AWS re:Inventの事前に知ってお聞きたかったこと10選
この記事はFinatextグループ Advent Calendar 2024 20日目の記事です。
英語に自信のない私がAWS re:Inventで生き残った話
「まさか自分がラスベガスで世界最大級のテックカンファレンスに参加することになるとは...」
エンジニアになって AWS を使い始めてから、ずっと憧れていた re:Invent。Finatext では海外カンファレンスへの参加を支援してくれると知り、思い切って手を挙げてみました。そして、本当に参加が決まったのです。
TOEIC 700点くらい。英会話は何とか日常会話レベル。世界中から技術者が集まるカンファレンスに、この英語力で参加して大丈夫なのか。正直、不安でいっぱいでした。セッションの内容は理解できるのか、質問できるのか、道に迷わないか。でも、そんな不安を抱えながらも、私のラスベガス行きは決定したのでした。
意外と生きのびられた1週間
Finatext からは CTO と私の2名が参加することに。最初から別々の行動予定を立てていて、ホテルも飛行機もセッションも別々に予約。ほぼ一人旅での参戦です。1週間の滞在中、夕食を一緒にした1回以外は顔を合わせることもありませんでした。でも、これが意外と良かったんです。
「Hello...」と不安げに話しかける私に、現地スタッフは想像以上に親切に対応してくれました。拙い英語でも「Sorry, could you speak more slowly?」の一言で、皆さんゆっくり話してくれます。むしろ、自分の英語力と真正面から向き合うきっかけになりました。
そして何より心強かったのが、意外にも日本語で楽しめるコンテンツが充実していたこと。Keynote には同時通訳があるし、Workshop、AWS GameDay、AWS Jam は英語が完璧でなくても参加できるんです。「これなら、なんとかなるかも!」という希望が見えてきました。
事前に知っておきたかった10のこと
それでは本題に入りましょう。
私は re:Invent 参加前にいろんなブログを参考にして事前に準備しました。ですが、細かいところでもっと早く知れたらよかったと思うことがあったので、それらを10個にまとめて紹介します。
1. ベネチアンが中心地
「ラスベガスのホテルなんてどこでも同じでしょ?」
これ、私の最初の大きな誤解でした。AWS re:Invent の中心地は Venetian(ベネチアン)なんです。ここで Keynote が行われ、限定グッズ(SWAG)も配られ、展示会場も設置される。まさに re:Invent の中心地です。
私は Horseshoe に宿泊しましたが、これが予想以上の正解でした。Venetian までのアクセスが良く、価格も手頃。「もっと良いホテルにすれば良かった」なんて後悔は一切ありません。ホテルは寝るだけなので、この選択で十分でした。
2. 会場間の移動計画が重要
「地図で見ると、そんなに遠くないよね?」
ラスベガスの地図を見ながら、そう思っていた自分が懐かしい。実際に歩いてみると、その距離感は想像以上でした。
会場間の実際の所要時間
- Venetian ↔ Wynn, Caesars Forum:徒歩15分程度
実際に歩いてみると、歩道橋を渡って...という感じで、結構な道のり - Venetian ↔ MGM, Mandalay Bay:シャトルバスで20分程度
交通状況によっては、これ以上かかることも
私のセッションの計画は会場を考慮してないものだったので、現地についてから大きく見直しました。ホテルで翌日のセッションをしっかり計画したおかげで、移動でトラブルになることはありませんでした。
事前に会場の距離を考慮してスケジュールを組むこと。これは重要なポイントです。特に南エリア(MGM, Mandalay Bay)のセッションがある日は、その日は南エリアのセッションをまとめて受講するように組んでおくと、無駄な移動時間を減らせます。
3. セッション参加のコツ
「予約したから、余裕で間に合うでしょ!」
...危ない考えです。
セッションの予約が生きるのは、イベント開始時刻の10分前まで。その後は Walk-up の列に並ぶことになります。つまり、予約していても遅れて行くと、予約していない人と同じ扱いになってしまうんです。
とはいえ、予約できなかったセッションに関しては、当日参加も十分可能です。人気セッションは早めに並ぶ必要がありますが、意外と Walk-up でも入れるものです。
私の場合は
- 重要だと思うセッション:予約して10分前には必ず到着
- 予約できなかったけど参加したいセッション:20分前には Walk-up で待機
- 時間が空いてしまって暇な時に参加したいセッション:様子を見て Walk-up
という使い分けをしていました。
遅く入ったとしても会場にさえ入れればあちこちのモニターからプレゼン資料を見れたりするので、会場に入れれば大丈夫です。リアルタイムの文字起こしを読みたいなら、前の方に座った方が良いです。
