早押し筋を鍛える
はじまり
知人が町の筋肉屋さん[1]になりました
同時に始まったYouTubeチャンネルもトピックが大変キャッチーでおもしろいのでぜひ見てみてください
(これを読んでいる方々は彼との共通の知人ばかりで宣伝効果はほとんどなさそうですが……)
なにか開店祝いをできないかなーと
ホームページやチラシを眺めます
趣味は筋トレとクイズ
ほーん
筋トレ✖クイズね、なるほどなるほど
さらに
彼のジムには大型の器具もたくさん導入されておりとても充実した環境のようですが、
見たところクイズに必要な筋肉を鍛える器具は無いようです
というか世の中を見渡してみても
そんなものは存在しないようです
じゃあ作るしかないね?
つくる
早押しクイズに必要な筋力はやはりボタンを押す力でしょうか
QuizKnock(2019)[2]では手の甲、頭、喉、手、エラ、尺骨茎状突起、拳、後頭部、左手の薬指、体、ほくろ、親指の爪によるボタンの押下の方法が検討されている。同じくQuizKnock(2019)[3]によるアゴでのボタン押下も有効であることが示唆されており、『なんちゃら靭帯損傷のかんちゃら骨骨折』中の伊沢(2019)[4]によると「結構ボタンは脚で押してるから」ともある通り、脚の筋肉も重要であることが広く知られている
しかしながらこれ以外の多くの文献[5][6][7][8]においては指によるボタンの押下の有効性が示されていることから現時点においてはボタンの押下は指で行うのが一般的であると考えられる。したがって本研究では、指によるボタンの押下にあたえる指の筋力強化の影響について検討することとする
買う
となると握力や指の力を鍛える形のグッズが参考になる気がします
指の力を鍛えるグッズといえばやはりこういうものでしょうか?
どうせ破壊して部品だけ使うことになるのが目に見えているので
分解しやすいように指ごとにパーツが分かれていて、
かつ、一番安くてチャチそうなものを買います
貶めたのでリンクはこっそり貼っておきます
そのほかに必要なもの
完成系の見た目は定番の早稲田式クイズ早押し機をベースにしたいと思います
早稲田式クイズ早押し機風自作早押しボタン
そのためには以下が必要です
作りたい人向け部品リスト
部品名 | 型番 | 参考URL |
---|---|---|
ケース | SW-125B | https://akizukidenshi.com/catalog/g/g117908/ |
押しボタン | VAQ4RK | https://www.marutsu.co.jp/pc/i/953572/ |
ランプ | Zusen TB5051-R 12v | https://ja.aliexpress.com/item/32753628589.html |
Arduino | promicro | https://ja.aliexpress.com/item/1005007556103561.html |
スイッチ | なんでも | https://amzn.asia/d/98euvzX |
整流用ダイオード | なんでも | https://akizukidenshi.com/catalog/g/g100934/ |
抵抗 | 10k | なんでも |
抵抗 | 1k | なんでも |
リレー | TLP240GA(F | https://www.marutsu.co.jp/pc/i/30652498/ |
スピーカー | ケースに入る大きさならなんでも | 著者はコレについてきたものを使った |
電池 | 9V | https://akizukidenshi.com/catalog/g/g103257/ |
電池スナップケース | BH-9V-1A | https://akizukidenshi.com/catalog/g/g102674/ |
ケース、押しボタン、ランプさえ一緒ならそれっぽくなります | ||
他のパーツは同等のもので置き換え可能だと思います |
作ってみる
ボタンを押す力を鍛えるためには
ボタンを押す動作に負荷がかかればいい気がします
機構
試作1
単純な話がこう
試作1号機
ボタンのアクチュエーター部分に
フィンガーグリップから取り外したバネを仕込んでみる
これは以下の理由で失敗でした
- バネが内側まで入るようにアクチュエーターの内側を削ってもなお
ストロークが短く、バネを短く加工する必要があり負荷が低くなってしまう - アクチュエーターを固定するための爪がバネがの力に耐えられず黒ひげ危機一髪
アクチュエーターと呼んでいるのはこの部分
試作2
スイッチのVAQ-4R-Kは以下のような構造になっています
VAQ-4R-Kの3D-CADデータ
実は画像の青い部分が実際のスイッチで、
赤いアクチュエーター部分が押されてこのスイッチを押し込むことで
回路が繋がったり途切れたりするような仕組みになっています
そしてこのスイッチ本体とアクチュエーターを支えている部分は
ネジで止まっているだけなので以下のように分離できます
VAQ-4R-Kを分解してみる(青いところがネジ)
なんかこの間に並行に二枚の板を入れてその間にバネを入れたらいけそうな気がする
The image is an image
作るもののイメージはこんな感じ?
回路
回路はブレッドボードで試作していきます
回路の試作
実装
機構
色々紆余曲折ありましたが上記のプレートとベースはこうなりました
完成図(3Dデータ)
実際に印刷したもの(写真はまだ調整途中のもの)
紆余曲折
3Dプリンターを買ってから自分で本格的に3D-CADを使って設計して
治具的なものを作ったのは初めてだったので勉強になりました
回路
回路図はこんな感じ
たぶん合ってると思う
実装した基板はこんな感じ
実装した回路
ランプは5V直でもがんばれば点かないことはないと思いますが
明るい方が楽しいので電源には9Vを採用し、
フォトリレーを用いることで9Vでランプを点灯しています
プログラム
Zennで記事を書いておいてここを詳しく解説しないんかいというツッコミもありそうですが、ソースコードをGitHubに公開していますので細かいところはこちらを参照してください
機能としては- デモ機能
- ボタンを押すと音を再生し、一定時間ランプを点滅する
- PCモード
- USB経由でパソコンに接続するとEnterキー(Spaceキー)として動作する
2つの機能を実装しました
これらの機能の切り替えは電源に9Vが供給されているか、
5Vが供給されているかを起動時に測定することで自動で判定します
- USB経由でパソコンに接続するとEnterキー(Spaceキー)として動作する
このプログラムと回路自体は飾っておく用のデモ機や
オンラインクイズなどで使う押しボタンとして使えると思いますので、
早押し筋を鍛えたい皆さんだけでなくクイズを楽しむみなさんにも役に立つかと思います
おわり
という感じで今回は筋トレ早押しボタンを作ってみましたカスがよお飛んで見てね)
めちゃくちゃ堅い
一般男性だと片手ではなかなか押せないぐらい重い
手が足りなかったのでめちゃくちゃ接写になってしまったデモ動画
執筆時点では本人にはこういうの作ってるんですよという話はしているものの実物はまだ渡していないのでおもしろがってもらえるのか楽しみです
それでは
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