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Zennで会社テックブログを運用した振り返り

2024/01/28に公開

はじめに

CEOの与謝です。Publication機能がリリースされて以降、弊社のテックブログはZennを使って運用しています。テックブログ始めました系の記事をあげる完全にタイミングを逃したので、ここで振り返りの意味も込めて書こうと思います。「テックブログ始めました」系の記事は多いですが、振り返り系は調べる限り少なかったので、よかったら参考にしてください。

運用ルール

厳格なルールは設けていませんが、普段開発も同時に進めている中で良コスパかつ品質を優先し、以下のことを意識して技術記事を上げるようにしています。

  • 投稿のペースを設けない。
  • まとまったタスクが完了後、担当者が社外に共有できそうな知見を共有する。

テックブログを運用するにあたって、会社としてのモチベーションは
技術プレゼンスの向上 / エンジニア採用
を最終的な目標としていますが、担当者が技術記事でそれを達成することは難しいので、
Trendingにのること
を短期的な目標にしています。Trendingにのると、Impressionが増えLikeが付きやすく、開発者自身のモチベーション向上に繋がったり、社外からのフィードバックを得られるなど、ここの差は大きいです。

テックブログ運用を本格化させたきっかけ

細かい説明は省きますが、以下の技術スタックで構成されています。

全体  :モジュラモノリス、Github Flow
フロント:NextJS(AppRouter)
バック :Go、ECS Fargate
インフラ:AWS、CDK for Terraform(TypeScript)

2023年5月のVercel Shipでの発表により、Vercel社がApp Routerへの積極的な投資姿勢を見せました。弊社でも開発が大規模化しまだまだリリースまで遠いこと、リリース後の移行作業がより困難になることを見据えて、早期にApp Routerへの完全移行の意思決定をしました。

2023年5月:Vercel Ship
2023年6月:NextJS 13.4に上げ、App Routerへの移行開始
2023年7月:App Routerへの移行完了(Page Routerは完全に0になった)
2023年8月:App Routerを中心にZennブログ発信を強化

App Routerに完全移行したことで、それに対応したライブラリやパッケージを優先して導入するようになり、技術検証を行うコストがグッと下がりました(そもそも選択肢が少ないので)。
また、プロダクトにApp Routerを導入した話は当時ほとんど無かったこと、早い段階でのApp Routerに関する知見が将来的に会社やエンジニアのキャリアにとっての資産になると判断し、Zenn執筆を本格化させました。周りは翻訳やチュートリアル的な記事が多く、実導入という視点で書くよう心がけていました。
"App Routerの開発経験"を持った人は転職市場にはいないので、転職媒体やスカウト媒体を乱発するわけにはいかず、むしろこの技術スタックに振り切りたい人へのメッセージとして認知・インバウンドを取り込むため、集中して執筆するようになりました。

「Like」のもらいかた

私はZennの中の人ではなく、あくまで主観なので、参考としてください。

ユーザがLikeをつけるタイミング

「参考になった/勉強になった」と思うとLikeを付けてくれるようです。私自身も1ユーザとしてそうしていますし、メンバーに聞いても同じ答えが返ってきます。Github連携でマークダウン形式で執筆するというハードル(エンジニアとして最低限のラインですが)から、他の職種が入ってこれないため技術コミュニティとしての一定の信頼が厚く、やはり質を重視するべきだと思います。

Zennユーザのメインターゲット別の攻略法

  1. 駆け出しエンジニア
    学習中にインターネット検索で当たるか、プログラミングスクールの薦め等でアカウントを持っています。Web開発の初歩的・教科書的な内容や書籍の焼き回しのような内容だとLikeを付けてくれます。
  2. 個人開発者(実際に行っている人、憧れている人も含めて)
    Zennが個人開発から始まってることからこの層も多く、インフラコストを限りなくゼロに近づけることを美徳としてどこまで本格的に開発できるのか、みたいな内容だとLikeを付けてくれます。
  3. 好奇心旺盛で技術感度の高い若手エンジニア
    次の技術トレンドとして何がくるのか、自分の開発に取り入れられないか、という視点で見ていることが多く、そこに合致するとLikeを付けてくれます。

弊社では3に向けて執筆するようにしています。私がZennを知った2020年はまだ個人開発系が多かった記憶ですが。Publication機能ができてから企業も本格的に記事投稿するようになり。本格的な技術コミュニティになっていると感じます。

反対に、ある程度の年齢以上のエンジニアは、Twitterやはてブのテクノロジートレンドから流入して読者にはなるが、そもそもZennのアカウントを持っていない、あまりLikeを付けないなど、メインターゲットではないような気もします。技術負債との上手い付き合い方や抽象度の高すぎる話など、ベテランが好むような内容はZennではLikeが付きづらいように思います。

テックブログを運用して良かったこと

社内での効果

社内の開発指標や、技術選定の過程もテックブログとして公開しているので、余計な質問がなく開発スピードが上がりました。また会社のテックブログとしてはコンスタントにTrendingにのっているので、執筆したメンバーのモチベーションアップに繋がります。(そのはず!)

私自身は、執筆した内容について知り合いのエンジニアから詳しく教えてほしいという問い合わせをいただき、他社のCTOやテックリードとディスカッションを重ねることで、自分自身の新たな気付きや他社での応用事例を一緒に考え、自分自身のレベルアップにも繋がりました。今後もそういう相談は大歓迎です。

採用面

ここは効果絶大で、App Router振り切りたい勢の直接応募が増えました。フロントエンドはApp Routerに振り切っている先進的な技術スタックの会社という認知を取れたような気がします(まだまだ欲しい)。スカウト媒体やエージェントもフィーがかなり高く、そこよりは直接的な開発費や開発体験に投資していきたいと考えており、今までそういった媒体に全く頼らず、リファラルや直応募だけでエンジニアを集められたのは運が良かったなと思います。(私の感情としても、そんな中間フィーに大金を払っていては、開発メンバーに申し訳ない)

面接に関しても、優秀なエンジニアほどあらかじめZennの記事に目を通してくれるため、特定の記事の話題で盛り上がったり、前提となる技術スタックを知って面接に臨まれており、より込み入った内容で質疑応答できるようになりました。

オンボーディングコストの減少

新メンバーは入ってくるまでに公開しているZenn記事を目を通してくるため(むしろそういう人しか結果的に採ってない)、新メンバーが戦力化するまでの期間が以前より短縮されました。ここも嬉しいポイントでした。

最後に

ZennのPublicationアカウントを開設してから約1年、積極的に技術記事を投稿するようになってから約半年が経ちました。弊社ではフルに活用させてもらってますが、「優秀な若手エンジニアへの認知」という点では右に出るサービスはなく、開発者のcatnoseさんや運営のclassmethodさんには感謝いっぱいです。
バックエンドやインフラ、データサイエンスに関しても先進的な取り組みをしているので、今後そっち方面の発信も増やせて行けたらいいなと思います。

フィシルコム

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