AI便利すぎ!問題:初心者が失う『考える・書く・読む・調べる』能力
1. はじめに
株式会社モアでエンジニアをしています。年齢は46歳でweb系開発を3年目ですがまだまだ初心者のエンジニアです。
現在、LaravelでECサイトの開発を行っており、ChatGPTやClaudeといった生成AIが普及し、複雑なパターンや実装方法を瞬時に教えてくれるようになりました。しかし実際の開発現場で感じるのは、AIに頼りすぎることで失われる能力があることに気がつきました。
本稿では、開発する過程で「考える・書く・読む・調べる」という4つの能力がどのように低下するのか、具体的なコード例を交えて分析し、どのようにするべきか初心者ならではの視点で述べて行きます。
2. 失われる4つの能力の詳細分析
2-1. 「考える」能力の低下
問題点:
ECサイトを開発するにあたりプログラミングでエラーが発生した際に、エラーメッセージをしっかり読まなくてもコピペして、AIに聞くと解決できてしまい、開発の短縮に大きく貢献できてしまうメリットがあると感じました。また精神的にもエラー対応が楽になりました。
その代わりに解決する力「考える力」が失われていくことに気がつきました。
具体例:
例えばテストケースで以下のようなエラーが発生したときです。

AIに聞くと数秒で見つけてくれます。

このように直す場所も教えてくれます。

どこが「考える」能力の低下なのか
このケースでは以下のようなことが省かれますので「考える力」が少なくなり能力低下につながっていると思います。
- エラー内容を読まなくても解決できるので考えなくてもよい。
- エラー内容を理解しなくてもよい。401が何なのか知らず解決できるので401の意味を記憶する機会を失っている。
- どこに記述すればよいか教えてくれるので、コードの理解を深める機会を失っている。
2-2. 「書く」能力の低下
問題点:
私の場合、コードを書く場合、AIがどんどん候補を出してきますので自分で書くよりAIの方を優先に選んでしまう癖がついてしまい、コードを書くというより候補を選ぶような習慣になってしまいました。
これも開発の短縮につながるメリットはありますが「書く力」が失われていくことに気がつきました。
具体例:
55行目から58行目が薄灰色のところが候補が出てtabキーを押せば終了となります。

どこが「書く」能力の低下なのか
このケースでは「書く」能力の低下になるので以下のような場合、困るのは自分になると思います。
- 実際に候補が何も出てこない時、単語を覚えていないためコーディングのスピードが遅くなる。
- AIがないと何を書けばよいのかすら浮かんでこなく、開発者メンバーにこの人コーディング力はあるのか疑われる。
2-3. 「読む」能力の低下
問題点:
開発では時間がないことが多く、複雑なコードを分析をするところまでいかずにAIに要約をして時間の短縮をして理解してました。従って苦労して分析した記憶がないため毎回同じところで引っかかってしまうので「読む」能力が低下していると感じました。
具体例:
例えば以下の36行目のコードですが、私はすぐにコードを理解できなかったで、AIに聞いて細く構成を説明してくれて理解した感じになり、とても便利な機能だなあと思ってしまいました。しかし今回もこれをみてどのようコードなんだろうと考えてしまいました。

AIの解説は理解しやすくするために区切りごとに入れ子構造で解説してくれます。

どこが「読む」能力の低下なのか
このケースでは自分で読解するよりAIの方がわかりやすく解説して時間の短縮につながっているので読む機会を失っている。
2-4. 「調べる」能力の低下
問題点:
昔はGoogleで検索してそれらしき情報がないか時間をかけて探してました。見つけた時には苦労した分、理解したことを忘れずにいられる状態になりました。
しかし今回の開発ではGoogleで検索する前に、AIで短時間で調べてくれるのでまずはAIでという習慣になってしまいました。よって調べる機会が大きく減ったと感じました。
具体例:
例えば401って何ですかとAIに聞くと
数秒で綺麗にまとめて教えてくれます。さらに401以外にも他のステータスも教えてくれます。

どこが「調べる」能力の低下なのか
- 数秒で401の内容が調べられてしまい、自分で調べることが減ってしまった。
- 知りたいことが全部でてしまい納得してしまう。しかもここでわからなければ、わからないところをそのままAIに聞けてしまい、調べる機会が減り低下につながってしまったと感じました。
3. 解決策とバランスの取り方
3-1. AIとの適切な付き合い方
今回、開発をAIに頼ったことで「考える・書く・読む・調べる」の能力の低下につながるのは、
時間をかけて苦労せずに解決してしまうところが共通の結果だと感じてます。
私もAIがこの世になかったとき、日にちをかけて調べるところまで調べて、わからなけば、エンジニアのQ&Aの掲示板に書いてなんとかして解決したいという意気込みで行ったことを思い出します。
しかもその時には回答してほしいためにしっかり相手に伝わるように準備して質問してましたので、解決に繋がった時は、感謝の気持ちと苦労した記憶が残ってます。

現状はどうでしょう。AIにふと思ったたらコピペして質問。どうやったら実装できるのかすぐにきく。エラーが出たらまずAIに何度も聞く。になってます。全然苦労がないですね!!
これは自動化の一歩手前まできていると思います。人間は自動になると、どんどん能力の低下になる体質があると思います。
でもこれからはAIの時代です。次の開発からはAIによって開発の短縮と能力向上のために以下のようなことを実践して行きます。
3-2. 能力維持・向上の方法
AIを併用しつつ考える力を鍛えるには:
何か問題があった時、時間はかかりますが、自分で考えてできるところまで行っています。
できないところからAIに質問すればAIも適切な回答を出してくれます。
例えば2-1の「考える」能力の低下では、英語で理解できなけば日本語に翻訳して何が言いたいのかを突き止め401と404がキーポイントだというところでまではいけると思います。
Expected response status code [404] but received 401.
応答ステータスコード[404]を期待したが、401を受け取った。
Failed asserting that 401 is identical to 404.
401は404と同一であるとの主張で失敗。
AIを併用しつつ書く力を鍛えるには:
コードを手動で打つように心がけた方がよいと思います。
これも自分で書けれるところまで書いて、コードが思ってた挙動でなかったらAIに質問をする。
例えば2-2の「書く」能力の低下では、候補機能が出るのが原因なので出ないように設定を変更する。
AIを併用しつつ読む力を鍛えるには:
複雑なコードを読む時は、まず自分で解析してから、AIに要約してもらうという順番にして行きます。
例えば2-3の「読む」能力の低下を抑えるためには、自分でできるだけ解析してからAIに聞くようにします。
AIを併用しつつ調べる力を鍛えるには:
AIはかなりの精度でもっともらしいことをピンポイント教えてくれます。
必ずしもあっているかどうかは自分で確認できるようにGoogleで検索できる力を身につけていきます。
4. まとめ:人間の力を取り戻すために
今回のトピックをまとめるとAIによって「考える・書く・読む・調べる」を代わりに早く行ってくれるようになりましたが、AI頼りに開発したことで思考力が低下し、あまり個人的な能力向上につながっていないことを体験できました。
結局「自分で考える」「自分で書く」「自分で読む」「自分で調べる」時間を確保しないと能力向上はしないと思いました。
弊社では一緒に働く仲間を募集しています!AIツールを活用した現代的な開発環境で、新しい技術にチャレンジしたい方、ぜひお気軽にご連絡ください。
詳しくは株式会社モアをご覧ください。
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