IPアドレスの仕組み(ネットワークアドレス・ブロードキャストアドレス・CIDR)
IPアドレス(Internet Protocol Address)
ネットワーク上に接続された機器が持ってる番号。インターネット上の住所。
IPアドレスの種類
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パブリックIPアドレス(グローバルIPアドレス)
インターネットに接続される機器に一意に割り振られるIPアドレス。 -
プライベートIPアドレス
インターネットに直接接続されないIPアドレス。社内や家庭内など、プライベートな空間で使用されるIPアドレス。
すべてがパブリックIPアドレスだと、IPアドレスが枯渇してしまうため、直接インターネットに接続しない機器はプライベートIPアドレスを使う。
プライベートIPアドレスで使用できる数字は限られている。
IPアドレスのルール
XX . X . X. X という形でえ4つのブロックに区切られている。
このIPアドレスの数字は10進数で表現されている、コンピュータはこれを2進数で管理している。
変換するならIPアドレスも2進数にすればいいのでは?
人間が扱いやすいように、10進数の表記を採用している。
- 可読性の向上
- 書き間違えを減らす
- 運用管理の簡易化
IPアドレスっていつ使うの?
一般のユーザーは日常的にIPアドレスを直接扱うことはほとんどない。
ネットワーク管理者やシステムエンジニア、サーバー運用者 にとっては、IPアドレスを確認したり設定したりする機会が多い。
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ネットワークのトラブルシューティング
「インターネットにつながらない!」というとき、ネットワーク管理者はping や tracert(Windows)/traceroute(Linux)を使ってIPアドレスを確認する。-
pingとは
ネットワーク上の別のコンピュータ(サーバーやルーターなど)にパケットを送信し、応答が返ってくるかどうかを確認するためのコマンド。
ネットワークの接続状況を確認する。
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pingとは
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サーバーの設定
クラウドやオンプレミスサーバーに接続するとき、IPアドレスでアクセスする。 -
ファイアウォールやルーターの設定
社内ネットワークで「この範囲のIPアドレスだけ許可する」といった設定をすることがある。 -
VPNやリモートアクセス
在宅勤務やリモートワークでVPNを設定するとき、特定のIPアドレスを入力することがある。
IPアドレスの仕組み
✅ IPアドレスは32ビットの2進数
- 実際には 「0」と「1」の並び で表される
- でも、それだと分かりにくいので、8ビットずつ4つのグループ(オクテット) に分けて表示
✅ オクテット(octet)とは?
- IPアドレスは 8ビット × 4組 = 32ビット
- 1組(オクテット)は8ビットで表され、10進数にすると 0~255 の範囲になる
例えば 192.168.1.1
を 2進数 にすると:
192 → 11000000
168 → 10101000
1 → 00000001
1 → 00000001
これをまとめると:
11000000.10101000.00000001.00000001
➡ これが本来のIPアドレスの形だけど、見づらいので10進数で表してる!
10進数と2進数の違い
- 10進数 では 「10」 で桁が繰り上がる(例:9 → 10)
- 2進数 では 「1」 で桁が繰り上がる(例:1 → 10)
例えば 255
(10進数)を 2進数にすると:
255 = 11111111 (8ビット)
つまり、各オクテットは最大「255」までしか使えない!
IPアドレスの総数
IPアドレスは 32ビット だから、全部で使えるIPアドレスの数は:
2の32乗 = 4,294,967,296(約43億個)
これが IPv4 で使える 全世界のIPアドレスの数 なんだけど、
ネットの普及で 足りなくなった ので、新しい仕組み(IPv6)も使われるようになった。
IPアドレスの繰り上げのルール
IPアドレスは 0~255 の範囲で管理されてるから、255の次は前のオクテットが繰り上がる!
例えば:
0.0.0.255 → 0.0.1.0 (前のオクテットが繰り上がる)
他の例:
192.168.1.255 → 192.168.2.0
「ネットワーク部」と「ホスト部」
郵便物の住所でよく例えられる。
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ネットワーク部 → 町や市みたいなもの
(例:東京都世田谷区とか、大阪市とか) -
ホスト部 → 町の中の家や部屋の番号みたいなもの
(例:〇〇マンションの101号室とか)
実際のIPアドレスで見ると、
192.168.1.10
みたいなIPアドレスがあったら、
例えば 192.168.1
の部分がネットワーク部で、 10
の部分がホスト部 って考えられる。
これをルーター(郵便局みたいな役割)が見て、「これはこのネットワークの範囲だな」と判断して、データを正しい場所に届ける。
具体的にどうやってデータを送っている?
