【入門】Azure Private Linkとは?概要・仕組み・設定方法まとめ
はじめに
クラウドセキュリティがますます重要視される中、Azureでは「Azure Private Link」という強力なネットワーク機能が提供されています。
Azure Private Linkを利用することで、インターネットを経由せずにAzureサービスや自社サービスへ安全にアクセスできるようになります。
本記事では、Azure Private Linkの概要から仕組み、設定方法までを初心者向けにわかりやすくまとめました。
Azure Private Linkとは?
Azure Private Linkは、Azureサービス(例:Storage、SQL Databaseなど)への通信を「パブリックIPアドレス」を使わず、プライベートネットワーク内で完結させる仕組みです。
これにより、インターネット露出ゼロの安全な通信を実現できます。企業システムのセキュリティ強化やコンプライアンス対応にも不可欠な技術となりつつあります。
なぜAzure Private Linkが必要なのか?
従来のクラウド通信では、Azureサービスへの接続時にパブリックエンドポイントを経由する必要があり、たとえアクセス制限をかけていてもインターネット経由のリスクが残っていました。
Azure Private Linkは、このリスクを完全に排除し、オンプレミスのような安全な閉域網通信をクラウド上で実現できるソリューションです。
Azure Private Linkの仕組みをわかりやすく解説
Azure Private Linkのコアコンセプトは、「サービスへのアクセスを仮想ネットワーク(VNet)内のプライベートIPアドレスにマッピングする」ことです。
これにより、ユーザーやアプリケーションはインターネットを意識せず、内部通信の感覚でAzureリソースにアクセスできるようになります。
Private Endpointとは?
Private Endpointとは、Azure Private Linkを利用する際にVNet内に作成される仮想ネットワークインターフェースのことです。
対象のAzureサービスに紐付く専用のプライベートIPアドレスが割り当てられます。これを経由して通信することで、外部露出を完全に遮断できます。
プライベートリンクサービスとは?
Private Link Serviceは、独自に開発したアプリケーションやサービスを、他のVNetや他のAzureテナントからセキュアに公開するための仕組みです。
自社アプリをPrivate Link経由で安全に利用させたい場合に活用します。
Azure Private Link対応サービス一覧(2025年版)
Azure Private Linkは多くのAzureネイティブサービスに対応しており、年々サポート対象が拡大しています。代表的な対応サービスを押さえておきましょう。
代表的な対応サービス
- Azure Storage(Blob、Queue、Table)
- Azure SQL Database
- Azure Cosmos DB
- Azure App Service
- Azure Key Vault
- Azure Kubernetes Service(AKS)
これらのサービスに対して、Private Linkを利用することで、インターネットを経由しない安全な接続が可能になります。
注意点
一部サービスやリージョンでは、Private Link未対応または追加設定が必要なケースがあります。必ず公式ドキュメントで最新対応状況を確認するようにしましょう。
Azure Private Linkのメリットとデメリット
Azure Private Linkは非常に強力な機能ですが、メリット・デメリットを正しく理解しておくことが重要です。用途に応じた適切な活用が求められます。
メリット
- セキュリティ強化:パブリックインターネット経由不要
- コンプライアンス対応:金融・医療業界にも適用可能
- ネットワーク設計のシンプル化:内部ネットワークの一部として管理できる
デメリット
- 設定や運用管理がやや複雑
- Private Endpoint作成に若干のコストが発生
- DNS設定の工夫が必要なケースあり(名前解決に注意)
Azure Private Linkの設定手順【初心者向けガイド】
Azure Private Linkの設定は、概念を理解すればそれほど難しくありません。ここでは、Azure Portalから設定する場合の基本手順をわかりやすく紹介します。
手順① Private Endpointを作成
- 対象リソース(例:ストレージアカウント)を選択
- 「Private Endpoint」を新規作成
- VNetとサブネットを選択
- 対象リソースへの接続を設定
手順② DNS設定の確認
Private Endpoint利用時には、対象サービスのDNSレコードが自動でプライベートIP向けに書き換わるケースがあります。
必要に応じて、独自のDNSサーバーやAzure Private DNS Zoneの設定も検討しましょう。
手順③ 接続テスト
仮想マシン(VM)などから対象サービスへの接続テストを実施し、正しくプライベートIP経由でアクセスできることを確認します。パブリックIP経由になっていないか要チェックです。
おわりに
Azure Private Linkは、クラウド時代におけるセキュアなネットワーク設計を支えるキーテクノロジーです。
特にセキュリティ要件が厳しいプロジェクトでは、Private Linkの活用がスタンダードになりつつあります。
この記事を参考に、ぜひAzure Private Linkを導入し、より安全で強固なAzure環境を構築してみてください。
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