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NounsDAO投票のガス代

2023/04/24に公開

最近Ethereumのガス代が高いですね。ここ数日は30gweiを超えていることがほとんどです。

ちなみに、リアルタイムのガス代はこちら
https://etherscan.io/gastracker

週間チャート、ヒートマップはこちらで確認できます。
https://ethereumprice.org/gas/

今回はNounsDAO投票のガス代問題について書いていきます。
NounsDAOでは、トレジャリー金額が28,364eth(70億円!!)だったり、Noun1体のオークション価格が30eth(700万円!!)だったりして、その金額の大きさからガス代はあまり気にされていませんが、pNounsのような庶民サブDAOにとっては避けて通れない大きな問題となってのしかかってきます。

投票にかかるガス代

NounsDAOの投票はオンチェーンで行われています。
ですので、pNounsでは本家NounsDAOの全てのプロポーザルに対して投票していますが、毎回ガス代がかかってきています。
ちょっと怖いですがトランザクションを集計してみると、2023年で71回、0.295473001ethのガス代がかかっています。(PropHouse投票など一部別トランザクションも含まれています)

毎回ガス代は変化していますが、1回あたりの平均では 0.004eth。これは250,000円/ethで計算すると約1,000円に相当します。
しかも最近はガス代が高騰しているので、ガス代はこの2倍〜3倍、大きな痛手となっています。

ガス代の返還

NounsDAOでは、投票者の負担を減らすために、Prop152の『Nouns DAO V2 Upgrade』でガス代の一部を変換する仕組みが取り入れられています。
https://nouns.wtf/vote/152
これは投票時に、投票トランザクションにかかったガス代を計算して、投票元のアドレスへ送金するものです。

https://github.com/nounsDAO/nouns-monorepo/blob/master/packages/nouns-contracts/contracts/governance/NounsDAOLogicV2.sol#L1033-L1046

このプロポーザルは2022年10月に採択されましたが、pNounsDAOが使っているマルチシグ対応がなされたのは、2023年1月以降です。

これにより、pNounsDAOではこれまでに合計で約0.1ethほどの返還を受けています。
(返還先アドレスはマルチシグアドレスでなく、マルチシグの最終トランザクションを実行した個人のアドレスになっていました)

なお、返還されるガス代は、NounsDAOのトレジャリーが資源となっています。

直近で採択されたProp263をみると、55アドレスから投票されており、そのガス代合計は先ほどの平均値を採用すると 0.004eth * 1/2(大体半分が変換されているよう) * 55 = 0.22eth = 22,500円となります。
今は毎週1,2個のプロポーザルがあるので、仮に毎月6件としても、165,000円/月になります。
オンチェーンに刻むため、、とはいえ、ちょっと大きな支出に思えます。

サブDAOの動き

この支出に対して、NounsDAOコントラクトを導入しているサブDAOはどのように対応しているか、少し見てみました。

LilNouns

https://lilnouns.wtf/
トレジャリー:265eth(6千万円)
LilNouns内の投票は二つに分かれています。
一つは、LilNounsのトレジャリーを使うプロポーザルへの投票。こちらは本家Nounsと同様の仕組みでガス代のかかるオンチェーン投票となっています。
もう一つは、本家NounsDAOのプロポーザルへの投票。こちらは、見た目はNounsDAOと同じような画面になっていますが、バックエンドでsnapshot.orgを使っており、ガス代の不要な投票となっていました。

Gnars

https://www.gnars.wtf/
トレジャリー:27eth(700万円)
Gnarsはsnapshot.orgをそのまま使用しています。
画面上部の『DAO』タブをクリックするとsnapshot.orgへ遷移します。

CryptoNinjaNouns

https://cryptoninja-nouns.wtf/
トレジャリー:169eth(4千万円)
CNNはNounsDAOのコントラクトをそのまま使用しています。
これまでにプロポーザルは8つ登録されていて、毎回20票を超える投票がされています。

UNouns

https://unouns.wtf/
トレジャリー:0.85eth(20万円)
UNounsもNounsDAOのコントラクトをそのまま使用しています。
これまでに一つのプロポーザルが登録されましたが、投票は0件でした。

ガスレス投票(オフチェーン投票)

上で使われていたsnapshot.orgについて少し解説します。
snapshot.orgは、投票時にメタマスクで署名するため、オンチェーン投票と勘違いしそうですが、署名した内容をipfsに保存するオフチェーン投票です。
ガス代が不要なら、snapshotを使えば良いじゃん、となりそうですが、一番の問題は、オフチェーンだと管理者への依存度が高まってしてしまう点だと考えます。
例えは、プロポーザルが通ったとしても管理者が事故などで要求金額が送金されない、管理者が反対の立場で故意に送金しないなど、透明性や自動実行性の観点で問題があると思います。

NounsDAOコントラクトを導入するとしたら、、、

上に書いたDAOの例をみると、トレジャリーが数千万円規模のコミュニティだと、ガス代のかかるオンチェーン投票でも回っているようです。

小規模なコミュニティーでNounsDAOのガス代返還の仕組みを導入すると、トレジャリーと比較してガス代が割高になったり、ガス代返還を採用しなくても、参加者の経済レベルではガス代がネックとなり、投票が捗らない可能性が高そうです。
透明性の問題はありますが、小規模なコミュニティーでは、今のところ、ガスレス投票の仕組みを取り入れた方が良さそうです。

pNounsでの構想

個人的な思いですが、pNounsでNounsDAOコントラクトを導入してみたいと考えています。
pNounsは小規模DAOのため、集まる資金も多くは期待できないと思いますが、毎月のMVPの資金源となり、また、キャンディーBOTの順位を参考にノミネートし、最終的なMVPは投票で決定するプロセスなど面白いかな、と思ったりしています。
ご意見などありましたら、お寄せください。


pNounsは、本家NounsDAOへ直接提案可能な日本で唯一のSUB-DAO、そして本物のDAOを目指すDAOです。
ご興味ある方は是非覗いてみてください。
https://pnouns.wtf/

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