「ユニバーサルデザインなのか、インクルーシブデザインなのか、わからない」と言われたので、調べた。
ユーザーに使いやすいプロダクトを提供したい。という相談を受けることが以前と比べ増えてきました。
そのなかで、「ユニバーサルデザインなのか。インクルーシブデザインなのか。なんだかよくわからないんだよね。」という声をよく聞くようになりました。
結論をいうと、考え方やアプローチは違っても、さまざまな人が使いやすい状態を作る。という目指す方向性はみな同じだと考えます。
実戦する上で考え方どのように違うのか。何を対象としているのか。具体的に理解することで、戦略への関連付けや、プロジェクト方針への反映がしやすくなるのかもしれないと思い、関連する考え方調べ、まとめることにしました。
ユニバーサルデザインとは
ユニバーサルデザインは何かに特殊化された設計ではなく、最大可能な限り、すべての人々に利用しやすい製品と環境サービスのデザインのことをいいます。
つまり、特定のユーザーに対して、カスタマイズされたものを設計する。という思想ではなく、
誰しも特定の状況に陥る可能性があるから、包括的に設計しておくことで、
様々な状況に対応できる製品・サービスを作るように設計していこう。というアプローチのようです。
ユニバーサルデザインをどのように実現していくのか、その方向性も設定されています。
ユニバーサルデザイン7原則
原則1:誰でも公平に利用できること
原則2:使う際の自由度が高いこと
原則3:使い方が直感的にわかること
原則4:必要な情報がすぐに理解できること
原則5:ユーザーのうっかりミスや失敗も受けいられらるデザインであること
原則6:無理な姿勢をとることなく,少ない力でも楽に使用できること
原則7:アクセスしやすいスペースと大きさを確保すること
インクルーシブデザイン
年齢、人種、経済状況、文化、教育、言語などさまざまな背景を持った人を理解し、排除せず、包括的にデザインをしていくことです。
多様な人々が排除されないようなデザインを作るには、個々人が持つ独自の視点や感情、思考を理解するステップがとても重要になります。そのため、プロジェクト初期段階から対象者と一緒に、共創するというプロセスを踏んでいくことが多いようです。
インクルーシブデザイン7原則
原則1:同等の体験を提供する
原則2:状況を考慮する
原則3:一貫性を保つ
原則4:利用者に制御させる
原則5:選択肢を提供する
原則6:コンテンツの優先順をつける
原則7:価値を付加する
バリアフリーとは
特定の利用者の障害となるモノゴトを取り払うアプローチです。それゆえ、特定の利用者専用の商品・サービスができあがることが多くなります。
特定の利用者は、障がい者の方を示すことが多く、バリアフリーというワードも、住宅建築用語として登場しているようなので、段差などの物理的障壁の除去を言うことが多いようです。一方で、最近では社会的、制度的、心理的な障壁の除去という意味でも使われることが増えているようです。
身のまわりにある4つのバリアの例
- 物理的なバリア
- 制度的なバリア
- 文化情報面のバリア
- 意識上のバリア
アクセシビリティとは
英語のaccessibilityは、 手の届きやすさ、近づきやすさ、などの意味を持っています。
転じてアクセシビリティでは製品やサービスの利用しやすさという意味でも使われているようです。
アクセシビリティと似た言葉にユーザビリティという言葉があります。
アクセシビリティは、ユーザーがサービス・商品にどれくらいアクセスしやすいかという意味でも使われ、
ユーザビリティは、アクセス可能な状態である上で、指定されたユーザーが、指定された環境下で、どれだけ利用しやすいか。わかりやすいか。 という意味で使い分けられているようです。
アクセシビリティ4原則
原則1:知覚可能
原則2:操作可能
原則3:理解可能
原則4:堅牢(けんろう)
参照
トコトンやさしいユニバーサルデザインの本 第3版 (B&Tブックス―今日からモノ知りシリーズ) [単行本]
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