[Snowflake Summit2025 参加記] ExcelライクなBIツール「Sigma」のハンズオンレポート
はじめに
こんにちは、株式会社ナウキャストの松村です。Snowflake Summit 2025で開催されたSigma Computing(以下 Sigma)のハンズオンで、初めてSigmaを触ってみました。本記事では速報レポートとしてハンズオンセッションの内容をまとめています。
Sigmaとは
SigmaはクラウドベースのBI/アナリティクスツールで、ノーコードかつExcel感覚で操作できることから、特にビジネスユーザー向けに人気が高まっています。
また、Snowflake Business Intelligence Data Cloud Product Partner of the Yearを3年連続で受賞しており、SnowflakeとSigmaの連携に関しても高く評価されています。
他のBIツールとの比較
Sigmaの公式HPでは、Snowflakeと組み合わせて使うBIツールの主要なものとしてTableau・PowerBI・Looker との比較が載っています。
参考:Tableauとの比較(かなりSigmaの利点のみが強調されています。)
Summit会場では他にもThoughtSpotやOmniのブースがあり、デモを見せてもらうことが出来ました。
ThoughtSpotは自然言語で指示を出すだけでグラフ作成や分析が出来るといったAI機能に力を入れており、OmniはSQLとGUIどちらでも操作ができるため幅広いユースケースに対応している印象を受けました。
ThoughtSpotのデモの様子
セッション基本情報
- 講演タイトル: Solving Last Mile Analytics Using Snowflake Cortex AI and Sigma Data Apps, BA237
- スピーカー:
- Shawn Namdar (Sr. Technical Alliance Manager, Sigma)
- Ben Weiss (Principal Sales Engineer, Snowflake)
- 講演日時: Wednesday, Jun 4 | 1:00 PM - 2:30 PM PDT
セッション内容
初めにsigmaについての説明があり、その後ハンズオンで機能の詳細を見ていくという流れでした。
ハンズオンの資料は下記で公開されており、誰でもアクセス可能になっています。
上記のサイトに載っているSigmaのリンクは、SigmaのQuickstartsに期間限定で公開されているようです。Quickstartsのサイトで、「snowflake summit 2025」で検索したら出てきました。
SnowflakeのアカウントやSigmaのアカウント作成が不要なので簡単に始めることができます。
BIツールの歴史
BI(ビジネスインテリジェンス)の進化について、各世代の代表的なツールやトレンドが簡単に解説されました。
世代 | 時代 | 特徴 | 代表ツール |
---|---|---|---|
GEN 1 | 1990年代 |
Reports & Cubes 静的なレポートと事前集計されたデータ(OLAP) |
Siebel, BusinessObjects, COGNOS, MicroStrategy |
GEN 2 | 2010年代 |
Dashboards & Visualizations よりリッチなUIで、ユーザーが自由に視覚的にデータを探索可能 |
Tableau, Looker, Power BI, Qlik |
GEN 3 / TODAY | 2020年代 |
AI, Apps & Automation AIによる分析、自然言語インターフェース、ワークフローの自動化 |
Salesforce, Google, Sigma など |
SigmaとSnowflakeの連携機能
SigmaはSnowflakeの機能と連携しており、ノーコードで高度なデータ分析やAI活用を可能にしていることが説明されました。
Snowflake Feature | Leveraged by Sigma | 説明 |
---|---|---|
Geospatial Functions | Geospatial Functions and Geography Maps | 地理空間データの分析や地図表示が可能に |
Time Series Forecasts (Analytic functions) | Time Series Forecasts | 時系列データの予測機能 |
Cortex SQL Functions | AI Queries | SQLベースでAIを活用したクエリ実行 |
Cortex Multimodal AI | Sigma Image Processing | 画像処理などマルチモーダルAI機能を利用 |
Cortex LLMs (Large Language Models) | Ask Sigma | 自然言語で質問・分析(LLM活用) |
Snowflake DML | Sigma Input Tables | 入力フォームのようにデータを追加・更新可能 |
セッション内では紹介されませんでしたが、前提としてSigmaはSnowflakeにリアルタイム接続を行っているため、下記の利点があります。
- データは常にSnowflake上にあり、Sigmaはクエリをリアルタイム実行(コピー不要、最新状態を保持)
- Data ExplorerでSnowflakeのスキーマ構造をそのまま参照可能
Snowflakeの主要な機能
主要機能として下記の5つが紹介されました。詳細は下記のハンズオンの章で紹介します。
- Ask Sigma
- Spreadsheets
- Data Apps
- Dashboards
- Exports
ハンズオン
ハンズオン資料内でのシナリオとしては、小売企業「Big Buys Electronics」のカテゴリマネージャーとして、コンピュータ製品の収益性分析を実施する、というものです。
主要機能とて取り上げられていた部分をピックアップして紹介します。
Ask Sigma
自然言語で質問をすると、その回答にいたるステップを分解して提示してくれます。
Cortex LLMが関連テーブルやフィルターを自動で提案してくれますが、正確でなかった場合は編集して結果を修正することも可能です。
Spreadsheets
使い慣れたExcel形式で操作が可能で、下記のような操作を試しました。
- 書式変更(通貨、パーセント)
- データのフィルタリング
- ソート(利益率で降順)
- 条件付き書式(データバーやカラースケール)
Data Apps
ユーザーがInput Tableで直接csvなどのデータを入れ、入力値をもとに計算・可視化するもので、仮設ベースで検証を行う際などに活用できる機能です。
ハンズオンでは、Input Tableで「Proce Changes」を入れ、Lookupで結合した製品情報を元に利益率を再計算し、グラフにリアルタイムで反映される様子を確認しました。
LookupでInput Tableと結合
計算した利益率をグラフで可視化
また、作成したシナリオ(シミュレーション結果)をチームで共有し、レビュー・承認してもらうといった機能があります。
今回は自分自身でレビューを提出、承認を行いシナリオのステータスが変更されることを確認しました。
レビューの提出・承認を行う画面
Dashboards
DataAppsの機能により入力・計算した値をインタラクティブグラフとして可視化する部分に該当します。
ハンズオンでは、テーブルの値を更新しグラフが変化することを確認しました。
Exports
作成したレポートやワークブックは、PDFやExcelの形式でメール、slack等で連携が出来ます。
所感
今回初めてSigmaを触ってみて、以下のような利点を実感しました。
- Excel感覚のUIであり、学習コストが低い
SQL不要で操作ができるためエンジニアでなくても簡単に操作できるため、ビジネスチームのメンバーも使えるのが便利だと感じました。 - Snowflakeからコピー不要で常に最新状態を維持できる
Sigma内にデータを持たず、Snowflake内で処理が行われるため処理スピードが速いとのことでした。
また、Sigmaの下記の特徴も気になっているため、今後触ってみたいです。
- 双方向のデータ操作が可能である
- Snowflake上のデータに対してReadだけでなくInsert/Update機能がある
- アクセスコントロールの継承
- Snowflake側のロールベースアクセス制御(RBAC)、Row-Level Security(RLS)やカラムレベル権限をSigmaが継承している
最後までご覧いただきありがとうございました!
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