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実務で使える汎用プロンプトテンプレートの設計思想と使い方(各セクションはなぜ必要?)
AIを実務で活用しようとすると、「毎回プロンプトを一から書くのが大変」「結果が毎回バラバラになる」といった課題に直面します。
本記事では 汎用プロンプトテンプレート を紹介し、各セクションがなぜ必要なのかを紹介します。
また、各設計判断を裏付けるために、信頼できる外部リファレンスへのリンクも添えています。
🎯 テンプレート全体(完成形)
以下は、実務向けに設計されたテンプレートの構造です。
※ この記事内では内側のコードフェンスも含めた構成をそのまま掲載しています。
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allowed-tools: ["Bash(*)", "Read", "Write"]
description: "<アシスタントが実現する具体的な目的と成果物の形式を記述>"
argument-hint: "<ユーザー入力の形式・期待値(例: URL, JSON, Command)>"
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## あなたの役割
指定されたタスクを安全かつ再現可能な形で実行し、
最終成果物を指定形式(例: Markdown, JSON, ファイル出力)で提供します。
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## 実行手順
1. **前提確認**
- 必要な情報(URL・認証情報・パスなど)を確認
- 不足や曖昧な点はユーザーに質問して補完
2. **処理フェーズ**
- **取得:** 入力データまたはリソースを収集
- **変換:** データ整形・検証・解析を実施
- **出力:** 結果を指定形式で出力(例: Markdown / JSON)
3. **反映・報告**
- 成果物を保存または連携先に送信(例: GitHub, Notion)
- 要約と結果の確認をユーザーに提示
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## エラー対処
- タスク特有のよくある失敗の対処をあらかじめ書いておく。
- Notion MCP使用時の認証エラーの対処など
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## 出力ルール
- すべての出力は確定的・再現可能な形で記録する
- 表記・命名・フォーマットは統一(例: snake_case, kebab-case)
- 明示的に指定がない限り、Markdown形式で出力
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## 開始メッセージ
```
[START] <タスク名>
前提条件を確認し、順に実行します。
```
🧠 各セクションの意図と「なぜ必要か」
1. Front Matter(--- で囲まれた部分)
何をする場所?
テンプレートの「仕様」を定義します。使用可能ツール(allowed-tools)、目的(description)、入力仕様(argument-hint)など、実行時の前提を固定します。
なぜ必要?
- 曖昧性の排除と安全性向上:どの権限・ツールが使えるかを明示し、使ってほしいツールを使ってもらいやすくします。
-
逆引きのしやすさ:
descriptionに逆引きしやすくなります。 -
入力エラーの抑制:
argument-hintで期待する入力形式を示し、ミスを減らします。
2. 「あなたの役割」
何をする場所?
AIに求めるスタンス・判断軸・ゴールを明示します。
なぜ必要?
- 意図の共有:単なる作業実行ではなく、目的に沿った判断が可能になります。
- アウトプットの質を左右するため ロールによってどの観点でタスクを進めるかが変わってくるので、アウトプットの質も変わってきます。
📚 参考資料:
3. 「実行手順」
何をする場所?
作業を段階化し、「何を・どの順で・どうやって」進めるかを示します。
なぜ必要?
- プロンプトとして切り出す意義そのもの:決まった手順を再現したいので、プロンプトファイルを作成する意義は実行手順にあると言って良いと思っています。
- 再利用性:「取得 → 変換 → 出力」の構造は多くのワークフローに適用可能。
4. 「エラー対処」
何をする場所?
失敗時のふるまいを事前に定義し、自動で回復させたり、生成を止めたりします。
なぜ必要?
- 失敗からの自動回復:よくある失敗を先回りして、より任せっぱなしにできます。
- エラーハンドリング: ユーザーの操作が必要な失敗の場合に早期に止めさせることも可能。
5. 「出力ルール」
何をする場所?
形式・命名規則・スタイルを統一し、結果を資産化できる状態にします。
なぜ必要?
- 一貫性と機械可読性:フォーマットを統一すれば、後工程(解析・比較・保存)が容易。あと他のプロンプトに渡しやすくなる。
6. 「開始メッセージ」
何をする場所?
タスク開始を明示し、人にも機械にもわかるログ出力を行います。
なぜ必要?
- わかりやすさ:プロンプトが読まれているんだな〜とわかるので個人的に入れてます。
🚀 このテンプレートの強み(要約)
| 観点 | 内容 |
|---|---|
| 再現性 | 初期条件・構造・出力を固定し、誰が使っても同じ流れに |
| 自動化 | JSON/定型メッセージで CI/CD・通知と連携しやすい |
| 拡張性 | 手順・出力規則を差し替えるだけで多用途化 |
| 安全性 | allowed-tools とエラー設計で誤操作を抑制 |
| 運用性 | ログ/開始メッセージで履歴追跡とデバッグが楽 |
🧩 まとめ
このテンプレートは、AIを「ただの道具」ではなく 運用可能なワークフロー として扱うための骨格です。
まずは普段のタスク(レポート生成、ドキュメント整形、Issue 自動化など)をこの構造に落とし込み、目的・手順・出力・エラー を統一してみてください。
それだけで、出力品質・再現性・運用安定性が大きく向上します。
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