💎

【初心者向け】Azure VPN Gatewayとは?仕組み・設定方法をわかりやすく紹介

に公開

はじめに

クラウドとオンプレミスを安全に接続するためには、「VPN(Virtual Private Network)」が欠かせません。

Azureでは、仮想ネットワークと外部ネットワークをセキュアに接続するために「Azure VPN Gateway」が提供されています。

本記事では、Azure VPN Gatewayとは何か、その仕組みや構成要素、基本的な設定方法までを、初心者にもわかりやすく解説していきます。

Azure VPN Gatewayとは?

Azure VPN Gatewayとは、Azure仮想ネットワーク(VNet)とオンプレミスネットワーク、または他のクラウドネットワークを安全に接続するためのマネージドVPNサービスです。

IPsec/IKE(Internet Key Exchange)プロトコルを使用してトラフィックを暗号化し、インターネットを介しながらもプライベートかつ安全な通信を実現します。

企業のハイブリッドクラウド戦略において、欠かせないネットワークコンポーネントの一つです。

Azure Virtual Network Gatewayとの違いは?

「Virtual Network Gateway」という用語もありますが、これはVPN Gateway(VPNトンネル用)またはExpressRoute Gateway(専用線用)のどちらかを指す総称です。

本記事では、特に「VPN Gateway」について詳しく解説していきます。

Azure VPN Gatewayの仕組みと構成

Azure VPN Gatewayは、Azure仮想ネットワーク内にデプロイされる専用のVPNデバイス(仮想アプライアンス)として機能します。

トラフィックは暗号化され、Azureと外部ネットワーク間を安全に移動できるようになります。

主なコンポーネント

  • 仮想ネットワーク(VNet):Azure上で構築されるプライベートネットワーク
  • ゲートウェイサブネット:VPN Gateway用の専用サブネット
  • ローカルネットワークゲートウェイ:オンプレミス側のネットワーク情報を定義
  • VPN接続:Azureとオンプレミス間を結ぶトンネル接続設定

トラフィックの流れ

  1. クライアント端末やオンプレミスネットワークがVPNトンネルを確立
  2. トラフィックはIPsec/IKEにより暗号化されAzure VNetに送信
  3. Azureリソース(VM、App Serviceなど)にプライベートIPで安全にアクセス可能

Azure VPN Gatewayの種類と選び方

Azure VPN Gatewayには複数のSKU(サービスレベル)があり、用途に応じた選択が必要です。ここでは代表的な種類を紹介します。

VPN Gateway SKU一覧

  • Basic:テスト・小規模用途向け
  • VpnGw1〜5:スループット、同時接続数に応じたスケール
  • High Performance:複数VPNトンネルや高スループット対応

用途別おすすめ

  • 開発・検証環境:Basic、VpnGw1
  • 小規模本番環境:VpnGw2
  • 大規模・高可用性要件:VpnGw3以上推奨

ネットワークトラフィック量や将来の拡張性を考慮して適切なSKUを選びましょう。

Azure VPN Gatewayの基本設定手順【初心者向けガイド】

Azure VPN Gatewayのセットアップは、Azure Portalを使えば比較的直感的に行えます。ここでは、オンプレミスとAzure間のサイト間VPNを構築する流れをわかりやすく紹介します。

手順① 仮想ネットワークとゲートウェイサブネットの作成

  • 仮想ネットワーク(VNet)を作成
  • 「GatewaySubnet」という名前の専用サブネットを作成

手順② VPN Gatewayリソースの作成

  • Azure Portalで「仮想ネットワークゲートウェイ」を作成
  • ゲートウェイタイプを「VPN」、SKUを選択
  • パブリックIPアドレスを自動作成

手順③ ローカルネットワークゲートウェイの作成

  • オンプレミス側のIPアドレス範囲、パブリックIP情報を登録

手順④ VPN接続の確立

  • VPN接続リソースを作成
  • 事前共有キー(PSK)を設定
  • Azureとオンプレミスルーター間でトンネルを確立

Azure VPN Gateway導入時の注意点とベストプラクティス

Azure VPN Gatewayは強力なネットワークサービスですが、導入時にはいくつかの注意点があります。ここでは失敗しないためのポイントを紹介します。

事前にオンプレミス機器要件を確認

オンプレミス側のVPNルーターやファイアウォールが、Azure VPN Gatewayの推奨設定(IPsec/IKE互換性)に対応しているか事前に確認しておきましょう。

BGP活用による動的ルーティング

大規模環境では、スタティックルーティングではなくBGP(Border Gateway Protocol)による動的ルーティングを活用することで、運用負荷を減らし可用性を向上できます。

可用性セット・ゾーン冗長を検討

ミッションクリティカルなシステムでは、ゲートウェイのゾーン冗長(Zone-Redundant Gateway)を利用して、可用性リスクを最小化しましょう。

おわりに

Azure VPN Gatewayは、オンプレミスとクラウドを安全に接続するために不可欠なサービスです。

本記事で紹介した仕組みや設定手順を参考に、まずは小規模なテスト環境からAzure VPN Gatewayを構築してみましょう。

ネットワークセキュリティの基本を押さえる第一歩として、非常に良い学習体験になるはずです。

📣 お知らせです!

このたび、Azure Functionsについての入門書を新しく書きました!
『ゼロから始めるAzure Functions入門|サーバレスAPIを作ろう』

クラウドやサーバレス開発が初めてでも、一歩ずつ進める内容になっています。これからAzureを学びたい方に、ぜひ手に取っていただきたい一冊です!

https://zenn.dev/falcode/books/f842a997cc4ae0

Discussion