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レトロスペクティブについて考えてみる

2023/02/22に公開

エビリーのプロダクト開発本部で「kamui tracker」チームの渡辺です。
2回目の登場です。

前回の記事では自身がスクラムマスターの資格「PSM Ⅱ」を取得したことを記載しました。
その記事を書いたのがスクラム導入後約1ヶ月頃でしたので、
kamui trackerチームがスクラムを導入してから約半年が経過したことになります。
今回は前回に引き続きスクラムに関連するテーマを取り上げようと思います。

もし前回の記事に興味がありましたら下記のリンクからご覧ください。

スクラムマスターの資格を取った話

「レトロスペクティブ」

スクラムでは「スプリント」と呼ばれる一定の期間の間に様々なイベントが開催されます。

  • スプリントプランニング
  • デイリースクラム
  • スプリントレビュー
  • レトロスペクティブ

レトロスペクティブはスプリントの後半に実施されるふりかえりミーティングのことです。
直近のスプリントで挙がった課題や良かったことをふりかえり、
次のスプリントでどのように改善できるか話し合います。

ふりかえりには様々な手法があり、それぞれにどのような特徴があるのか、
kamui trackerチームで実施してみてどうだったか、
個人的な感想も交えて紹介していこうと思います。

様々なふりかえり手法

ふりかえり手法は下記のようなものがあります。

  • KPT(Keep, Problem, Try)
  • YWT(やったこと、わかったこと、次にやること)
  • FDL(Fun, Done, Learn)
    ※この他にも色々あります。

この中でkamui trackerチームが実際に使ったことのある手法は
KPT、YWTです。

KPT

kamui trackerチームでは最初にKPTを使ってレトロスペクティブに
取り組みました。
スクラムを運営していく上で比較的メジャーなフレームワークかと思います。

KPTのメリットは継続的な改善のためのアクションに繋げやすいということが
挙げられると思います。

KPTではKeep =「継続すべきこと、良かったこと」、Problem =「課題、悪かったこと」
Try =「改善案」というテーマで参加するメンバーが意見を持ち寄り、議論します。

最終的にTryの議題で出てきた改善案の中から次のスプリントで実行できそうなものを
ピックアップして実行するタスクとします。
このタスクに取り組むことで継続的にチームを改善していきます。

実際にKPTをやってみた感想

kamui trackerチームでKPTを実施してみて良かったと思った点は
議論が活発になったということです。

kamui trackerチームではレトロスペクティブに1時間程度使っていましたが、
毎回時間ギリギリか少しはみ出るくらいたくさんの意見がメンバーから挙がりました。

当時はスクラム導入直後ということもあり、各メンバーが感じる課題が
たくさんあったのかもしれません。

逆に反省すべき点としては、たくさん挙がった課題に対して改善のアクションが
少なかったということです。
ミーティングではたくさんの課題が挙がりますが、その中で実際にアクションに繋げられるのは
1スプリントあたり1つか2つ程度です。
それ以上の改善タスクを作成してしまうと次のスプリントプランニングに
支障をきたしてしまうため、優先的な課題や実現可能なものを選びます。
選ばれなかったものの中にはそのまま放置されてしまった課題もありました。

YWT

KPTをしばらく継続した後、YWTというフレームワークに切り替えました。
切り替えた理由としては、レトロスペクティブのマンネリ化防止と、
他のプロダクトチームがYWTを実施しており、試してみてはどうかとアドバイスを
いただいたからでした。

YWTは日本能率協会コンサルティング(JMAC)で生み出された手法でKPTと比べて次のようなメリットがあるようです。

  • 各メンバーが何をしているか把握しやすい
  • 知識の共有ができる
  • ポジティブな雰囲気になりやすい

Y(やったこと)W(わかったこと)T(次にやること)をテーマに議論を
進めていきます。
とてもシンプルに見える内容ですが、それぞれのテーマについてJMACのホームページで
定義されています。
YWT(やったこと・わかったこと・次にやること)

実際にYWTをやってみた感想

率直な感想を言うと個人的にはKPTとさほど差を感じませんでした。
YWTの「わかったこと」に書く内容について、ポジティブな発見を書くか、
反省としての気づきを書くか、によって話の展開がポジティブになるかネガティブになるかが
決まるかと思います。

kamui trackerチームは若いメンバーが多いこともあり、ふりかえりの時間で
「わかったこと」に反省点を書く傾向がありました。
それにより議論の展開がKPTに似通った形になったかなと推察しています。

YWTをやって良かったと思うことは個人個人が抱えているタスクの状況が
より鮮明に共有されるということです。
タスク状況に加え、それに対して担当者が考えていること、次のアクションはどうするか
といった一連の流れとして報告されます。

ただ、一部、デイリースクラムと役割が被っている感も否めなかったので、
我々が行ったYWTのふりかえりについては何かしらの改善点があるかもしれません。

FDL

次に挙げるFDL(Fun, Done, Learn)はkamui trackerチームが
今後試してみたいふりかえりフレームワークとなります。

実施方法

FDLでは下記の項目をふりかえります。

  • Fun: 楽しかったこと
  • Done: 完了したこと
  • Learn: 学んだこと

下の図はふりかえる項目をそれぞれ領域に分け、
重なる領域を表した図になります。
image

各メンバーは自身が行ったことを付箋などに書き出し、
この図のどの部分に該当する内容か考え、振り分けていきます。

振り分けられた付箋を眺め、他のメンバーの状況を把握したり、
情報を共有したり、新たな気づきを得るなどしてふりかえっていきます。

事前に準備するようなことはありませんが、
オンラインで開催するような場合はjamboardやホワイトボードツールといった
複数名で一度に編集できるツールがあると便利でしょう。

kamui trackerチームでやる場合にFDLに期待すること

これまでkamui trackerチームでは2つのふりかえりフレームワークを
実施してきました。
その中で私が気づいたのは「各メンバーが自身に対して厳しい」ということでした。

各メンバーのふりかえりの内容は「気をつけたいこと」「上手くいかなかったこと」が
多い印象を受けています。
「反省」はふりかえりに必要な要素ですが、過剰なまでの「反省」は
チームやメンバー自身の自信や自尊心の欠如を招くと考えており、
自主性や能動的な行動の縮小に繋がりかねません。
ふりかえりの場がある種の「懺悔」の場になってしまうのは残念です。

個人的には各メンバーがどういう作業が得意か、どういう作業が好きか、
という情報をふりかえりを通して共有していきたいと思っています。
FDLであれば、このタスクは楽しかった、このタスクで新しいことが学べた、
という情報が共有でき、各メンバーのやりたいこと・得意なことも
チームに浸透していきます。

好きな仕事・得意な仕事がしやすいチーム環境にもなりやすいかと
思うので、自ずとチーム全体のパフォーマンス向上につながるのではないか
と期待しています。

まとめ

レトロスペクティブのふりかえり手法について、
kamui trackerの状況を交えながら紹介してみました。

ふりかえり手法は様々ありますが、ずっと固定の手法のまま
運営されているチームも多いかと思います。
皆さんも一度「ふりかえり」のふりかえりをしてみてはいかがでしょうか。

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