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先端技術開発グループWANDの創立

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先端技術開発グループWANDの創立

株式会社エクサウィザーズで機械学習エンジニアをしております、加藤です。

この度、エクサウィザーズにて 先端技術開発グループ(通称、WAND)
という新たな開発グループを設立し、グループリーダーを拝命いたしました。

本テックブログの新設にあたり、本開発グループが中心的な役割を担っていること、
またエクサウィザーズの技術的指向性を決定していく組織の一つとなることから、
今回は本開発グループが創設された背景などからご紹介させていただきます!

PoCから運用へのハードルの高さ

これまでエクサウィザーズでは「AIぐるぐるモデル」と呼ばれる、プロジェクト開発とプロダクト開発を両輪で回すビジネスモデルで開発を行ってきました。
こうしたビジネスモデルの中で、近年の技術トレンドにより様々な課題が見えてきました。

guruguru.png
エクサウィザーズの「AIぐるぐるモデル」


大きな課題として、PoCからプロダクトへの移管の難しさが挙げられます。

機械学習のPoCは、一般的に約3ヶ月程度で実施されることが多いです。
この期間を実りあるものとするためには、単に機械学習モデルが特定のタスクでどのような精度を出すかだけでなく、機械学習モデルがどのように既存の業務で利用・運用されるのかまでを考慮に入れた上で効果測定を実施する必要があります。

エクサウィザーズでもこうした点を意識したPoCを実施してきましたが、
取り扱うプロジェクトが深層学習の特化型モデルを多用するものからLLMを組み込んだものが主流になったことや、様々な業種の様々な環境でのデプロイが必要になってきたことで、その重要性が一段と高まっています

これまでエクサウィザーズでは、機械学習エンジニアがクラウドインフラチームの管理する環境を用いてデプロイすることが多く、互いをあまり意識することなく開発できるような組織設計となっていました。
これによって、機械学習エンジニアは機械学習モデル開発に、インフラエンジニアはインフラ開発に集中できる環境で、それぞれの専門性を活かすことができるという良い面もありました。

一方で、中長期の運用を意識した開発を行う上では、互いの内部構造がブラックボックス化してしまったり、運用時のコミュニケーションコストが増大してしまったりと、技術的負債を生み出す要因となることがありました
こうした技術的負債は、「ぐるぐるモデル」のプロダクト化のフェーズにおいて大きな足かせとなり、その負債の解消に時間がかかってしまう原因となりかねません。

AIエージェント・LLMの登場で更に混沌とする環境の変化

最近バズワード化しているAIエージェントですが、これは前述した環境の変化に大きく影響を受けます。

多くのAIエージェントが実務的な価値を出すためには、LLMベースのエージェントがクラウドやオンプレミスの様々なデータソースやツールにアクセスし、自律的に実行する処理を選択し、目的を達成するまで駆動することが求められます。
AIエージェントを構築する原則として、マルチエージェント化し、各エージェントの役割を可能な限り制限することで、各エージェントが必要以上の処理をできないようにする必要があります。

ただ、エージェント同士はMCPやA2Aなどのプロトコルでつながっていることが多く、結果として役割の制限が難しいのが実情であり、インフラ側で強く制限するなどの対応が求められます
一つひとつのエージェントはLLMによって構成されているため、処理が長くなればなるほどコストは増大していきます。
さらに、データのアクセス権限が緩いと、不適切なデータアクセスなどが発生して、変更してほしくないデータを改変してしまったり、勝手に権限を変更してしまったりと、考えただけでも恐ろしいことが起きてしまう可能性があります。

また、近年MCPやGoogle Agent Development Kitなどの新たなフレームワークやプロトコルが主流になりつつある中で、AIエージェントの「正しい開発方法」は流動的に変化し続けています。
各社が利用できるクラウドサービスにも違いがある中で、それぞれにおけるベストプラクティスを考える必要も出てくるでしょう…。
コーディングエージェントもどんどん進化し、各社が書くコード量もますます増えていきます…。
その中で、LLMやAI自体は日々進化し、言語から画像・音声・テーブルデータ、さらには3次元データなどにも対象を広げており、それらに対しても適切なベストプラクティスを考えて…。

