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自宅のネットワークを可能な限り10Gb Ethernetで構築してみたMemory

2021/02/19に公開
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この記事は一体?

記事のタイトルにもある通り、自宅のネットワークを可能な限り10GbEで構築しました。
その事を(うっかり)会社の同僚に話したところ、

「折角なのでZennあたりで経緯とか構成とかを記事にしてみたらどうですか???」

そそのかされた 促されたので、少しでも10Gネットワークを自宅で構築しようとする 特異な 方々の参考になるといいなと思い、上記について記事にするに至りました。

職業エンジニアですが、正直なところ、そこまでネットワークの知識が豊富でもないので、
インフラ上級者の方々から見たら「無駄な構成してるな」とかあると思いますが、
インフラ初級者が必死で構築した、くらいの温度感で読んでいただければと(露骨なハードル下げ)

ことの始まり

3年ほど前、有難いことに某大手ネットベンチャー企業に転職が決まり、
生まれてから30年近く過ごした地を離れ、思い切って戸建ての家を購入しました。

で、新しい家でネット回線を引く必要があるため、ISPを吟味していたところ、
何とも狙いすましたかのようなタイミングで、auひかりの 10G 回線の提供が自宅周辺の地域で
提供が始まっており、「これだ!!!!」と、値段や必要性も深く考えずに飛びつきました。
(最初はnuroの10Gもいいなと思ってたんですが、3年経った未だに提供されてない...)

が、いかんせん、
以前の家で利用していた各種ネットワーク機器は10GbEに当然のごとく対応しておらず、
ありとあらゆる構成を変更することになるのでした...(遠い日の思い出

こんな感じにしたいな〜、案

2018年当初に考えた内容

  • 通信速度が重視される機器・メインで利用する機器は、基本的に有線とする(PC/PS4 etc...)
  • メインで使うデスクトップPCは直で 10GbEの有線接続にしたい
  • 1階は 10GbEで繋ぐ必要のある機器は無いので、HGWの1Gポートからの配線でOK
  • 各部屋には、デスクトップに直接引く為の1本と、各機器に分配する為の1本の計2本とする
  • さすがに各部屋毎に10GbE対応ハブを置く金銭的余裕はないので、ギガビット対応ハブを配置する
  • 将来的に10GbE対応機器が増えた場合でも、構成をできる限り変えずに対応できるように

2021年に追加で検討した内容

  • au貸与のHGW組み込みのWifiが遅い&安定しないので、新しいwifiルータを追加検討
  • 去年(2020年)購入したOculus Quest 2がWifi6に対応しているらしいので、wifi6に対応しているルータにする
  • au貸与のHGWはひかり電話を利用している為交換不可。HGWから経由する形で二重ルータとして運用する。
  • HGWから入る10GbEポートと、スイッチに出ていく10GbEポート、最低2ポートの10GbEポート搭載必須

最低でも必要な機器

  1. 10GbEのWAN/LANを少なくとも1ポートずつ備えたHGW
  2. wifi6に対応した、10GbEポートを2つ以上備えるワイヤレスルーター
  3. 10Gで繋ぐ機器の数だけ、10GbEに対応したポートを備えたスイッチ
  4. 10Gの有線を接続する、PC分の10GbE対応NIC
  5. 機器間を接続する、Cat6A以上のLANケーブル(繋ぐ分だけ)

つまるところ、まるっと一式交換ですね。

現状(2021/2時点)での構成

ということで、最終的に以下のような構成になりました。
令和のご時世、wifiが主流となったこの時代に、バリバリ有線メインの構成となってます。
2021/2までは2階のワイヤレスルータが無く、HGWからの線がスイッチに直結していました。

こう見ると、実際に10Gでリンクアップしているのはデスクトップ2台だけで、10GbEって言ってもほぼ1GbEやんけ!って感じですが、とりあえず下地だけ作って後から色々付け足していこうかと思っています。例えばNASとか。
今後10GbEが普及して、各部屋に10GbEの機器が増えてきたら、各部屋のハブを10GbE対応のものに置き換えていければいいなぁ、と考えてます。

ちなみに、止むを得ない場合を除いてコンシューマ向け機器で全て構築する想定で考えてました。
結果、スイッチのみはビジネス向け機器になりましたが、他は全てコンシューマ機になってます。
最終的にデスクトップPCが10Gbpsでリンクアップして、無線も繋がるヤッター!を目標にしていたので、他の事についてはあまり深く考えていません。。

