Findy Team+とPR-Agent導入による生産性の向上 ― リードタイム短縮
はじめに
株式会社つみきの野田と申します。映画・ドラマ・アニメのレビューサービス「Filmarks(フィルマークス)」でエンジニアリングマネージャーを務めています。日々、新機能の追加や運用改善に取り組んでいます。
本記事では、弊社で導入している生産性可視化ツール「Findy Team+」の導入とその活用について、PR-Agentを使ったリードタイム短縮を紹介します。私たちチームの取り組みが、同じように課題を抱える方々の参考になれば幸いです。
この記事の内容はFindy Team+で紹介されたインタビュー記事を再編集したものです。インタビュー形式でより詳しく解説していますので、興味がある方はそちらもぜひご覧ください!
https://jp.findy-team.io/case/tsumiki/
Filmarksとは
FilmarksはiOS/AndroidアプリとWebで提供している、映画・ドラマ・アニメのレビューサービスです。
累計レビュー数は2億件を突破し、多くのユーザーに利用されています。
サービス開始から12年が経過し、開発規模が大きくなり、開発に携わるメンバーも増えてきています。その中で大きな課題として、開発のプロセスが可視化できていないという点がありました。
Findy Team+の導入
開発プロセスの可視化ができておらず、「なんとなく開発スピードが遅い」「もっと効率的にできるはず」といった抽象的な議論になりがちでした。そのため、具体的に何がボトルネックになっているのか、どこを重点的に改善するべきかが不明確な状況になっていました。
その解決手段を模索していましたが、自分たちでGitHubのデータを分析するのは手間がかかり、継続的に使うためのメンテナンスが難しいと感じ、なかなか踏み込みづらくなっていました。
そこで、「Findy Team+」を見つけ導入に至りました。
Findy Team+とPR-Agentの活用
PR-Agentの導入
弊社では、レビュー効率化を目的としてPR-AgentというAIレビューボットを導入していました。もともとはレビュー自体のAI活用を期待していましたが、現状はPRの難易度を5段階で分類してくれるeffort(弊社ではレベルと呼んでいます)を活用しています。
effort(レベル)は大きければ大きいほどレビュー負荷が高いPRであるという指標になり、これをもとに、「まずはレベル4以上のPRができたらレビュー前に分割できないか考えよう」と検討するプロセスを設け、「レベル1・2のようなレビューを増やしていこう」と改善につなげていく文化を醸成していきました。これによりPRのレベルを可視化でき、レビューしやすくなったことでレビュワーの負荷分散とレビュー数の増加を実現しました。
ここにFindy Team+を組み合わせることで、さらなる改善につなげられるようにしました。
Findy Team+によるPRレベルの可視化
Findy Team+ではラベルごとにPRをモニタリングすることが可能なため、分類したレベルごとにチームモニタリングを作成し、それぞれのリードタイムを計測しています。これにより全体の数値はもちろん、レベルごとのリードタイム分析が可能になりました。
その成果の一例として、最もリードタイムが長いレベル4のPRが多くあることがわかり、「レベル4のPRをできるだけなくす」という方針を決め、対応できるようになりました。
レベル4のPRをなくすための具体的な取り組み
まず、レベル4のPRが発生した場合は、レビューを進めずに「PRを分割できないか」を検討します。チーム内でも「このPRは大きすぎるので、分けたほうがいい」という共通認識を持つことができました。
また、PRを再考するという文化を築けたことで、「最近レベル4が増えてきていますね。issueの粒度が粗いのかも、複雑な実装をしているのかも」といったように、負債の予兆について以前よりも議論できるようになりました。
その結果、現在ではレベル4のPRがほとんど発生しなくなり、発生しても分割することで開発のリードタイム短縮を実現できました。

チーム比較機能を用いたレベルごとのPR数の推移
Findy Team+を導入した成果
リードタイムの短縮
最大の成果は、開発のリードタイムが大幅に短縮されたことです。導入前はPRのリードタイムは平均約14日ほどかかっていましたが、それが今では平均5日以内に収まるようになっています。
現在は次のステップとなる新しい仕組みを進めています。一時的にリードタイムがやや伸びている側面もありますが、それも含めて次への挑戦となっているため、チーム全体が納得感を持って取り組むことができています。

PR-Agent導入前後のサイクルタイム推移
レビュー数の増加と分散
また、チーム全体としてレビュー数が大きく上昇しました。以前は一部のレビュワーに頼っていましたが、現在はその偏りも減り、負荷が一部に集中するのを解消できていると感じます。可視化することで定期的に見直す機会があるのも、成果の一つと言えると思います。
定性的な部分でも「PRが滞留しにくくなった」「レビューの優先順位が明確になった」というような声が増え、チームの心理的安全性やモチベーションの向上にもつながっています。

各エンジニアのレビュー数の推移
今後の取り組み
現在は主にPR単位での開発プロセス改善に取り組んでいますが、今後はタスク設計の可視化にも力を入れていきたいと考えています。Findy Team+で提供されているタスクを分析する機能を一層活用し、タスクの作成からリリースまでの生産性向上に向けた改善に取り組んでいきたいと思います。
それと同時に、開発者体験の重要性にも着目しており、SPACE指標などの可視化にもトライしていきたいと考えています。
おわりに
本記事では、Findy Team+を用いた生産性向上の取り組みについて紹介しました。
今後も継続的な改善を通じて、サービスの成長とより良い開発環境づくりを進めていきます。
つみきではこのような活動を行いながら日々Filmarksの成長を支えるエンジニアを募集しています!
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