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【初心者向け】Azure Blob Storageとは?仕組み・料金・使い方をわかりやすく解説

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Azure Blob Storageとは?クラウド上でファイルを管理できるストレージサービス

Azure Blob Storage(アジュール・ブロブ・ストレージ)は、Microsoftが提供するクラウドストレージサービスの一つで、主に非構造化データ(画像・動画・PDF・ログファイルなど)を保存・管理する用途に最適化されています。

「Blob」とはBinary Large Objectの略で、大容量のファイルデータを効率的に扱うために設計された格納単位のことです。Azure Blob Storageを使えば、オンプレミスでサーバーやNASを構築せずとも、クラウド上で安全かつスケーラブルにデータを管理できます。

特に、下記のようなシーンでの活用が進んでいます。

  • Webアプリの画像・動画ファイル格納
  • バックアップやアーカイブデータの保存
  • 機械学習やデータ分析のためのビッグデータ保管
  • IoTデバイスのログ送信先

Microsoft Azureのグローバルインフラにより、可用性・耐久性・セキュリティが高水準で保証されている点も大きな特徴です。

Blob Storageで扱える3つの「Blobタイプ」

Azure Blob Storageでは、データの種類に応じて3つのBlobタイプが用意されています。それぞれ用途が異なりますので、目的に合わせて選ぶことが重要です。

1. Block Blob(ブロックブロブ)

一般的なファイル(画像、動画、ドキュメントなど)の保存に適した形式です。大きなファイルはブロック単位で分割して保存され、後から特定のブロックだけを上書きできるため効率的です。1ファイルあたり最大約190.7TiBまで対応しています。

2. Append Blob(アペンドブロブ)

ログファイルのように、データを順番に追記していく用途に適しています。既存のデータを保持したまま、新しい情報だけを追加する処理が中心のケースに向いています。

3. Page Blob(ページブロブ)

仮想マシン(VM)のディスクなど、ランダムアクセスが必要なデータを格納する際に使用されます。データは512バイト単位の「ページ」で構成され、高速アクセスが可能です。

Azure Blob Storageの料金体系とアクセスレベル

Azure Blob Storageは、「使用した分だけ支払う」従量課金モデルで、保存データ量・アクセス頻度・リージョンなどによって料金が決まります。コストを最適化するためには、「アクセスレベル」の理解が非常に重要です。

3つのアクセスレベル(ストレージ階層)

Azureでは、データの利用頻度に応じて次の3つのストレージ階層が提供されています。

1. ホット階層(Hot Tier)

  • 最もアクセス頻度が高いデータ向け
  • 読み取り・書き込みコストが低い
  • 保存コストが最も高い

たとえばWebサイトの画像や、日常的に使うファイルなどはホット階層に最適です。

2. クール階層(Cool Tier)

  • アクセス頻度が中程度または不定期なデータ向け
  • 読み取り・書き込みはやや割高
  • 保存コストがホット階層より安い

月1~2回しかアクセスしないようなドキュメント類、システムログの保管に適しています。

3. アーカイブ階層(Archive Tier)

  • ほとんどアクセスしないデータ向け(長期保管)
  • 保存コストが最も安い
  • 読み取り時には「復元処理」が必要(数時間かかる)

アーカイブ階層は、数年保管が前提のバックアップや法令順守用データなどに向いています。

💡 ポイント
アクセス階層はBlob単位で指定でき、用途に応じて柔軟に切り替えることが可能です。

データの可用性と冗長性オプション

クラウドストレージの重要な観点が「冗長性=バックアップ体制」です。Azure Blob Storageは以下の4つの冗長オプションを提供しており、用途や求める可用性に応じて選択します。

1. LRS(ローカル冗長ストレージ)

  • 同一データセンター内で3重コピーを保持
  • 最も低コスト
  • データセンターの障害には弱い

2. ZRS(ゾーン冗長ストレージ)

  • 同一リージョン内の複数ゾーンにまたがってデータをコピー
  • 地域障害にも対応可能
  • 高可用性が必要なアプリに最適

3. GRS(地理冗長ストレージ)

  • 異なる地域にデータをレプリケート
  • ディザスタリカバリ(災害対策)用
  • 読み取りは1地域のみ

4. RA-GRS(読み取りアクセス可能なGRS)

  • GRSに加えて、セカンダリリージョンからの読み取りアクセスが可能
  • 高可用性とDR対策を同時に実現

Azure Blob Storageの使い方|アカウント作成〜ファイル保存まで

Azure Blob Storageは、Azureポータルから数ステップで簡単に開始できます。以下では、基本的な使い方を解説します。

① ストレージアカウントを作成する

  1. Azureポータルにログイン
  2. 左メニューの「ストレージアカウント」→「+作成」
  3. サブスクリプションやリソースグループ、名前・リージョンを指定
  4. パフォーマンス(標準/プレミアム)や冗長性(LRS/ZRSなど)を選択
  5. 「確認および作成」→「作成」

これで、クラウド上のストレージ領域が確保されます。

② コンテナーを作成する

Blobを格納するには、「コンテナー」と呼ばれる単位が必要です。

  1. 作成したストレージアカウントを開く
  2. 「データストレージ」→「コンテナー」→「+コンテナー」
  3. 名前・アクセスレベル(匿名アクセスの可否)を設定し、作成

③ ファイル(Blob)をアップロードする

  1. 作成したコンテナーを選択
  2. 「アップロード」ボタンをクリック
  3. ローカルのファイルを指定してアップロード

これで、クラウド上にファイルが安全に保存されます。REST API、Azure CLI、PowerShell、SDK(Python・JavaScriptなど)でも操作可能です。

Azure Blob Storageの代表的な活用例

Azure Blob Storageは幅広い分野で導入されています。以下は実際のユースケースです。

1. Webアプリの画像・動画ファイル保存

フロントエンドからアップロードされた画像や動画をBlobに保存し、CDNと組み合わせて高速配信する構成が一般的です。React/Next.jsとの相性も良好です。

2. バックアップ/災害対策(DR)

オンプレミスやVMデータのバックアップ先として活用できます。GRSやRA-GRSを使えば、万が一の障害にも対応可能です。

3. IoTデータの保管先

センサーやデバイスから送信されるログやJSONデータなどをAppend Blobで効率よく保存し、後段の分析処理につなげられます。

4. 機械学習・データ分析用途

Azure Machine LearningやSynapse Analyticsとの連携もスムーズ。大量の学習データ・出力ファイルの保存先として活用されています。

Azure Blob Storageは個人開発にも企業利用にも最適なクラウドストレージ

Azure Blob Storageは、柔軟な料金体系・高い可用性・セキュアな運用を兼ね備えたクラウドストレージサービスです。画像やログ、バックアップデータなどの非構造化データを安心して保管できるため、初学者から企業システムまで広く活用されています

「Azureで何かを始めたい」という方にとって、Blob Storageは最も手軽で、実用性の高い第一歩といえるでしょう。

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