ネットワーク構成
※ スイッチから出ている各部屋のハブに繋がる線自体は10Gポートから出てます。リンク速度は1G。

各種ネットワーク機器について

10GbEのネットワークを構築するにあたって、
既存のネットワーク機器を一式、10GbE対応の製品に買い替えを行いました。
当初、

「まぁ10GbE対応と言ってもそんなに高くはつかないでしょ。所詮コンシューマ向けに販売してる機器なんだしHAHAHA」

とか能天気に考えてた自分を殴ってやりたい。一つずつ解説します。

① BL1000HW(モデム/ルーター兼用)

BL1000HW

お値段:auからのレンタル品の為0円

https://www.aterm.jp/kddi/1000hw/

auから貸与される、HGW(ホームゲートウェイ)です。
auひかりを契約するとレンタルできます。

WANポート及びLAN側1ポートが、10GbE対応のRJ45端子です。
その為、家庭内に10Gの有線を張り巡らしたい場合は、LAN側の10Gポートから、10G対応のスイッチへ接続した上で、分岐させる必要があります。
我が家では、LAN 10GbEポートをRT-AX89X→XS708Tへと繋いで、10G回線を分配しています。

ひかり電話を利用しない場合、このルータを自前のルータに置き換えて、MACアドレス偽装でネットに接続することも可能です...が、我が家はひかり電話を契約しているので、止む無くそのまま利用しています。

2021年までは組み込みのwifiを利用して無線LANを構成していましたが、
Draftとはいえwifi6に対応しているとは思えない不安定さと遅さだったので、思い切って高性能なワイヤレスルーターを別途購入しました。(下記参照)

② RT-AX89X(ワイヤレスルーター)

RT-AX89X

お値段:5万円前後

https://www.asus.com/jp/Networking/RT-AX89X/

世界中のゲーマーの強い味方、ASUS製のワイヤレスルーターです。
2021/2/12に発売されたばかりのHOTなルーターで、
一部からはベタニアベースみたいと揶揄されている、10G対応の高性能ルーターになります。
(上が寂しかったので、造花を置いてみました🌼)

10G対応のWAN/LAN(排他での切り替え)が1ポート、10GのSFP+が1ポート付いています。
上記にプラスして、1G対応のWANポートが1ポート、1G対応のLANポートが8ポートです。
wi-fiについては、最新規格のwifi6に対応、5ghz帯では最大8ストリームの4804Mbpsでの通信が可能という化け物性能になっています。

我が家では、10GbE WANに設定したポートにBL1000HWからの入力を取り、
SFP+のポートから、XS708TのSFP+ポートへと接続する形を取っています。
1Gポートについては、正直そんなに接続する機器がないので、遊ばせてる状態です。。

ルータ機能をONにしているため、1Fと2Fはネットワークが別になっています。
二重ルーターになるので、アクセスポイント設定での利用でもよかったんですが、

  • 折角ルーターとしての機能が満載なのに使わないのは非常にもったいない
  • HGWのセキュリティ機能は正直貧弱なので、このルーターのセキュリティ機能に置き換えたい
  • 外部からの接続のセキュリティ面を、組み込みのVPNとかでカバーしたい

等々の考えから、ルーターとして稼働させています。
まぁでも、正直なところ一番の理由は「折角高いお金出して買ったんだから、できれば全ての機能を使いたい」です。。

無線については、吹き抜け2階の廊下に置いてあるので、家中どこでもかなり感度が良いです。
iPad Proが、wifi6での2ストリーム通信に対応している為速度計測してみたところ、
ドア一枚隔てて、平均して800Mbps強程度のWAN速度が出ているので、優秀ではないでしょうか。
※ 2ストリームの理論値は1200Mbps

速度測定 for ipad pro
iPad proでの速度測定結果(Speedtest.netで計測)

③ XS708T(スイッチ)

XS708T

お値段:8万円前後

https://www.jp.netgear.com/business/products/switches/smart/XS708T.aspx

主にスイッチやNASといった、
ネットワーク機器を中心に展開するNetgear社製の安価(?)な10GbE対応スイッチです。
10GbE対応のRJ45ポートが8ポート、SFP+ポートが2ポート付いています。

購入当初(2018年の4月ごろ)では、フルポート10GbE対応でお手頃に購入できるスイッチがこの機種くらいしか無く、お手頃といっても8万近くかかる機器を購入するのにはそれなりに勇気がいりました。4ポートでは足りないし、その上となると8ポートになり、一気に値段が跳ね上がるので、かなり悩んだ記憶があります。。

このスイッチのSFP+ポートに、RT-AX89XのSFP+ポートからの入力を取り、8ポートある10GbEのRJ45ポートから各部屋に有線を引っ張っています。
スマートスイッチなので、ポート毎に細かい通信設定が可能となっています。
が、基本的にはジャンボフレーム通信用のフレームサイズの設定くらいしかしていません。
宝の持ち腐れ感が凄いですが、将来的にきっと何か役に立つ!と自分に言い聞かせて納得してます。