📌 家の中のネットワーク(LAN)
例えば、家のネットワーク(LAN)が 192.168.1.0/24
だったとする。
- スマホ →
192.168.1.10
- ノートPC →
192.168.1.20
- スマートTV →
192.168.1.30
- ルーター自体のLAN側IP →
192.168.1.1
この状態だと、家の中にある機器同士(192.168.1.x
の範囲)は、ルーターを通さなくても直接通信できる。なぜなら、ネットワーク部が同じだから!(同じ「町の中」だから)
📌 インターネット(WAN)への通信
一方で、スマホやPCが YouTube(142.250.185.206
)を開こうとする とする。
このIPアドレスは 192.168.1.x
とは違うネットワーク部(全然別の「町」)だから、ルーターが必要になる。
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ルーターがIPアドレスをチェックする
- 「
192.168.1.x
じゃないな。これは家の中じゃなくて、インターネットに送るデータだ!」
- 「
-
ルーターがデータをインターネットへ転送
- ルーターの WAN側のIPアドレス を使って、データをインターネットへ送る。
- 例: ルーターのWAN側IPが
123.45.67.89
だったら、ルーターは123.45.67.89
の送信者としてYouTubeサーバーにデータを送る。
WANってなんだっけ?
WANとは
「Wide Area Network」の略。広域ネットワーク。
地理的に離れたLAN「ローカルエリアネットワーク」同士をつなぐためのネットワークのことです。
電話回線を使って、本社と支社間など離れた場所にあるLAN同士を接続するためのネットワーク。
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YouTubeサーバーがルーターに返信
- YouTubeサーバーが「
123.45.67.89
からのリクエストか、じゃあ動画データを送るよ!」とデータを返す。
- YouTubeサーバーが「
-
ルーターが適切な端末にデータを送る
- ルーターは、「このリクエストを送ったのは
192.168.1.10
(スマホ)だな!」と確認し、スマホに動画データを送る。
- ルーターは、「このリクエストを送ったのは
この仕組みを「NAT(Network Address Translation)」という。
ルーターは家の中のIPアドレスを、インターネット用のIPアドレスに変換して、データをやりとりしている。
ネットワーク部の範囲を決める
ネットワークを作るときに、
「この範囲のIPアドレスは、このグループで使う」
みたいに決める必要があるんだけど、そのためには「プライベートIPアドレス」の範囲を使う。
プライベートIPアドレスの範囲
インターネット上で自由に使えるIPアドレスは限られてるから、社内ネットワークや家庭用ネットワーク では「プライベートIPアドレス」を使う。
社内ネットワークや家庭用ネットワークで使える範囲は、次の3つ。
- 10.0.0.0 ~ 10.255.255.255(めちゃくちゃ大きな範囲)
- 172.16.0.0 ~ 172.31.255.255(中くらいの範囲)
- 192.168.0.0 ~ 192.168.255.255(一般家庭や小規模ネットワーク向け)
実際にどうやってネットワークを分ける?
例えば、会社で以下のように分けるとする。
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社内PC用ネットワーク → 192.168.1.0/24
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192.168.1.1
~192.168.1.254
(最大254台のPCが使える)
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サーバー用ネットワーク → 192.168.2.0/24
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192.168.2.1
~192.168.2.254
(サーバー用のIPを管理)
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ゲストWi-Fi → 192.168.3.0/24
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192.168.3.1
~192.168.3.254
(外部の人が使うWi-Fi用)
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こうすると、同じネットワーク内のPC同士は直接通信できるけど、違うネットワークにはルーターを通さないといけない って感じになる。要は「住所(ネットワーク部)が違うから、郵便局(ルーター)が間に入る」ってこと。
ICANN(アイキャン)
「Internet Corporation for Assigned Names and Numbers」の略。
ドメイン名やIPアドレスを管理している組織。
IPアドレスは自由に決められない、ICANNによって全世界で管理されている。
ITパスポート・基本情報でも出てきた範囲。
ICANN内には、地域ごとにIPアドレスの管理している組織(インターネットレジストリ)がある。
各地域のインターネットレジストリがそれぞれの地域のIPアドレスを割り当てて業務を行う。
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