという悔しい思いもできて良かったです。
久しぶりに心身ともに負荷をかけることができて、とても良かったなと思います!

ダブリンでの開催は今年が最後で、来年からはベルリン開催とのことでした。来年もいけたら良いな〜。

goodbye

素敵な思い出

カンファレンスが終わった後に高熱を出しながら世界遺産の Giant's Causeway に行ってきました。(非常にしんどかったのですが、素敵なところで感動しました)
ちょっと力を抜いたら飛ばされるくらいの暴風の中、か弱い女性が 1 人で必死に観光しているのを見てか、非常に多くの人が「写真撮ってあげるよ」と声をかけてくれて、この日だけ写真がたくさんあります(笑)。世界の方々の優しさにも触れることができて良い旅でした。
貴重な機会を与えてくれた会社に感謝です!
Giant's Causeway

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