…言語化するだけで、めまいがするような混沌が広がっています。(笑)

openai_wand.jpeg
GPT-4oでこの章の文章を生成した結果

gemini_wand.jpeg
Gemini 2.5 Proでこの章の文章を生成した結果

(OpenAIとGeminiにここの章の文章から画像生成してみましたが、ずいぶん印象が違いますね。(笑))

先端技術開発グループの目指す姿

エクサウィザーズがより効率的に開発を実施し、世の中に良いプロダクトを送り出していくためには、世の中から鮮度の高い情報をインプット・アウトプットし、PoCからプロダクトへのつなぎこみをスムーズに行う必要があります

こうした役割を担うのが、先端技術開発グループ(通称:WAND) です。

AIエージェント・MLを中心に、新規技術開発やそれに必要なインフラや規格の標準化など、エクサウィザーズの技術戦略の根幹となる技術開発・技術検証を、全社の各部署と連携しながら推進していくことを目的としています。

通称のWANDは、ExaWizards Advanced INnovation & Developmentの略で、
エクサウィザーズの社名にちなんで、
ウィザーズの道を切り開く杖になりたいという思いを込めました!

具体的には、以下のような3つの柱で開発を進めております。

技術探索: エクサウィザーズが解くべき社会課題を発見するための情報を収集・整理

  • 先端技術の技術検証・比較をいち早く実施し、鮮度の高い情報を社内外に向けて発信。
  • エクサウィザーズが解くべき社会課題を技術面から発見し、技術戦略の検討に貢献。

仮説検証:AIを用いたサービスをより効果的に提供するために、新たな技術を検証・開発

  • 様々な業務プロセスを効率化できる先端技術を検証・開発。
  • プロジェクトやプロダクトのMLタスクを自律的に解くことで、社内のタスクを効率化。

技術提供:作った技術を、他チームのプロジェクト・プロダクトに効率的に提供するためのインフラ構成の検証

  • プロジェクト:作った新規技術を効率的に提供し、デリバリー効率を向上。
  • プロダクト:作った技術の効果的な提供方法を検証し、プロダクトの機能性を向上。
  • 全社で重要な項目は標準化し、社内全体への浸透を推進。

wand.png
WANDの役割(イメージ)

所属メンバーは非常に多岐にわたっており、

  • AWS認定12冠を持ち、外部の研究コミュニティで研究グループをリードする機械学習エンジニア
  • AWS認定12冠を持ち、先端技術に関する著書を多数執筆する機械学習エンジニア
  • AWS認定12冠を持ち、モバイルアプリ開発やクラウド開発を専門とするソフトウェアエンジニア
  • ロボティクス→画像→大規模モデルと様々な分野を渡り歩いて成果を出す博士卒の機械学習エンジニア
  • 3DCGの研究分野からICLRなどトップカンファレンスに論文を採択されてきた最適化の専門家

など、非常に個性あふれるメンバーで構成されています。
それぞれがかなりユニークなタスクを持っている中で、前述の大きな目標に向かって活動しているグループで、楽しく活動しています!

最後に

先端技術開発グループの具体的な活動については、これから本テックブログにて発信していきます!
ぜひ度々見に来ていただけると光栄です。

エクサウィザーズ・先端技術開発グループでは、短期・長期のエンジニアインターンを募集しております!

  • 先端技術をどう実社会の課題解決につなげられるかを真剣に考えていきたい方
  • 様々なクラウドサービスを活用しながらインフラや運用を考えたい方
  • LLM、画像、3次元復元、インフラなど様々なスペシャリストに囲まれて仕事をしていきたい方

こうした環境で一緒に開発することに興味を持っていただいた方は、
ぜひ弊社採用担当者までご連絡ください!

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