4. SWAGの日替わり戦略
「初日にもらえるものは全部もらえたし、もういいかな」
これは私の大きな失敗でした。
前入りして早めに受付を済ませた日曜日。パーカーと水筒を受け取った時は、「結構いいものがもらえた!」と満足していました。でも、それは序章に過ぎなかったんです。
火曜日に行ってみると、認定資格を持っている人向けに T シャツとカードケースが追加で配布されていました。さらに水曜日には数量限定でジップジャケットが配られていたという情報も...。
「もっと情報収集すべきだった」
そう、SWAG は日によって配布されるものが変わるんです。しかも、X でこまめにチェックしていれば、「今この時間にここで特別なものを配ってるよ!」という情報もキャッチできたはず。
5. 認定者ラウンジという隠れ家
Venetian の奥まったところにある認定者ラウンジ。控えめな看板しかないので、まるで隠れ家のよう。見つけた時は少し達成感がありました。
ラウンジでは快適に過ごせます。
- 飲み物やお菓子が用意されている
- テーブルとコンセントが完備
- ゆっくりと休憩できる空間
ただし、これは意外な発見でしたが、認定者ラウンジに入らなくても会場内には十分な休憩スペースがあります。ソファやテーブルが随所に設置されていて、充電もできる。つまり、認定資格を持っていなくても、快適に過ごすことは十分可能なんです。
6. Keynoteは一つのショー
「Keynote なら、後でオンラインで見れば...」
いえいえ、それは大きな間違いです。
現地で体験する Keynote は、単なるプレゼンテーションではありません。一つのショーなんです。早めに会場入りすると、その空気感を肌で感じることができます。
会場の様子
- DJ による会場を盛り上げる音楽
- ライブバンドの生演奏
- 何千人もの参加者たちの熱気
- 新発表の瞬間の興奮
確かに、技術的な内容だけを知りたいのであれば、後でオンライン視聴でも十分かもしれません。でも、会場全体が一体となって新しい技術の発表を待ち望む空気感、発表の瞬間の高揚感。これは、現地でしか味わえない体験です。
7. GameDayは日本語でも楽しめる
「I want to join Japanese team...」
緊張しながら告げた一言で、なんと、日本語で会話できるチームに案内されたんです。
4人チームで行う GameDay。実は日本語話者だけでチームを組むことができるんです。これは心強かった。技術的な議論を英語でする必要がない分、純粋にゲームを楽しむことができました。
チームメンバーと一緒に問題を解いていく過程は、まるでハッカソンのよう。「あ、ここってこうじゃない?」「この問題は面白いね!」と、技術的な会話が飛び交います。英語の心配をせずに、技術に集中できる環境。これは貴重な体験でした。
8. 飲み物事情と対策
「5ドル!?この水一本で!?」
初日、喉が渇き切った私は、泣く泣く高額な水を購入することに。観光地価格を痛感した瞬間でした。
ただ、この苦い経験のおかげで、その後の対策はバッチリ。
会場内での水分補給術
- SWAG でもらった水筒を最大限活用
- 会場のあちこちにあるウォーターサーバーをチェック
- セッション会場には飲み物の持ち込み OK
- コーヒーステーションも随所にある
問題はイベント期間外。カジノやホテルの近くは全て観光地価格です。現地で安いお店を見つけるまでは、喉が渇いても我慢する...という少し不便な生活を強いられました。日本で買った水をスーツケースに詰めて持って行ってたらなんと安心できたことか。帰りのお土産用にスーツケースに空きを作るので、その分を水で埋めてしまいましょう。ただし国際線で預け荷物の液体に対して容量の制限があるので、そこは航空会社の情報を調べてください。500 ml の水を3本詰めて、それで干からびる前に安い水を買えるお店を見つける感じが良いと思います。
9. 食事は計画的に
「毎食50ドルは、さすがにキツイ...」
ラスベガスの食事事情は、想像以上にシビア。高級レストランは言うまでもなく、普通のレストランでも侮れない価格帯。でも、賢く立ち回れば、美味しく、かつ経済的に食事を楽しむことができます。
安く済ませるならファストフードかフードコートがおすすめです。中でも Caesars Forum 近くにある IN-N-OUT BURGER は一押しです。美味しい上に、10数ドルでハンバーガーとポテトとドリンクのセットが食べられるので安くて最高です。Venetian, Mandalay Bay, MGM にもフードコートはありますし他のホテルにもあるので、迷ったらフードコートで検索して街を歩き回ってみるのが良いと思います。
そして何より助かったのが、イベント期間中の朝食・昼食が提供されること。しかも、これが結構美味しい。あまり期待しすぎず、腹を満たすに十分な食事を取れると思ってください。これらを活用すれば、夕食だけ外で食べれば良い計算に。1週間の滞在費を大きく抑えることができました。
10. スーツケースのサイズ
「これくらいの荷物で大丈夫かな...」
