【初心者向け】Azure VPN Gatewayとは?仕組み・設定方法をわかりやすく紹介
はじめに
クラウドとオンプレミスを安全に接続するためには、「VPN(Virtual Private Network)」が欠かせません。
Azureでは、仮想ネットワークと外部ネットワークをセキュアに接続するために「Azure VPN Gateway」が提供されています。
本記事では、Azure VPN Gatewayとは何か、その仕組みや構成要素、基本的な設定方法までを、初心者にもわかりやすく解説していきます。
Azure VPN Gatewayとは?
Azure VPN Gatewayとは、Azure仮想ネットワーク(VNet)とオンプレミスネットワーク、または他のクラウドネットワークを安全に接続するためのマネージドVPNサービスです。
IPsec/IKE(Internet Key Exchange)プロトコルを使用してトラフィックを暗号化し、インターネットを介しながらもプライベートかつ安全な通信を実現します。
企業のハイブリッドクラウド戦略において、欠かせないネットワークコンポーネントの一つです。
Azure Virtual Network Gatewayとの違いは?
「Virtual Network Gateway」という用語もありますが、これはVPN Gateway(VPNトンネル用)またはExpressRoute Gateway(専用線用)のどちらかを指す総称です。
本記事では、特に「VPN Gateway」について詳しく解説していきます。
Azure VPN Gatewayの仕組みと構成
Azure VPN Gatewayは、Azure仮想ネットワーク内にデプロイされる専用のVPNデバイス(仮想アプライアンス)として機能します。
トラフィックは暗号化され、Azureと外部ネットワーク間を安全に移動できるようになります。
主なコンポーネント
- 仮想ネットワーク(VNet):Azure上で構築されるプライベートネットワーク
- ゲートウェイサブネット:VPN Gateway用の専用サブネット
- ローカルネットワークゲートウェイ:オンプレミス側のネットワーク情報を定義
- VPN接続:Azureとオンプレミス間を結ぶトンネル接続設定
トラフィックの流れ
- クライアント端末やオンプレミスネットワークがVPNトンネルを確立
- トラフィックはIPsec/IKEにより暗号化されAzure VNetに送信
- Azureリソース(VM、App Serviceなど)にプライベートIPで安全にアクセス可能
Azure VPN Gatewayの種類と選び方
Azure VPN Gatewayには複数のSKU(サービスレベル)があり、用途に応じた選択が必要です。ここでは代表的な種類を紹介します。
VPN Gateway SKU一覧
- Basic:テスト・小規模用途向け
- VpnGw1〜5:スループット、同時接続数に応じたスケール
- High Performance:複数VPNトンネルや高スループット対応
用途別おすすめ
- 開発・検証環境:Basic、VpnGw1
- 小規模本番環境:VpnGw2
- 大規模・高可用性要件:VpnGw3以上推奨
ネットワークトラフィック量や将来の拡張性を考慮して適切なSKUを選びましょう。
Azure VPN Gatewayの基本設定手順【初心者向けガイド】
Azure VPN Gatewayのセットアップは、Azure Portalを使えば比較的直感的に行えます。ここでは、オンプレミスとAzure間のサイト間VPNを構築する流れをわかりやすく紹介します。
手順① 仮想ネットワークとゲートウェイサブネットの作成
- 仮想ネットワーク(VNet)を作成
- 「GatewaySubnet」という名前の専用サブネットを作成
手順② VPN Gatewayリソースの作成
- Azure Portalで「仮想ネットワークゲートウェイ」を作成
- ゲートウェイタイプを「VPN」、SKUを選択
- パブリックIPアドレスを自動作成
手順③ ローカルネットワークゲートウェイの作成
- オンプレミス側のIPアドレス範囲、パブリックIP情報を登録
手順④ VPN接続の確立
- VPN接続リソースを作成
- 事前共有キー(PSK)を設定
- Azureとオンプレミスルーター間でトンネルを確立
Azure VPN Gateway導入時の注意点とベストプラクティス
Azure VPN Gatewayは強力なネットワークサービスですが、導入時にはいくつかの注意点があります。ここでは失敗しないためのポイントを紹介します。
事前にオンプレミス機器要件を確認
オンプレミス側のVPNルーターやファイアウォールが、Azure VPN Gatewayの推奨設定(IPsec/IKE互換性)に対応しているか事前に確認しておきましょう。
BGP活用による動的ルーティング
大規模環境では、スタティックルーティングではなくBGP(Border Gateway Protocol)による動的ルーティングを活用することで、運用負荷を減らし可用性を向上できます。
可用性セット・ゾーン冗長を検討
ミッションクリティカルなシステムでは、ゲートウェイのゾーン冗長(Zone-Redundant Gateway)を利用して、可用性リスクを最小化しましょう。
おわりに
Azure VPN Gatewayは、オンプレミスとクラウドを安全に接続するために不可欠なサービスです。
本記事で紹介した仕組みや設定手順を参考に、まずは小規模なテスト環境からAzure VPN Gatewayを構築してみましょう。
ネットワークセキュリティの基本を押さえる第一歩として、非常に良い学習体験になるはずです。
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