ちなみに、このスイッチの一番の欠点は、デフォルトのファンだと滅茶苦茶うるさいことです。
吹き抜けの廊下に置いていると、夜中とかに急に大音量で唸り出して割とビビります。
まぁ、本来はラックとかに入れて使う想定だと思うので、仕方ないですね...😥

④ X540-T2 / XG-C100C(NIC)

お値段:失念したけど恐らく X540-T2が1枚2万円強ほど、XG-C100Cが1万円強くらい

https://ark.intel.com/content/www/jp/ja/ark/products/58954/intel-ethernet-converged-network-adapter-x540-t2.html
https://www.asus.com/jp/Networking/XG-C100C/

デスクトップPCに有線接続するために必要な、Intel/ASUS謹製の10GbE対応NICです。
2018年当時は、正直この2択くらいしか選択肢になく、メインで利用するマイPC用にX540-T2を、母親の使うPC用にXG-C100Cを購入しました。

X540-T2は10GbE対応RJ45ポートが2ポートついていますが、スイッチから直結する1ポートしか使っていません。
10GbE対応のNASと繋げたり、リンクアグリゲーションしたり、と色々妄想しつつ、結局1ポートは遊んでる状態になっています。我が家の機器は大体何かしら遊んでいるのです。。

[番外] 有線ケーブル

有線ケーブルについては、1G経路だろうが10G経路だろうが、全てCat6Aで統一しています。
引っ越した当初に、1Fから2Fの吹き抜け廊下に配線を通すのが個人ではなかなか大変だったので、
1F → 2Fの線と、スイッチから各部屋に入る5本の線については、適当な業者に頼んで配線してもらいました。

10G構成を構築して感じたメリットとデメリット

10GbEそのもののメリットではない副次的なもの(ISP変更とか古い機器の買い替えとか)もありますが、今回構築するにあたって、以下のような効果を感じました。
というか、単純に機器が新しくなった事が割と大きい気がします。

メリット

  • 実測値は1G回線の時と比べてかなり早くなった
  • 複数の機器が同時に通信を行っていたとしても、そもそものキャパが大きいので余裕
  • wifi6が扱えるルータと合わせることで、対応機器の高速化が著しい
  • 機器を一新したことによって、機器間の通信レイテンシーが改善
  • オンラインゲーム等のpingの改善や、通信の安定性の向上
  • VRを無線で繋いでプレイする際にほぼ遅延がなくなり、遅延が致命的な音ゲーも余裕なレベルに

デメリット

  • とにかく10GbEに対応した機器の何もかもが高い
  • そもそも10G回線自体の利用料が高い(auひかりの10Gプランで 6,380円/月~)

と、いうことで

上記に書いたネットワーク機器以外の点でもいろいろと紆余曲折ありました(何度繋いでも10Gでリンクアップしない etc)が、無事家庭内10G配線を完了したのでありました。

なんだかんだ全体の構築をするのに、20万円近くかかった気がします。
一番値が張ったのはスイッチですね。今ならもっとお安いスイッチが出ているのかもしれませんが、当時としては手が出るスイッチがXS708Tくらいしか本当に選択肢がなかったのです。。

ただ、1G回線だった時と比べると実測速度も結構変わりましたし、お金をかけた甲斐はあったかなー、と思います。オンラインゲームのpingや、Oculus Quest2 を無線に繋いで、Virtual Desktop経由でデスクトップPCに繋いだ際の遅延も劇的に改善され、かなり快適になりました。
(10GbEの効果というよりは無線の機器変えたとか、ISP変えたとかが影響してる気がしますが)

正直、まだまだ一般家庭での利用はオーバースペック感が否めませんが、ロマンは間違いなくあるので、上記で記載したメリットに魅力を感じたり、お金が許せば、チャレンジしてみる価値はあるかなと思います。

その際に、少しでもこの記事の内容が役に立てば幸いです。😀

追記

  • 一旦ベースはできたので、次は10GbE対応のNASあたりを繋げてみたい(お金はない)

修正履歴

2020/2/20
・ネットワーク構成の各部屋への有線の色を青(10G)→ 紫(1G)に修正(実際のリンク速度)
・色々と文章を追記・修正

Discussion

ps4ssdps4ssd

160MHz現場利用できますでしょうか。私も買いましたが80MHzしか利用できませんでした。速度は1.2Gbps でした。160MHzだと 2.4Gbpsでるはずです。