行きは半分くらいしか使わなかったスーツケース。でも帰りには、かなりいっぱいになりました。
かさばる荷物
- SWAG の数々(パーカー、T シャツ、水筒など)
- アメリカのお土産
- 1週間分の着替え
- 防寒着
特に SWAG は予想以上の量になります。「これは使える!」と思って持って帰りたくなるものばかり。パーカーや T シャツは普段使いできるクオリティですし。
おまけ:現地で役立った豆知識たち
おまけとして事前に調べて対策しておいて役立った知識も紹介しておきます。
1. ラスベガスは非常に乾燥する
「なんで、こんなに喉が...」
ラスベガスが砂漠の中にある街だということを、身をもって体感しました。乾燥との戦いは、想像を超えるものでした。
活躍したアイテムたち
- のど飴
- ハンドクリーム
- リップクリーム
- のどぬ~るぬれマスク
特にホテルの部屋の乾燥には苦しみました。日本の冬の乾燥とは比べものにならないです。のどぬ~るぬれマスクは、まさに救世主でした。就寝中の喉を守ってくれます。日本から持って行って本当に良かったアイテムの筆頭です。
2. 意外な寒さとの戦い
「ラスベガスって、暑いんでしょ?」
これも大きな誤解でした。12月のラスベガス、特に朝晩は本当に寒いんです。日中は快適なのですが、朝晩は10度くらいまで冷え込みます。
幸い、私は事前情報を得ていたので、ウルトラライトダウンを持参。これが正解でした。薄手なのに暖かく、かさばらないので持ち運びも楽。会場内は空調が効いているので、脱ぎ着しやすい軽めの防寒着が重宝します。
気温と対策
- 朝:かなり冷える(ダウン必須)
- 日中:春秋物で快適
- 夜:再び冷え込む
- 会場内:空調が効いていて快適
3. 快適な靴選び
「歩くんでしょうか...?」
答えはイエス。それも、かなりの距離を。使い慣れたスニーカーで参加したのは、正解でした。
会場間の移動、立ち見での参加、展示会場の散策...。常に動き回ることになります。見た目重視の新しい靴で参加していたら、間違いなく後悔していたはず。
4. ホテルあるある
「えっ、歯ブラシないの!?」
アメリカのホテルは、日本のビジネスホテルとは勝手が違います。最初は戸惑うことばかり。
ないものリスト
- 歯ブラシ
- スリッパ
- パジャマ
- 加湿器
特に加湿器がないのは痛手でした。乾燥との戦いは、昼も夜も続きます。でも知ってたら対策できるので、必要なものは自分で持って行って快適に過ごしましょう。
5. re:Playという祭典
「パーティーってどんな感じなんだろう...」
re:Play は、re:Invent 最後の大イベント。小さめのショルダーポーチだけを持って参加しましたが、これが正解でした。
必要最小限の持ち物
- 財布
- スマホ
- パスポート
それ以外は一切必要ありません。なぜなら、会場には
- 豊富な飲み物
- 様々な食べ物
- 音楽とエンターテインメント
全てが用意されているんです。
テックジャイアントが主催するパーティーの規模の大きさを、身をもって体験できました。
6. 予約証は紙で持参
「スマホがあれば大丈夫でしょ」
そう思っていた時期が私にもありました。でも、意外と紙の予約証が役立つんです。
特に重宝したシーン
- 入国審査(パッと出せて、スムーズに通過)
- ホテルチェックイン(予約内容の確認が早い)
- イベント受付(通信環境に左右されない)
スマホの画面を必死にスクロールする代わりに、サッと紙を出せる安心感。特に長時間のフライトで疲れている時、この「手間の少なさ」は貴重でした。
7. Uberの便利さ
「タクシー乗り場、どこだろう...」
空港に着いて最初に使ったのが Uber。事前に日本でアプリをインストールし、クレカ登録までしていたので、スムーズに利用できました。
Uber の良いところ
- 行き先を説明する手間がない
- 料金が事前に分かる
- 到着時間の目安が表示される
- キャッシュレスで完結
特に、英語に自信がない身としては、行き先を説明する必要がないのが助かりました。
最後に re:Inventで得られたもの
「英語に自信がない」
「海外カンファレンス、ちょっと不安...」
私も最初はそうでした。実際、不安なことだらけでした。でも、実際に参加してみて分かったことがあります。
得られたもの
- 世界最先端の技術に触れる興奮
- 「もっと成長したい」というモチベーション
- 「自分にもできた!」という自信
そして何より、「完璧な英語力がなくても参加できる」という発見。
確かに、英語が流暢に話せたらもっと多くの出会いや学びがあったかもしれません。でも、今の自分にできることを精一杯やれば、十分に価値のある経験になるんです。
これから参加する方へ
不安な気持ちは、むしろ普通です。私も最後まで不安でした。でも、その不安に打ち勝つ価値が、絶対にあります。この記事を読んで準備したら、あとは、現地で思い切り楽しんでください!きっと、あなたなりの素晴らしい体験が待っているはずです。
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