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PoCとは?技術アイデアを検証する考え方を解説
はじめに
システム開発や AI の話の中でよく聞く PoC(ピーオーシー)。
なんとなく「お試しみたいなもの」という印象はありますが、
結局どういう位置づけなのか、曖昧な方も多いと思います。
本記事では、PoC の意味と役割についてまとめます。
PoC=「このアイデアはそもそも実現できるのか?」を確かめる段階
PoC は Proof of Concept(概念実証) の略で、
アイデアが技術的に成立しそうかどうかを、
小さく・早めに確かめるための実験
のことを指します。
完成品を作ることが目的ではなく、
「実現可能か?」「無理なのか?」を判断する材料を作る段階です。
補足:PoC とプロトタイプの違い
PoC と似た言葉に「プロトタイプ」がありますが、目的が異なります。
- PoC:実現可能性を確かめる(技術検証が目的)
- プロトタイプ:動くものを作って見せる(デモ・体験が目的)
PoC でやること
PoC では、次のようなことを確認します。
1. 技術的に実現できるか?
- AI モデルの精度は足りる?
- API レスポンスは間に合う?
- 仕組みそのものが成り立つ?
2. 実行したときのコストや課題
- 思ったより計算コストが高くないか?
- ネットワーク負荷は大丈夫か?
- 運用で致命的な問題は起きそうか?
3. やる価値があるか?
- 投資に見合う効果がありそう?
- 続けるべきか、一度止めるべきか?
ここまで見えてくれば、
「本格開発に進むべきかどうか」を冷静に決められます。
AI 開発で PoC がよく出てくる理由
AI の特徴は “やってみないと結果が読めない” こと。
- 音声認識がノイズに負けないか
- 画像分類AIが想定どおりの精度を出せるか
- ChatGPT API の応答品質が実際に使えるレベルか
これらは頭で考えるだけでは判断できず、
小さく試してから考える のが最も効率的です。
だから AI 分野では特に PoC という言葉が使われます。
PoC は AI だけの言葉ではない
PoC は IT 全般で利用される概念です。
- 新しい通信方法が使えるか
- 新しいデータ基盤の性能が足りるか
- インフラ構成を変える価値があるか
- WebSocket や Lambda の構成が成立するか
「未知なもの・不確実なもの」を
一度小さく作ってみて検証する のが目的。
PoC → MVP → 本番開発 という流れが一般的
よくあるのは次の流れです。
- PoC(可能性の検証)
- MVP(Minimum Viable Product:実用最小限の製品)
- 本番開発(実際にユーザーへ提供する)
PoC は「やる意味があるのか」を判断するステップ。
MVP は「最低限の形で動くもの」を作る段階です。
まとめ
- PoC = 概念実証(まず小さく検証する段階)
- 完成品を作るのではなく、可能性を見極めることが目的
- AI 分野では特に登場機会が多い
- IT 全般で利用される考え方
PoC を挟むと、
「作り込んだのに動かない」「思ったより精度が出ない」
といった失敗を避けやすくなります。
また、PoC で「無理」と判断できることも重要な成果です。
早い段階で方向転換できれば、大きなコスト損失を防げます。
本記事が参考になれば幸いです。
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