Azure Database for PostgreSQL完全ガイド|特徴・料金・使い方をわかりやすく
はじめに
オープンソースデータベース「PostgreSQL」は、世界中で人気を集める高機能なRDBMSです。
Microsoft Azureでは、このPostgreSQLをマネージドサービスとして提供する「Azure Database for PostgreSQL」が利用できます。
本記事では、Azure Database for PostgreSQLの特徴や料金体系、使い方を、初心者にもわかりやすく完全ガイドします。これからAzure上でPostgreSQLを使いたい人は必見です!
Azure Database for PostgreSQLとは?
Azure Database for PostgreSQLは、Microsoft Azureが提供するフルマネージド型のPostgreSQLサービスです。
インフラ管理、パッチ適用、バックアップなどをAzure側が自動で行うため、利用者はアプリケーション開発に専念できます。
オープンソース版と互換性が高く、既存アプリケーションもスムーズに移行可能です。
なぜAzureでPostgreSQLを使うのか?
自前でPostgreSQLサーバーを運用する場合、OSパッチ適用、セキュリティ対策、スケールアウト設計など多くの運用負荷が発生します。
Azure Database for PostgreSQLを使えば、これらをマネージド化し、可用性・セキュリティも標準で確保できるため、運用コストとリスクを大幅に削減できます。
Azure Database for PostgreSQLの特徴
Azure Database for PostgreSQLには、単なるデータベースホスティング以上の価値があります。ここでは代表的な特徴を紹介します。
高可用性・自動バックアップ
Azureは99.99% SLA(サービスレベル保証)を提供しており、障害発生時も迅速なフェイルオーバーが可能です。また、7日〜35日間の自動バックアップ保存が設定でき、障害時のリストアにも対応します。
スケーラブルな性能
必要に応じてCPU・メモリ・ストレージを柔軟にスケールアップ・スケールダウンできます。初期構成を小さく始めて、後から段階的に拡張することも容易です。
セキュリティ機能が標準搭載
データ暗号化(透過的暗号化)、仮想ネットワーク統合、IPフィルタリング、多要素認証(MFA)など、企業向けに求められるセキュリティ要件を標準装備しています。
Azure Database for PostgreSQLの料金体系
Azure Database for PostgreSQLは、利用目的に応じた柔軟な料金体系が特徴です。
主に「Flexible Server」と「Hyperscale (Citus)」の2プランがあり、CPUコア数、メモリ量、ストレージ容量に応じて従量課金されます。
無料利用枠も存在し、学習や検証には最小コストからスタート可能です。リソースのスケールや停止・再開により、コスト最適化も柔軟に行えます。
Flexible Serverプラン
開発・検証〜中規模本番運用向けに最適なプランです。コンピュートとストレージを個別にスケーリングでき、アイドル時にはサーバーを停止してコストを抑えることも可能。
可用性ゾーンをまたいだ冗長構成にも対応しています。
Hyperscale (Citus)プラン
大規模なデータ量や高スループット要求に応えるプランです。
データを自動シャーディングして水平スケーリングを実現し、数TB〜数PBクラスのアプリケーションにも耐えられる設計になっています。分析・大規模SaaS向けにおすすめです。
料金シミュレーションのポイント
コストは「vCore数」「メモリ量」「ストレージ容量」「I/O量」で決まります。
稼働時間単位で課金されるため、使用パターンに応じた設計が重要です。事前にAzure Pricing Calculatorで試算しておくと安心です。
Azure Database for PostgreSQLの使い方
Azure Database for PostgreSQLのセットアップは直感的に行えるため、初心者にもおすすめです。ここでは、初めて利用する方向けに、最も基本的な手順をわかりやすく紹介します。
手順① サーバーの作成
Azureポータルで「Azure Database for PostgreSQL(Flexible Server)」を選択し、リソースグループ、サーバー名、リージョン、プラン(Burstable/General Purpose/Memory Optimized)を設定します。管理者ユーザー名・パスワードもこの時点で登録します。
手順② ネットワークとセキュリティ設定
- 公開アクセス(IPアドレス指定)またはプライベートアクセス(VNet統合)を選択
- ファイアウォールルールでアクセス許可IPを設定
これにより、意図しないアクセスを防ぎ、セキュリティを確保できます。
手順③ データベース接続・初期操作
サーバー作成後、psql
コマンドやAzure Data Studioから接続します。最初にデータベース・スキーマ・テーブル作成など、必要な初期構成を行い、アプリケーション連携の準備を整えましょう。
Azure Database for PostgreSQL導入時の注意点とポイント
Azure Database for PostgreSQLを導入する際は、以下のポイントを押さえておくとスムーズな運用が可能になります。特に商用システムでは、事前対策が必須です。
対応バージョンの確認
AzureではPostgreSQLのサポート対象バージョンが明確に設定されています。
例として、現在はPostgreSQL 11/12/13/14/15がサポート対象です。利用予定のアプリケーションが、対象バージョンと互換性があるか必ず事前確認しましょう。
メンテナンス時間帯の設定
Azureは自動でOS・データベースパッチ適用を行うため、影響を最小限に抑えるために「メンテナンスウィンドウ」を設定することが重要です。
ユーザー利用の少ない時間帯に指定しておくことで、稼働中断リスクを軽減できます。
コスト最適化の意識
サーバー停止時もストレージ料金がかかる仕様に注意が必要です。検証用途では必要ない時はサーバーを停止し、無駄なリソース利用を避ける工夫をしましょう。
また、自動スケールやAuto-Stop機能を組み合わせるとさらに効率化できます。
おわりに
Azure Database for PostgreSQLは、マネージドDBの強みを活かし、運用負荷を大幅に削減できるクラウドサービスです。
高可用性・スケーラビリティ・セキュリティが標準装備されており、開発者や運用担当者にとって非常に心強い選択肢となります。
本記事を参考に、まずは小規模構成からスタートし、Azure×PostgreSQLの強力な組み合わせを体験してみてください。
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